今月の住宅ローン金利情報(2019年12月) ボーナスで繰上返済する?
2019年12月の住宅ローンの金利情報です。新規で借りる人も借り換えを検討している人も、ローン金利の動きは押さえておきたいものです。なお、今月のワンポイント情報は「ボーナスで繰上返済する、しない?」です。
*住宅ローンの金利は一般団体信用生命保険(死亡・高度障害時)の保障コスト込みの表示で統一しています。
■新規で借りる住宅ローンの金利
2019年12月の住宅ローン金利は、変動金利は動きなしでした。10年固定(固定金利期間選択型の期間10年)では多くの商品の金利がアップしました。全期間固定金利(35年)も全体的に金利がアップ。
住宅ローンは金利だけで比較するわけではありませんが、金利タイプ別に最低金利の商品を見ておきましょう。
<最低金利(新規借入れの場合。一般団信含む)>
変動金利:ジャパンネット銀行「住宅ローン」0.415%
10年固定:じぶん銀行「住宅ローン 当初期間引下げプラン」0.57%、ソニー銀行「固定セレクト住宅ローン【自己資金10%以上】」0.57%
固定金利(自己資金20%以上):住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金20%以上】」0.78%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.03%)
固定金利(自己資金10%以上):住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金10%以上】」0.86%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.11%)
【参照】フラット35の金利表示に注意
■借り換える住宅ローンの金利
借り換えをする場合の住宅ローンの金利は、新規同様、変動金利は動きなしでしたが、10年固定、全期間固定は全体的に金利がアップしました。
こちらも最低金利を見ておきましょう。
<最低金利(借り換えの場合。一般団信含む)>
変動金利:ジャパンネット銀行「住宅ローン」0.415%
10年固定:じぶん銀行「住宅ローン 当初期間引下げプラン(借り換え)」0.57%、KDDI「当初期間引下げプラン(借り換え)」0.57%
固定金利(フラット35):住信SBIネット銀行「フラット35(借り換え)【保証型】」1.11%
ここで見たのは金利面のみですが、実際に比較する際には、保証料や事務手数料なども含めて検討する必要があります。トータルでより有利な商品を選ぶようにしましょう。手間を惜しまず、シミュレーターで試算することをお忘れなく!
借り換えの場合は、借り換えコストも含めて試算して検討しましょう。全期間固定⇒変動金利など、「金利タイプ」が変化する借り換えは、残返済期間などとの関係で慎重に判断しましょう。
【参照】住宅ローンは「支払総額」で比較を
【今月のワンポイント情報】
■ボーナスで繰上返済する?しない?
繰上返済とは、月々の返済とは別に、残債の一部または全額を返済することをいいます。通常の返済では返済額に利息も含まれますが、繰上返済では返済額が全て元金返済に充てられます。それによって、支払う予定だった金利分を軽減することができます。
繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。「期間短縮型」の繰上返済は、毎月の返済額は変わらず、返済期間が短縮されます。「返済額軽減型」は逆に、返済期間は変わらないまま、毎月の返済額を減らすものです。
「期間短縮型」の方が利息軽減効果は大きいですが、「返済額軽減型」では月々の返済額が減ることから、今後、教育資金がかかるなど住宅ローンの返済が負担になりそうなときには有効です。
それぞれのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
「期間短縮型」
<メリット>
・完済までの期間を短縮できる
・支払う予定だった利息を軽減できる
<デメリット>
・繰上返済をすることで貯蓄が減る
・短縮した期間は、借り換えをする際に延ばすことはできない
・返済期間がトータルで10年を切ると住宅ローン控除が停止に
「返済額軽減型」
<メリット>
・月々の返済額を減らすことができる
・支払う予定だった利息を軽減できる(期間短縮型より効果は小さい)
<デメリット>
・繰上返済をすることで貯蓄が減る
住宅ローンの繰上返済をすれば支払う予定だった利息を軽減できるわけですが、皆さんだったらボーナスなどしばらく使わない資金がある場合、繰上返済と貯蓄・運用のどちらに回しますか?
例えば、残債3,500万円、残返済期間35年、ボーナス払いなし、全期間固定1.5%で借り、5年後に100万円を期間短縮型の繰上返済を行った場合、残返済期間は28年10ヶ月になり、支払わずに済む利息額は約55.3万円になります。
この例では、おおまかな目安として、長期的にローン金利1.5%以上の運用ができそうなら運用を優先し、全く運用に自信がない場合は繰上返済をする選択でもいいでしょう。住宅ローン控除が受けられる期間は、年末残高の1%の税額控除が受けられるので、当面の運用目標のハードルは下がります。
ただ、生活予備費(生活費3~6か月分)や子どもの教育資金、その他目的が決まっている積立などはキープをした上で、ムリのない繰上返済を行うことが大事です。また、将来、収入減や支出増が見込まれる場合は、「期間短縮型」ではなく「返済額圧縮型」の繰上返済を選択したいものです。
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【参照】
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