「口が軽い上司」は職場全体からの信頼を失くすので注意
口が軽い上司は、自分の口が軽いという事に自覚がないケースがあります。知らないうちに部下からの信頼を失くしているものです。
ここでは、口の軽い上司の特徴をご紹介します。
なぜ「ここだけの話」が広まってしまうのか
「このことは秘密なんだけど」と打ち明けた内容が、職場であっという間に漏れていた経験を持つ方はいませんか。私自身も、上司ひとりに話したつもりの内容が、職場全体に伝わってしまった苦い経験を持っています。
なぜこんな事態が起こるのでしょう?それは、打ち明けた部下は「ここだけの話」のつもりだったとしても、口が軽い上司は「他人の秘密を守る義理などない」と心のどこかで認識しているからです。口が軽い上司にとって、他人の打ち明け話は「いい話のネタ」に過ぎません。しかも大体の場合において、口が軽い人は、職場のゴシップに目がなく、情報を聞きつけるのが早いものです。
そう聞くと、「自分は秘密を守る人間だから、当てはまらない」という気分になるでしょう。しかし、口が軽い上司は、自分ではそうと気づいていない場合も少なくありません。部下から信頼される上司になるためには、「自分は口が軽い上司ではないか」と自らを見つめ直してみることが必要です。
ネタのつもりで秘密をバラす「口が軽い上司」
たとえば部下から、深刻な相談をされるとします。そうすると、どんな上司でも「自分を信用して打ち明けてくれたのだ」と嬉しく思うはずです。そして、常識的な上司なら、たとえ「誰にも言わないでください」と念を押されなくても、信用に応えようと秘密を漏らすことはせず、部下を支えます。
しかし、口が軽い上司はそうではありません。信用して打ち明けてくれたことを、誰かに自慢したくなってしまうのです。「私はこんなことまで相談された」「信頼されているんだぞ」と人に言いたくてしょうがありません。自分では自慢話をしているつもりもなく、ついつい人に話してしまいます。ましてや、漏らした相手が聞き上手だったりした場合には、もう止まりません。「こんなことも言っていた」「しかも、あんなことも」と話を膨らませます。部下の打ち明け話は、話を盛り上げるための、とっておきのネタ扱いなのです。
でも、相槌を打って聞いている方は、どう考えているかわかりますか?「◯◯さんの大切なことを暴露してしまう信用できない人だな」「自分もこの上司に話すと人にバラされてしまうだろうから、相談はやめておこう」と思っているのです。
部下の事情より話の面白さを優先
「他の人には内緒だよ」「よそでは言わないでね」と言いながら、部下の秘密を漏らしてしまう上司は、部下のことを大事にしているとは言えません。部下の事情より、自分の話の面白さを優先しているといっても言い過ぎではないでしょう。
「◯◯さんは、借金が多いんだそうだ、心配だね」という言葉は、一見◯◯さんを心配しているようですが、その実、秘密を暴露したいだけです。このように、口が軽い上司は部下の気持ちを考えず、自己中心的であると言えるでしょう。
軽い気持ちのその一言が命取り
口が軽い上司は、部下から信用されません。一度秘密を広められた部下は「裏切られた」と思い、再び悩みを打ち明けることはないでしょう。職場では表立って事を荒立てることはなく無難に接するかもしれませんが、心中は穏やかではなく一度壊れた信頼が戻ることはないでしょう。部下の方から「あれは話してほしくなかったです」と、口に出すことはほぼないと理解してください。
また、口が軽い上司は、そもそも「言っていいこと」と「悪いこと」の判断ができません。部下は自分に相談できたのだから、他の人にも同じ内容を話してもいいだろうと考えています。そこには、悪意も罪悪感もないのです。そんな口が軽い上司にとって、他人の抱える事情や困りごとは、理想的な話しのネタ。部下にとっては深刻な悩みでも、上司にとっては大したことだと思えず、ポロっと人に話してしまうのです。
プライベートの借金話を暴露された部下
私が実際に聞いた話です。
従業員数30名ほどの会社で、部長の男性が、部下である主任の男性から相談されました。
部下「実は話しにくいのですが、借金返済のために、残業を多めにさせてもらえないでしょうか」
上司「なるほど、それは大変だ。でも、なぜ借金を?」
部下「それが、ギャンブルにのめり込んでしまったんです」
上司「そうか、奥さんも承知のことか?」
部下「秘密にしています。だからこっそりと返したいんです」
上司「わかったよ、できるだけ残業ができるように仕事量を図るよ」
部下「ありがとうございます。お願いします」
こんな会話があった次の日のことです。「主任がギャンブルにのめり込んで借金をつくり、まだ奥さんには知られていないので残業を増やして返済したい」と、さっそく部署中に広まっていました。
口が軽い部長にとってみれば、相談は格好の話のネタだったのです。この機を逃してはなるものかと、「借金の理由は?」「奥さんは知っているのか?」と質問を重ねて詳しい情報を引き出した上で、部署内にバラしたのです。
当の主任の男性は、「部長に話した自分が愚かでした。でも、仕事の調整をつけてもらう以上、話すしかなかったんです。これからは、秘密にしたいことは絶対に部長には言いません」と、社内で肩身が狭くなったことを嘆いていました。
話を聞いた女性の事務員は、「部長は個人のプライベートの話も、あっさり言ってしまうんです。何かにつけてデリカシーがなくて、話していいことと良くないことがわかっていないんですよ。だから、部下がついてきません」と語っていました。
部長はというと、自分が悪い事をしたとは思っていません。役職が上がるほど、自分に対して指摘をしてくれる人はいなくなります。社長や専務など、役職が上の人ほど、自分が「口が軽い上司」ではないか、胸に手を当てて考えてみることが大切です。
部下が本当に求めていることは何か
こんなケースを考えてみましょう。
たとえば、パワハラの相談を受けたとします。パワハラをされた人はなぜ相談してきたのでしょう?パワハラを解決したい場合ももちろんあるでしょうが、場合によっては、ただ話を聞いてもらいたいこともあります。
そんな時、自己判断で相手に話し合いを持ちかけて事を大きくしてしまうと、「そんなつもりではなかったのに」と相談した方が後悔してしまうことがあります。
まず、部下に相談されたことは、基本的に誰かに話してはいけません。中でも、部下の評判に関わることや、ブライベートに関することは、口外は厳禁です。秘密を漏らしてしまったばっかりに、部下の信頼を損ね、仕事へのモチベーションを下げてしまうことにもつながります。
まずは、相談を真剣に聞き、「何をしてほしいと思っているのか」を探りましょう。悩みを解決してほしいのか、聞いて欲しいだけなのか、意見を聞きたいと思っているのか、よく考えてみましょう。考えた上で動くようにすれば、「あの上司に相談したら最後だ」と陰口を叩かれなくても済むでしょう。
まとめ
オフィスの場において、「口が堅い人」はそれだけで絶大な信頼を得られます。人から信頼される人は、「何を言っていいのか悪いのか」を熟知しています。
人の秘密をネタとして安易に扱う上司は、秘密を漏らされた部下からも、秘密を伝え聞いた部下からも、同時に信用を失っているのです。基本的に相談されたことやプライバシーに関わる内容を口にすることはやめましょう。
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太田 章代