紙の手形・小切手から電子決済サービスへ、歴史ある手形がなくなる日
企業の間で使われている紙の約束手形や小切手の新たな発行を、大手銀行3行が来年度中に終了することになった。
三井住友銀行は既存の顧客向けの新たな発行を来年9月末で終了すると発表し、発行済みのものについても再来年、2026年の9月末で決済手続きを終了する。
みずほ銀行は新たな発行を2026年3月末で終了し、決済の手続きは2027年3月末までに終えるよう利用者に呼びかけるほか、三菱UFJ銀行も2026年3月までに新たな発行を終了する予定(12日付NHK)。
手形と呼ばれる制度には歴史がある。
手形とは、将来の特定の日に特定の金額を支払う旨を約束した有価証券である。元々は、土地の売買などに絡んだ法律的な文書や宗教的な文書である原文に押されていた文字通りの「手形」であった。
その後、証文の印としての「手形」を押す習慣はなくなったが、手形が押されていた証文などを指す言葉として「手形」という用語が残った。
現在のような手形制度は、中世に地中海沿岸の都市で発達した両替商が発行した手形に始まるとされているが、日本でも鎌倉時代にはすでに、割符屋を通じて、金銭を割符と呼ばれる手形で決済をする取引も行われた。
江戸時代には特に大阪(大坂)を中心に手形で決済をする慣習ができ上がっていた。幕府による大阪の御金蔵から江戸への公金輸送や、諸大名の大阪の蔵屋敷から江戸の大名屋敷の送金などにも手形が使われていた。
この歴史ある手形の制度ではあるが、政府は2026年までの約束手形の利用廃止、小切手の全面的な電子化の方針を示していた。
金融業界も2026年度末までに紙の手形・小切手から電子決済サービスへの移行を推進しており、その時期についても明確化したとみられる。