利下げ急ぐ必要ないとFRB議長
FRBのパウエル議長は14日、最近の米経済が「目覚ましく良好」に推移しているとし、慎重なペースで政策金利を引き下げる余地が生じていると述べた(15日付ブルームバーグ)。
パウエル議長は「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」とし、「現在、われわれが目にしている経済の強さにより、慎重な決定を行うことが可能になっている」との見解を示した。
13日にダラス連銀のローガン総裁は、追加利下げの必要性は高いが、金融政策がどの程度景気抑制的であるかについては不確実さがあるとして、現時点でわれわれは慎重に進めるべきだと考えている」と述べていた。
FRBは11月6、7日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の0.25%引き下げを決めた。
市場では12月のFOMCでも0.25%の利下げを決定するとみているが、利下げを見送る可能性が出てきた。
足元の米経済は思いのほかしっかりしていることもあるが、今後の物価については上昇圧力が強まる懸念もある。
それを見越してすでに米長期金利は4.5%近くまで上昇してきている。
次期大統領となるトランプ氏は関税の引き上げや不法移民の強制送還などを掲げていた。
連邦議会選では共和党が上院の過半数を獲得。下院でも多数派となり、いわゆるトリプルレッドとなった。トランプ氏の政策が進めやすくなる。こうした政策が輸入物価の押し上げや人件費の上昇につながり、物価上昇要因となりかねない。
このためFRBも金融政策を慎重に進める可能性が出てきたといえる。