肌を触れあい「夜の革命」…金正恩の聖地で吊し上げの刑
北朝鮮は8日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)創建75周年を記念する閲兵式(軍事パレード)を行った。北朝鮮軍は1948年2月8日の創設され、その日は「建軍節」とも呼ばれている。一方、金日成主席が1932年4月25日に満州で「朝鮮人民革命軍」を組織したとされ、この日は「朝鮮人民革命軍創建日」とされている。
金日成主席が抗日パルチザン活動を繰り広げ、また金正日総書記が誕生した地とされ、北朝鮮の聖地となっている両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)。革命史跡地の「聖地巡礼」は「踏査」と言われており、全国から多くの人が参加する。
そんな踏査参加者を受け入れる施設が、踏査管理所だ。対南宣伝サイト「わが民族同士」の記事によると、施設は寝室と浴場、ジムなどを備えている。
そんな聖地の「宿坊」とも言うべき施設の従業員の間で、非社会主義行為――つまり社会主義にそぐわない風紀の乱れが深刻となっていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
先月25日の朝。出勤した踏査管理所の従業員を待ち構えていたのは、抜き打ちの公開思想闘争会議だ。早い話が吊し上げである。
安全員(警察官)と保衛員(秘密警察)が同席する中、従業員の問題行動が次々に暴露された。
【事例1】 夜間警備で宿直室にいた男女の従業員が、密かに肌を触れさせながら就寝した。
2人は「夜の革命活動」に及んでいたようだが、金氏一家の聖地のお膝元でそんなことをすれば、一つ間違えば政治犯扱いされ、命取りになりかねない危険な行為。それほど、規律が乱れていたということだろう。二人は実名が暴露され、社会的に辱められたという。
【事例2】 踏査参加者が持参したコメや食料品は、彼らの給食の材料として使うべきところを、食堂と経理担当者が、その量を勝手に減らし、横流しして儲けていた。
自分のものでなくとも、横流しやネコババをして売り飛ばして儲ける行為は、北朝鮮で広範に見られる。勤め先でもらえる給料が極端に少ないためだが、比較的待遇がいいと思われていた踏査管理所ですらこのような行為、それも一回だけではなくたびたび起きているのだ。
【事例3】 従業員の10代の子どもたちが、親のいないすきを見計らって南朝鮮(韓国)の映像を見ていたが、夜間パトロール中の住民に発覚し、安全部の家宅捜索の結果、10個のUSBメモリが発見された。
他の地方でも問題になる行為だが、聖地のお膝元でもこのような行為が起きるほど、韓流が浸透しているようだ。摘発された子どもたちは、三池淵市学生少年宮殿のコンピュータ小組に通う英才で、市の安全部で取り調べを受けている。うち1人は初犯であり主犯でないことも考慮され、批判書を書く程度の処分で済まされると見られているが、もう1人は主犯で踏査管理所の従業員の子どもであることから、より厳しい処分が下されるようだ。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
結局、革命の聖地であろうがどこであろうが、お上の言うことを真面目に聞いて、心の底から革命に向かって邁進するような人はほとんどいないことが明らかになったということだ。革命なんかより、いい暮らし、おしゃれなファッション、自由な恋愛がしたいというのは、北朝鮮の人々にとってもごく当たり前のことなのだ。