2023年6月にウクライナでドローンで地上に落ちているドローンなどを回収するためのフックを使ったデモンストレーションの動画が公開されていた。今回公開されたフックは地上に落ちているドローンなどを掬い上げやすいような作りになっている。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ軍ではドローンで上空からロシア軍への攻撃の様子を撮影して、その動画や写真をSNSで公開して世界中にアピールしている。ロシア軍への攻撃シーンや撃墜したドローンの残骸の写真や動画が多い。そして機能停止されたり破壊されたドローンは地上に落ちたままになっていることが多い。

ウクライナ軍ではドローンにロープとフックなどをつけて、戦場に落ちているドローンの回収を行っている。ウクライナ軍はドローンでウクライナ軍の破壊されたり機能停止させられたドローンの回収をすることが多い。機能停止させられたり破壊されたドローンを、別のがロープで釣り上げて、空を飛んで運んでウクライナ兵の元に戻ってくる。

徹底的に破壊されたドローンは再利用は不可能で、新しいドローンを調達した方が安上がりである。だが敵に回収されて部品などが再利用されることも多い。ロシア軍はロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」の部品を再利用している。地上に放置されたドローンを回収しておけば、敵軍に回収されて再利用されることもない。また爆弾を搭載したまま落下したり機能停止させられた神風ドローンも不発弾と同じで危険なので、上空からドローンで回収しておいた方が一般市民や兵士が触ってしまい爆発して犠牲になることを回避できる。

▼地上に落ちているドローンを掬い上げるフックのデモ動画

2023年5月にはウクライナ軍の中国DJI製の監視用ドローン「T30」でロシア軍の監視ドローン「Orlan-10」をロープで拾いあげてくる動画を公開していた。

▼ウクライナ軍の中国DJI製の小型民生品ドローンでロシア軍の監視ドローン「Orlan-10」を回収（2023年5月）

2023年1月と2月にも機能停止されて草原に落ちていた中国のDJI製の民生品ドローン「Mavic3」を、別のドローンがロープを垂らしてフックをつけて、釣り上げて回収している動画をウクライナ軍が公開していた。

▼ドローンが破壊されたドローンをフックで釣り上げ（2023年1月）

▼ウクライナ領土防衛隊の元に帰還する中国のDJI製のドローン「Mavic 3」(2023年2月）

またウクライナ軍では戦場に落ちているロシア軍のトランシーバー（walkie talkie：ウォーキートーキー）を上空のドローンが発見して、ドローンにロープとフックをつけてトランシーバーを拾うことに成功していた。トランシーバーは故障したり破壊されたりしていないようで、ロシア軍の会話を9日間も聞くこともできたと報じられていた。

上空からドローンで監視して、地上に落ちているドローンやモノを見つけたら、フックとロープを垂らして引き上げて飛行してウクライナ兵の元に戻ってくる。ドローンは上空からの監視・偵察と爆弾落下や激突による攻撃だけでなく、このように地上に落ちているモノやドローンを回収することにも貢献している。

▼ドローンのロープとフックでロシア軍のトランシーバーを拾得するウクライナ軍