ゆうこす、アイドルからニート生活…そして人気クリエイターに!
10~20代の女性を中心に、モテクリエイターとしてSNSで話題を集めている“ゆうこす”こと菅本裕子さん(23)。「HKT48」の1期生として活動し、NHK「紅白歌合戦」にまで出場したものの、約1年で脱退。ニート生活を経て、昨年、会社を設立しました。どん底のニート時代からモテクリエイターとして日々情報を発信する現在まで、どのように過ごしてきたのでしょうか。現在の心境とともに語ってもらいました。
それってクリエイターじゃない?
私自身、夢というものがずっとなかったんです。やりたいことも特になくて。それでも、自分の好きなことだけをして、それが仕事になるのが夢だった。その“好きなこと”というのは、コスメとかファッションだったんですけど、それらを発信することが仕事になればと思い、SNSを活用しました。
モテクリエイターという肩書きを作るつもりはなかったんですが、SNSのために動画製作や画像編集などをしていたら、周りから「それってクリエイターじゃない?」と言われて。概念もルールもないんですけど、仕事内容は、いろいろな情報収集をして、“モテ”にまつわることをSNSで発信するのがメインです。
気持ちを肯定したかった
モテ教室というのも開催して、私なりのヘアメイク方法、ファッションなどを伝えています。今まで女の子がモテたいといえば、「ぶりっこ」とか「あざとい」と思われて、言っちゃいけない風潮があったと思うんですけど、私はそれがイヤだった。心の底ではモテたいとみんなが思っている気持ちを私が肯定することで、「みんなでモテよう!」みたいな、ポジティブな気持ちになってほしかった。
モテ教室に参加してくれる方々の年代は幅広いです。モテクリエイターとしての活動はもともとインスタグラムで始めたのですが、インスタグラムではデパートコスメの紹介が多かったため、女子大生から上の年齢の方が多かったんです。でも、去年11月からYouTubeでの配信を始めたら、中高生の女の子たちが見てくれるようになって。なので、イベントを開くと小学生から40代の方ぐらいまで来てくださいます。
女の子は愛されるべき!
私の発信する“モテ”は、男の人に対してのものだけじゃありません。男女問わず、「人に愛されたい」というものです。うれしいことに、「自信がつきました!」とか「ポジティブになれました!」といった反響もいただいています。もちろん、外見だけではなく、内面的なことも伝えています。
実は質問コーナーに一番時間を割いているんです。質問の内容は、自分に自信が持てなかったり、浮気された人の相談が多いかな。私は女の子は愛されるべきだと思っています。だから、浮気をされて我慢している人には、「まずは自分で自分を愛してポジティブになって、それで自分のことを好きと言ってくれる人を待つべきだよ」と話しています。
相手をギャフンと言わせたいとか、見返したいとか、怒りの感情になっている人が多いので、「そんな男を相手にするだけもったいない」ということを伝えたいんです。
イベントはたった3人だったことも
ツイッター、インスタグラム、LINE@、YouTube…とすべてのSNSを合わせるとフォロワーは80万人を突破しました。ちょうど2年前の秋に開催したイベントには、3人しか来てくれなかったんです。だからこの2年間でだいぶ環境は変わりました。常に情報を発信し続けていますが、それ自体は苦痛ではありません。今よりも、発信できない時の方がつらかった。というのも、今、本当に好きなことだけを発信しているから。
アイドルをやめた後もSNSはしていましたが、仕事がないのにいかにもある風な雰囲気を出して見栄を張ったりしていたんです(苦笑)。まぁ…ウソですよね。偽ったり、カッコつけていたこともあったので、その時はキツかったです。今は好きなことだけを発信していているし、発信すればリアクションしてくれるファンのみんな、仲間がいるので「常に発信したい!」と思っています。
発信したくて泣いている時もありますよ(笑)。ツイッターだとすぐに発信できますが、1本につき、だいたい製作に10時間ほどかかるYouTubeはすぐに発信できない。YouTubeでの発信を待ってくれている人がいるのを分かっているだけに、アップできない葛藤での悔し泣きですね。でも、頑張って1週間に4本をアップした時もありました。その週はほかの仕事をセーブして、寝ないでYouTubeに集中していました。
もともと、私は見切り発車でSNSを始めました。まずは始めてみないと世間の反応も分からないし、気付かないこともたくさんあります。もし失敗しても、それはそれでいいかなと思っています。だからこれからSNSで自分を表現したいと思っている人、夢を叶えたいと思っている人には、まずは始めることをオススメします。
もちろん、アンチだとか、たたかれたりとか、動画の投稿を間違ったりとか、いろいろありました。でも、やっぱりやってみないと分からないことがたくさんあるんですよね。
恋愛をしたかった
