【検証】安倍首相のテレビ発言「法人税率を下げても、法人税収は増えている」は本当か?
ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)が主催する「ファクトチェック2017総選挙プロジェクト」が始まっている。政治家の発言や報道など、総選挙に関する言説の正確さを調べる活動だ。FIJは、ヤフー個人のオーサーでもある日本報道検証機構代表の楊井人文さんやスマートニュース執行役員の藤村厚夫さんらが中心となって立ち上げた団体(NPO法人申請準備中)だ。
ファクトチェックは日本ではまだ馴染みが薄く、私自身も初めてだが、「誤情報拡散の防止」というFIJの活動に対する敬意を込めて、THE POWER NEWSもJapan In-depth(安倍宏行編集長)の協力を得て参加することにした。今回は、その一環で、「しんぶん赤旗」が報じた自民党の安倍晋三総裁の発言について検証した。
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自民党の安倍晋三総裁が10月8日午前にNHKの日曜討論で放送された「党首討論」で「法人税(率)を引き下げましたが、法人税収は増えています」と発言した。立憲民主党の枝野幸男代表の「法人税を下げているという状況で、(消費税を)上げられるのか」という問いかけを受けてのことだった。
この安倍氏の発言を翌9日付のしんぶん赤旗が〈“法人税収増えている” 首相が偽りの発言 白書でも指摘“税収下押し”〉という見出しで報じている。記事は〈テレビの党首討論で一国の首相のウソがまかり通るのは許せません〉という書き出しで、安倍氏の発言を〈事実ではありません〉と断定している。
安倍氏の発言は、本当に赤旗がいうように「ウソ」なのだろうか。
結論からいうと、赤旗の記事は不正確で、「ウソ」というのは言い過ぎだ。なぜなら2015、16年度の法人税収が減っているのは事実だが、税率を下げた2012年度に法人税収は増えているし、再引き下げをした14年度も増収となっているからだ。
一方で、安倍氏の発言も十分な説明かどうかは疑問の余地がある。法人税率を下げ始めた2012年度と直近の16年度を比べれば、税収は増えているが、3回目の引き下げをした15年度からは2年連続で法人税収は減っているからだ。
選挙になると、各党はあらゆるデータを、自分たちの都合のいいように解釈し、演説の材料に使うことがあるようだ。有権者としては注意が必要だ。
記事の詳細はJapan In-depth で。
プロジェクトの詳細はFIJ「ファクトチェック2017総選挙プロジェクト」をご覧ください。