新型コロナワクチンは年齢や性別、基礎疾患によって効果や副反応が異なるのか
高齢者へのワクチン接種が進み、6月21日からは職域接種が始まり高齢者以外の若い世代の方にも接種が行われるようになります。
年齢や性別、基礎疾患によってワクチンの効果や副反応の頻度は異なるのでしょうか?
mRNAワクチンでは高齢者や基礎疾患のある人にも高い効果
これまでのワクチンは、高齢者や基礎疾患のある人などの「本来一番感染症から守りたい人たち」に対する効果が弱くなると考えられています。
これは、ワクチンは体の免疫反応に働きかけるものであり、高齢者はこの免疫反応が弱くなることがあり、その結果ワクチン効果が低くなるためです。
では新型コロナワクチン、特に日本国内で接種が進んでいるmRNAワクチンの効果は年齢や基礎疾患で差はあるのでしょうか?
ファイザー製のmRNAワクチン(BNT162b2)を世界でも率先して接種を行い高い接種率を達成しているイスラエルにおける研究では、実際の感染予防効果および発症予防効果が、性別、年齢、基礎疾患の有無でそれぞれ報告されています。
これによると、性別では大きな違いはなく、また年齢別でも高齢者を含めいずれの世代も軒並み90%以上と極めて高い予防効果を示しています。
・・・ぱねえ
おっと・・・またしても心の声が漏れてしまいました・・・。失礼致しました。
ちなみにワクチンの予防効果90%とは「90%の人には有効で、10%の人には効かない」または「接種した人の90%は罹らないが、10%の人は罹る」という意味ではありません。
「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率のほうが90%少なかった」という意味であり、言い換えると「感染や発症のリスクが、10分の1になる」とも言えます。
基礎疾患の有無については、さすがに3つの基礎疾患を持っていると80%後半と多少は効果が落ちてしまいますが、1〜2つの基礎疾患を持っている方でも高い効果が得られていることは心強い結果です。
「男性」「肥満」「高血圧」という三大重症化リスクを持つ私としても、この報告に胸をなでおろしました。
さて、前述の研究で言うところの基礎疾患とはCDCが重症化リスクとしているがん、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、など様々な疾患を含んでいますが、それぞれの基礎疾患ごとにワクチンの効果は異なる可能性があります。
例えば、移植後に免疫抑制薬を飲んでいる方など免疫の落ちている方では感染予防効果が71%まで落ちたという、同じくイスラエルからの別の報告があります。
ワクチン効果ではなく抗体の上昇を確認した研究になりますが、がん患者の90%で抗体上昇が得られたものの、健常者よりも抗体価は低かったという報告もあります。
やはり免疫不全者やがん患者では、ワクチン効果はやや落ちてしまう可能性があります。
しかし、こうした方々のワクチン効果がやや落ちるからといってワクチン接種をする意義がないかというと、そんなことはありません。
なぜなら、こうした方々は新型コロナに罹ってしまった際には他の方よりも重症化しやすいため、多少効果が劣ったとしても感染や重症化を防ぐためにワクチン接種が望ましいと言えます。
副反応の頻度は年齢や性別で異なる
一方で、副反応は性別・年齢によって異なります。
ワクチン分科会副反応検討部会の資料によりますと、年齢が高くなればなるほど発熱やだるさなどの全身症状は頻度が低くなるようです。
また差は大きくありませんが、男性よりも女性の方が頻度が高いようです。
こうしたデータを見ると「どうせ自分は若いから感染しても重症化しないから、熱出たりするなら打ちたくないなあ・・・」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、こうした症状は長くても2日程度で落ち着きます(2日以上続く場合はワクチンの副反応の可能性もありますので、病院の受診をご検討ください)。
また、新型コロナワクチンは接種した自身が感染しにくくなることで、周りの人にも広げない効果があります。
自分の家族や周りの人を感染から守ることができる、ということも含めて接種についてご検討いただければと思います。