NBAはシーズン再開できるのか? ESPN記者が集めたNBA現場の正直な声
【シーズン中断後1ヶ月が経過したNBA】
所属選手が新型コロナウイルスに感染したのを機に、主要プロリーグで最初にシーズン中断の決断を下したNBA。現地時間の3月12日から中断してから早くも1ヶ月が経過してようとしている。
米国を取り巻く環境は、中断直後よりも感染者が国中に拡大し、ますます深刻を極めており、シーズンの再開の目処がまったく立たない状況が続いている。
そんな中、ESPNのバクスター・ホームズ記者が、NBA内の現場の声をまとめた興味深い記事を公開している。
【シーズン再開は1ヶ月の準備期間が必要】
同記事は、ホームズ記者がNBA各チームのGMやメディアルスタッフらに取材し、シーズン開幕に向けた現場の声を紹介している。長文記事ではあるが、ポイントはシーズン開幕の環境が整っても、選手のコンディションを考慮すれば最低でも1ヶ月の準備期間が必要になってくるというものだ。
というのも、シーズン中断中は各チームとともに、選手に対しアリーナや練習施設を開放していない。また州によっては非常事態宣言を出し、人々は自宅に待機しなければならない状況を強いられている。つまりNBAの選手たちは自分たちの裁量で自主練習を続けている日々なのだ。
記事中で紹介しているNBA関係者の声をいくつか抜粋してみよう。
「NBAには450人の選手が所属している。(選手たちが試合の準備ができたかの)決定を下す場合、その判断基準は、オリンピック・トレーニングセンター並みの装備が整った豪邸に住む選手ではなく、どちらからといえば十分なトレーニングができていない選手たちを見ていくことになる」(東カンファレンスのアスレチックトレーナー)
「バスケットボールをプレーせずに試合が出来るコンディションを整えることはできない。現在は別のやり方で試してはいるが、決してNBAレベルのバスケットボールには届かない」(西カンファレンスのストレングスコーチ)
【再開後ポストシーズン実施はより困難】
メディア報道によれば、NBAではシーズン再開が可能になった場合、現時点でも順位を元にそのままポストシーズンに移行するという案も出ているようだが、現場はかなり懐疑的に捉えているようだ。
通常の公式戦でもある程度の準備期間が求められるのに、ポストシーズンではよりフィジカルなプレーが展開されるため、さらにしっかりしたコンディションづくりが必要になってくる。
またたとえ準備期間が与えられたとしてもいきなりポストシーズンに突入し激しいプレーを強いられたら、選手たちにけが人が続出する危険性まで生じてしまうことになる。
【待ったなしのNBA】
いずれにせよ、まずはシーズンが再開できるような環境が整わなければ、話は前に進むことができない。
また状況によっては年末までシーズンをずらすことも検討可能なMLBと違い、NBAは今年11月には次期シーズンを控えているのだ。
となれば、次期シーズンを通常運営していくためにも、9月いっぱいまでには今シーズンを終了させることが必要になってくる(それでも選手たちはほぼ休み無しで次期シーズンに臨まなくてはならない)。
ESPNの記事が指摘するように、シーズン再開まで1ヶ月の準備期間が必要になってくることを考えれば、NBAに残された時間は決して長くはない。
刻一刻と今シーズン打ち切りという最悪のシナリオが迫ってきているような気がする。