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マイナス金利解除観測で気になる住宅ローン金利への影響、住宅ローンの3つのタイプを再確認

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 日銀が3月にもマイナス金利政策を解除するのではとの観測が高まっている。個人で気になるのは住宅ローン金利への影響ではないかと思う。今回はあらためて住宅ローン金利についてまとめてみたい。

 住宅ローンの金利タイプは「変動金利」、「固定金利選択型」、「全期間固定金利」の3つに大きく分けられる。一般的には変動金利、固定金利選択型、全期間固定金利の順で金利が高くなっている。

 住宅ローンの変動金利は「短期プライムレート」と呼ばれるものがもとになって決まる。短期プライムレートとは、銀行が最優良の企業に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利を「短期プライムレート」を指す。これは日銀が決める政策金利(短期金利)を元にして決められている。

 変動金利の場合、金利の見直しは半年に1度(4月1日と10月1日)、毎月の返済額の見直しは5年に1度であるのが一般的。メガバンクや地方銀行などで借りると、金利の変更があっても5年間は返済金額が固定されることが多い。つまり元金と利息の合計額が毎月一定になるようにする「元利均等返済」と呼ばれるものでは、毎月返済額を原則5年ごとに見直す「5年ルール」が設定される。その間金利が上昇すれば、毎月の返済額に占める元本の割合で調整される。さらに毎月返済額を増やす場合にはそれまでの25%増を上限とする「125%ルール」もある。

 「5年ルール」や「125%ルール」は、あくまで返済金額が固定されることや、返済金額の引き上げの上限を設けるだけであり、金利上昇時にはその分の返済額は増加し、それによって元金が減りにくくなるデメリットがある点にも注意が必要となる。

 また、ネットバンクなど「5年ルール」や「125%ルール」を適用しないところがある点にも注意が必要となる。

 変動型のローンで、今後もし短期金利が上昇するといったケースとなった場合に、金利上昇時に利払いを増やしたくないとするのであれば、繰り上げ返済も選択肢となる。

 住宅ローンの固定金利は「長期プライムレート」と呼ばれるものがもとになって決まる。長期プライムレートとは優良企業へ1年以上の融資を行う場合の最優遇金利だが、これは債券市場で決定される。ただし、日銀の長期金利コントロールでは日銀が上限を決めていた)長期金利を元にして決められている。

 固定金利タイプには固定金利選択型と全期間固定金利がある

 固定金利選択型は、一定期間は固定金利となり、期間満了後は固定金利と変動金利を選択できるタイプ。原則一定期間内に変動金利へ変更することはできない。金利の固定期間が終わると自動的に変動金利へと移行する。しかし、そのときに金融機関が取り扱っている範囲内で、再び一定期間の金利を固定することも可能。

 全期間固定金利は、全期間金利が固定されるため、借り入れ時に総返済額が確定するタイプとなる。完済まで毎月の返済金額が変わらないため、家計管理がしやすい点がメリット。金融機関側からすると長期の契約となることで、金利変動によるリスクが大きくなるため、3つのタイプの中では最も金利が高くなる傾向がありる。

 住宅金融支援機構が公表している「住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)」によると「変動型」:72.3%(2022年10月調査 69.9%)・「固定期間選択型」:18.3%(同20.1%)・「全期間固定型」:9.3%(同10.0%)となっている。

「住宅ローン利用者の実態調査」(住宅金融支援機構)

https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_user.html#data01

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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