ウクライナ軍、ロシア軍のドローン破壊累計1300機:キーウでは警察官が銃でイラン製神風ドローンを迎撃
2022年2月24日から10月20日までに破壊したロシア軍のドローン1300機突破
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。
ウクライナ軍によると2022年2月24日から2022年10月20日までの約8か月の間でロシア軍兵士の戦死者は66,650人以上で、破壊したドローンは1300機を超えた。
2022年10月11日までに破壊したロシア軍のドローンが累計1100機、10月15日までに1200機、そして10月16日、17日、18日、19日、20日までの5日間で100機のロシア軍のドローンを撃墜して1300機を突破した。以前は1日に数機程度で10機以下の日が多かったが、10月に入ってからは1日に20~30機のロシア軍のドローンを破壊している。以前に比べるとウクライナ軍が1日に破壊しているロシア軍のドローンの数がかなり増えている。両軍とも監視・偵察ドローンや攻撃ドローンをかなりの規模で飛ばしているので、カウントされずに破壊されたドローンを含めるともっと多いだろう。
特に2022年10月にはロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んで行き爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に撃墜して攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ていると報じられている。
ウクライナ軍はキーウや主要都市の文民たる住民を保護するためにも、上空のドローンを徹底的に破壊しておかないといけない。そのためキーウでは地元の警察官が銃で上空のイラン製神風ドローン「シャハド136」を迎撃しており、何機かの「シャハド136」を墜落させている。その様子は市民や監視カメラなどで撮影や録画されており、国内外の多くのメディアでも報じられている。英国のメディア「ザ・サン」はイラン軍の神風ドローンに銃で果敢に立ち向かい迎撃して、キーウ市民を守っている警察官を讃えて「英雄」と報じていた。ただし警察の銃が命中しても地対空ミサイルのように上空で破壊されずに、地上に落下して爆破してしまうこともあるようだ。
▼キーウの警察官が銃でイラン製軍事ドローンに迎撃を行うことを伝える海外のメディア
ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。
特に偵察ドローンは探知されやすく、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。回収されて再利用されないためにもドローンは上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。
2022年10月に入ってからはロシア軍が首都キーウにも軍事ドローンで攻撃をしている。警察官の銃による迎撃だけでなく、地対空ミサイルなどを用いて上空で"ハードキル"によって攻撃ドローンを徹底的に破壊しておくことがウクライナ国土の防衛にとっても重要である。
破壊された装甲戦闘車両が約5250台、戦車が約2560台、大砲が約1640門なのでそれらに比べると破壊されたドローンは1300機なので多くはない。また戦車や大砲の多くも上空からウクライナ軍がドローンで爆弾を投下したり、ドローンごと突っ込んでいき破壊したりしている。
▼ウクライナ軍の発表