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すでに期間は史上最長に!ロックアウト後初の協議も平行線の状態が続くMLBと選手会

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ロックアウト後発の労使交渉を行ったロブ・マンフレッド・コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ロックアウト後初の労使交渉】

 期限内に新たな労使協約に合意できず、現地時間の12月2日からロックアウトに突入しているMLBだが、ロックアウト実施以降としては初めて選手会と労使交渉を1月13日に行った。

 米主要メディアが報じたところによれば、交渉は1時間に及んだが、両者の間に今も隔たりがあり、新労使協約が合意されることはなかった。

 今回の交渉でMLBは新たな案を提示していたが、選手会を納得させることはできなかったようだ。

 現時点で次回の交渉は決まっていないが、今回のMLBの新案に対応する修正案を選手会がMLBに提出することになるだろうという見方をするメディアがある。まだまだ予断を許さない状況だ。

【FA制度に関する両者の攻防】

 米メディアの報道を総合すると、今回の交渉ではFA制度やぜいたく税制度など、新たな労使協約に向けた根幹となる内容が協議されたようだ。

 まずFA制度に関しては、MLBは在籍日数6年でFA権を取得できる従来通りの制度を主張する一方で、選手会は5年に短縮するよう求めている。

 ちなみに選手会の要求が新しい労使協約に網羅されることになれば、大谷翔平選手は来シーズン終了後にFA権を取得できるようになり、彼の契約問題がさらに大きな関心事になるだろう。

 ただMLBはFA制度を変更しない代わりに、選手会が大きな関心を示している有望新人選手のFA権取得を遅らせるためにチームが在籍日数を操作することに関し、操作しないチームに対しドラフト指名権のボーナスを与える改正案を提示した模様だ。

【ぜいたく税制度と最低年俸は平行線】

 最低年俸に関してもMLBと選手会の間で大きな開きがあるようだ。

 MLBは在籍日数に合わせ、1年未満は60万ドル(約6800万円)、2年未満が65万ドル(約7400万円)、3年未満が70万ドル(約8000万円)という案を提示したが、選手会は一律77万5000ドル(約8800万円)を要求しているようだ。

 また選手会は引き続きぜいたく税の設定額引き上げを求めているが、MLBはこれ以上の引き上げを受け入れられない姿勢を示しており、こちらも平行線を辿ったままだ。

【すでに史上最長のロックアウトに】

 MLBがロックアウトを実施してから43日が経過しており、1990年に実施されたロックアウトの30日間を超え最長記録を更新し続けており、すでに史上最悪のロックアウトになってしまっている。

 仮にメディアが予想する選手会が近々提出するだろう修正案でMLBに歩み寄る姿勢を示さないようなら、交渉はまだまだ長期化することになるだろう。

 まずは選手会の対応に注目しなければならないが、2022年シーズンの通常開催が徐々に危うくなり始めている。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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