アイドルをやめた理由は、モチベーションを保てなかったのと、あとは恋愛をしたかったのと(笑)。当時、普通に高校に通っていたのですが、周りが恋愛していてうらやましかった。それに、2時間くらいしか睡眠がとれなかったり、急に人前に出ることになったり、たたかれることもあったり…精神面もボロボロになっちゃたんですね。
アイドルをやめた後は実家にいて、“自宅警備員”をしていました。ニートですね。やめた時にデマを流されたこともありました。私が言われるだけならいいのですが、家族が被害を受けるのはつらかった。妹が小学生、弟は大学生で多感な時期だったし、私がニートになったことで両親も親戚からいろいろ言われていたと思うんです。それがすごくつらかったし、どん底でしたね。
でも今、炎上したり、たたかれた時には、一瞬…2秒くらいは傷つきますが、ポジティブな方向に持っていけるようになりました。アイドルをやめた時、「アイドルしてたんだから、やめても愛されてるだろう」というおごりがあったんです。
当時もフォロワーは3万人くらいいましたし。それなのに、実際にファンイベントをしたらお客さんは3人だったという現実。以前はみんなの声に耳を傾けて、みんなに好かれようと思っていたんですが、でもそれって、おもしろ味のない人間だなと気付いて。それからは、逆にたたかれることをポジティブにとらえられるようになれました。
SNSで成功する3ヵ条
私はニートからの脱却のきっかけがSNSだったわけですが、SNSで成功するための3ヵ条を挙げるなら、[1]仲間(フォロワー)を大切にすること、[2]フォロワーだけに向けて発信しないこと、[3]私のSNSのアカウントを見る意味をつけること、でしょうか。
3つに共通してしまうかもしれませんが、フォロワーだけに向けて発信していては、もちろんフォロワーは増えません。より多くの人に見てもらえて、初めて仕事になるんです。たとえば、自撮りの写真とともに「おはよ~♪」というだけの投稿なら、フォロワー以外、私のSNSを見る意味がない。もちろん、なんとなくSNSをやっているだけならそういう投稿もいいと思います。ただ、私のように好きなことを仕事にして何かを発信したい、フォロワーを増やしたいという人なら、この3つは大事かなと思います。
SNSの中でも注目しているツールはライブストリーミングですね。中国でも流行っていますし、今ではツイッターやインスタグラム、フェイスブックにもライブ機能がつきました。私は毎日のようにライブ配信をしているのですが、たとえばお酒を飲んでフォロワーさんとまったりトークをしたり、モノを売ってみたり、いろんなことをしています。私は自分の作ったものを自分で販売して1番になりたいなと思っていて。
ちなみに先日はボディジェルを自社で作って配信・販売をして500個売りました。ライブストリーミングの世界でNo.1になりたいです。
我ながらおもしろい人生
もちろん、ニート時代よりは収入も増えました。9月には「SNSで夢を叶える ニートだった私の人生を変えた発信力の育て方」(KADOKAWA刊)という本も発売しましたし、会社としては、年商1億円に届くくらいになりました。とはいえ、家賃を払えるようになったのは去年の夏。8月に会社を立ち上げるまでは家賃を払えませんでした。
今、まだ23歳ですが、人生を振り返ってみると、私の武器は私の人生すべてであって、つらい時期も絶対になければいけないことでした。いきなりアイドルになって「紅白歌合戦」に出て、でも1年ほどでアイドルをやめて、ニートになって、そこからお金も払えない状態だったけど会社を作って、1年足らずで夢をかなえられて…。我ながらおもしろい人生だなと思います。(撮影:KOZOクリエイターズ)
<インタビュー後記>
『モテたい』を全面に押し出しているゆうこすさんなので、とても押しの強い方なのかと想像していたら、お会いした瞬間、ふわっとした温かみが感じられました。また、“モテるための見せ方”などにこだわっているとあって、写真の撮られ方には注文が入るかと思いきや、全くの自然体。そして「HKT48」を辞めた理由が「恋愛したかった」って(笑)。若くしていろいろ経験したからなのかもしれないが、生き方にまったく肩の力が入っていないところが、好きなことだけをしているという今の充実感の表れなのかもしれません。
■プロフィール
菅本裕子(ゆうこす)1994年、福岡県生まれ。2012年にアイドルグループ「HKT48」を脱退後、タレント活動に挫折し、ニート生活を送るも、2016年に自己プロデュースを開始。「モテクリエイター」という新しい肩書きを作り、起業。現在はタレント、モデル、SNSアドバイザー、インフルエンサー、YouTuberとして活躍中。10~20代女性を中心に自身のインスタグラムやYouTube チャンネルで紹介するコスメなどが完売するほど、その影響力は絶大であり、またライブ配信中に商品を販売する“ライブコマース”におけるパイオニア的存在でもある。近著に「SNSで夢を叶える ニートだった私の人生を変えた発信力の育て方」(KADOKAWA刊)。