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トレバー・バウアーの特製スパイクにMLBが待った! “ジョー・ケリーを解放せよ”の強烈メッセージ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
自ら考案した特製スパイクが使用できなかったトレバー・バウアー投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【バウアー投手のツイートが騒動に】

 所属選手に新型コロナウイルスの陽性反応者が確認されたため、8月14日のパイレーツ戦を前に活動を休止していたレッズが、ロイヤルズとのダブルヘッダーで5日ぶりに活動を再開した。

 ところが第2試合に先発予定だったトレバー・バウアー投手が試合前に投稿したツイートが、MLBを巻き込んでの騒ぎとなり、メディアも続々報じることになった。

 これまで事あるごとにMLBを批判してきたバウアー投手だが、その姿勢を変える様子はまったくない。

【MLBが特製スパイク使用を事前警告】

 まずは騒ぎの元になった、バウアー投手のツイートを見てほしい。

 クラブハウスから投稿された動画付きツイートは、バウアー氏が「登板日だ。今日使用するスパイクだ」と話ながら、1足ずつ特製スパイクを披露している。

 左足のスパイクには、MLBから8試合の出場停止処分を受けたドジャースのジョー・ケリー投手が、処分を受ける理由の1つになった、アストロズ選手に対し行った挑発するような表情をそのままプリントしている。

 そして右足のスパイクには、赤い文字で「FREE JOE KELLY(ジョー・ケリーを解放せよ)」とプリントされている。

 ケリー投手に処分が下ると、各所から60試合の短縮シーズンでの8試合の出場停止は重すぎるとも声が上がったが、その急先鋒の1人がバウアー投手だった。ケリー投手は処分を提訴し5試合に軽減されたが、現在負傷のため戦線離脱しているため、復帰後最初の試合から処分対象になる。

 これを知ったMLBはすぐさま反応し、レッズに連絡をとり、バウアー投手のスパイクはルール違反だと通告してきたようだ。

【特製スパイク使用で退場処分と更なる処分】

 レッズから説明を受けたバウアー投手は、ESPNのジョン・パッサン記者に連絡を入れ、特製スパイクを使用しないようMLBから脅された旨を報告したようだ。

 パッサン記者の記事によれば、MLBはレッズに対し、もしバウアー投手が特製スパイクを使用しているのを審判が確認した時点で、退場処分にするとともに、さらなる処分を受けることになると通告してきたという。

 MLBのスパイクに関する規則では、選手が個人的なメッセージやイラストを加えることが許可されている一方で、MLBや所属チームはスパイクのデザインを認めない権利を有しており、認可を取り消すこともできるようになっている。

 もちろんバウアー投手はMLBの規則に違反しているとは考えておらず、だからこそ試合で使用していたのだ。

【コミッショナーとの抗争はさらに激化?】

 これまでも事あるごとにMLBを批判してきたバウアー投手は、時にはロブ・マンフレッド・コミッショナーを名指して批判することもしばしばだった。

 ただスプリングトレーニング期間中にアリゾナで個別会談が実現し、バウアー投手は「建設的な会話ができた」と話し、雪解けムードになった時期もあった。

 しかし新型コロナウイルスによる活動休止中に、シーズン開幕に向け選手会との協議が難航する中、再びMLBに牙をむき、「自分がコミッショナーならもっといい仕事をする」とコミッショナーを批判し続けた。

 またシーズン開幕以降も、「BAUER FOR COMMISSIONOR(バウアーをコミッショナーに!)」とプリントされた特製Tシャツを着用し、オンライン会見に登場したこともあった。

 さらにチーム内クラスターが発生し、マンフレッド・コミッショナーが選手たちにプロトコルの徹底を求める発言をした際にも、「自分は一切の責任を取らず、すべて選手に責任を押しつける」と批判を加えている。

 2人の抗争は、まだまだ激化していきそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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