”北朝鮮=金日成氏生誕記念日 韓国=米韓軍事訓練” 同時進行始まる 「緊張の4月」本格化へ
ここ数日、平壌は暖かい時は気温25度近くまで上がる陽気なのだという。週末までは晴天に恵まれた。しかし月曜日から水曜日にかけては雨模様。
そして再び、14日木曜日と15日金曜日は晴れとなる予報だ。
4月に入り、宣伝メディア「労働新聞」のサイトでは
「敬愛なる金正恩同志の革命活動報道」
の欄の下に
「偉大なる首領金日成同志の誕生110周年 盛大にお祝い」
という欄も設けられ、日々のイベントが報じられている。
偉大なる首領の生誕110周年を祝う切手展覧会が始まった。
太陽節祝賀料理式典が行われた。
そういった記事だ。”祝賀ムード”なのだ。
日本のニュースでも「金正恩氏党のトップに就任して10周年」そして「金日成氏生誕日(太陽節)近づく」「今年は110周年」という話題が報道されている。
2つの記念日は”繋がっている”のだ。4月11日月曜日から4月15日の金曜日までの出来事だ。
ちょうど10年前、2012年の太陽節の時期に中朝国境の丹東で取材をしたことがある。当時、脱北者がこんな話をしていた。
「北の人たちは伝統的に金日成一家を”お父様”だと思っている。なぜなら、学費がすべてタダだから。お父様のおかげで私たちは学べているのだと」
その人は、中国に渡ってもなお、国境近くのテレビに映し出される太陽節のパレードに見入っていた。かなり影響力のある行事なのだなと思わせた。実際に北朝鮮側は「国家最大の国慶日」としている。
その年(2012年)は100周年だったから平壌で盛大なパレードが行われていた。その後2017年の105周年にも行われ、翌2018年は行われなかったのだという。北朝鮮には「定周年(チョンチュニョン)」という概念があり、5年、10年の区切りを大切にするのだという。2022年は110周年。韓国メディアYTNでは「平壌でのパレード」の開催を予想している。実際に4月に入って平壌市内の掃除が活発化している報道もあった。
同メディアは続く25日の「朝鮮人民革命軍創建90周年」の日に軍事パレードの開催も予想している。人民革命軍とは抗日運動を戦った軍のことだ。1932年がスタートとされている。この日は日本に対する何らかの声明や談話の発表もあるかもしれない。
12日のきょう、韓国で「米韓軍事訓練予備演習」開始
いっぽう、韓国でも今日からある動きが始まった。
「米韓合同軍事訓練・危機管理参謀訓練」だ。午前8時、「聯合ニュース」は韓国領海上に米軍の核空母が入ってきたことを報じた。
これはいわば予行練習で、18日からは「本訓練」も予定されている。韓国の一部メディアでは、18日の本訓練を含め「状況を見て開催」「あくまで開催予定」という報道もあった。
例年は3月に行われるが、今年は同月10日に行われた大統領選挙や新型コロナウィルスの感染拡大などを考慮し、今月の開催になったのだ。
この結果、北朝鮮の「慶祝週間」と日程が重複したのだ。韓国メディアは度々、この時期の北朝鮮の軍事挑発を警戒する報道を行っている。さらなるミサイル発射、もしくは2017年以来の核実験もありうるのではないかと。
しかしイ・ジョンソプ国防大臣内定者はまったく”怯む”ところはない。
「訓練をしない軍隊は存在理由がない」
「韓米訓練の目標は北朝鮮の武力行動を抑制し、攻撃を受けた場合には効果的に反撃できる能力を整えること」
「(政権交代による)少しの安保空白期間もつくらないよう、体制を強化している」
4月に入り、韓国メディアでは「危機説」を煽る報道が続いている。
「北朝鮮、今月に主要行事続く…緊張の4月」(YTN)
「"4月、荒涼とした韓(朝鮮)半島"、 北の大型行事続く 武力衝突の可能性も」(聯合ニュース)
「北、4月の軍事行動に注意…韓(朝鮮)半島緊張高まる」(ニューシス)
「韓(朝鮮)半島 "4月危機説”拡散… 米”対北抑止力カード”は?」(世界日報)
表立って見出しには入れないが、米韓軍事訓練との重複もその「危機説」には間違いなく含まれている。果たして北側によるさらなる軍事挑発は起きるだろうか。