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朝食抜きがおすすめできない理由。朝食におすすめのメニューとは?

松崎恵理一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家
(写真:イメージマート)

リモート勤務から通常の通勤に切り替わった人も多くなってきました。

朝、家を出るまでが時間がなさ過ぎて朝食を食べる時間がありません、という人も多いのではないでしょうか。

また、ダイエットなどを目的に朝食を食べない人もいらっしゃるかもしれません。

そこで、朝食抜きがおすすめできない理由とおすすめの朝食をご紹介したいと思います。

■朝食抜きがおすすめできない理由

その1:1日2食では、必要な栄養素を十分に取れない可能性が高い

私たちのからだを維持するためには、さまざまな栄養素が必要です。炭水化物、たんぱく質、脂質、ミネラルとビタミンの種類を合計すると約30種類もの栄養素が必要になります。

朝食を抜くとその分摂取カロリーは減りますので、ダイエットなどを目的に朝食を食べない人もいらっしゃるかもしれませんが、カロリーが減っても、必要な栄養素が不足すると代謝に必要な栄養素が足りなくなり、痩せにくいからだになってしまうと考えられます。また、必要な栄養素が足りなくなることで、なんとなく体調がすっきりしないなど、日々のちょっとした不調につながりやすくなります。

その2:朝食を食べることで体内時計が整う

私たちの体内時計の周期は個人差はあるものの、概ね24時間を超えていることが分かっています。ところが1日は24時間しかありません。そのため、朝の光を浴びることと朝食をとることで、わたしたちのからだの中に存在する体内時計をリセットして整えています。このずれを修正できないと、睡眠と覚醒のリズムに乱れが生じ、睡眠障害の原因になることが分かっています。朝食を食べることで自分の体内時計をリセットし、からだのリズムを整えることがとても大切です。

写真:アフロ

■どんな朝食がおすすめか

理想は、炭水化物(糖質と食物繊維)とたんぱく質、ビタミンが揃った食事と言えます。つまり、ごはんと魚などのおかずに野菜たっぷりの味噌汁のような和定食がおすすめです。炭水化物はできるだけ穀物からとるのが理想です。理由は、穀物からとることで食物繊維やビタミン、ミネラルの摂取も期待できるからです。和定食がおすすめの理由は、パンとサラダと卵などの洋食型の朝食は、どうしても脂質を摂りすぎてしまう傾向があるためです。

洋食型の場合、パンに含まれる脂質にさらにバターなどを塗り、サラダにはドレッシング、卵料理も油をつかったりベーコンを添えるなど、どうしても脂質が多くなってしまいがちです。朝食は洋食派の方は、脂質の摂りすぎにならないようにパンの種類やドレッシングの種類に気を付けるとよいでしょう。

■朝食でもしっかりたんぱく質をとる

たんぱく質は、体重1キログラムにつき約1gほど必要だといわれています。体重55kgの方であれば、1日に食べるべきたんぱく質の量は、約55gです。このたんぱく質量を2回でとろうとすると、1食で食べるたんぱく質は27.5gとかなり多くなってしまい、摂取が難しい場合が多いと考えられます。3回に分けて食べるとした場合でも1回の食事で18gほどのたんぱく質を摂る必要があります。

たんぱく質量は、卵1個で約6g、納豆1パック(40g)で約6.6g、木綿豆腐(100g)で7g、鮭1切れ(70g)で約15.6gほどです。そのため卵だけ、納豆だけではたんぱく質量が足りません。豆腐を加えたり、卵と納豆を組み合わせるとよいでしょう。たんぱく質量が足りない時は、ヨーグルト(全脂無糖)100gでたんぱく質は3.6gほど含まれますので、ヨーグルトを足すのもおすすめです。そのほかにもちくわや魚肉ソーセージやウインナソーセージなど手軽に食べられる食材を取り入れるようにすると良いでしょう。

写真:アフロ

■時間がない人や朝食を食べる習慣がない人におすすめの朝食メニュー

長年朝食を食べる習慣がない人や、朝食を食べる時間的な余裕がまったくない人の場合は、どうしたらよいでしょうか。長年朝食をとる習慣がない人が、無理やりしっかりした朝食を食べるのは辛いかもしれません。そのような場合は、スープや味噌汁、ヨーグルト、果物など食べやすいものを取り入れるところから始めてみましょう。

味噌汁や野菜スープを作り置きしておくのもおすすめです。この時に野菜だけではなく、ぜひたんぱく質も摂取できるように卵をいれるなどの工夫をするとよいでしょう。

時間がまったくないという人は、たんぱく質と食物繊維が両方とれるような飲み物、例えば豆乳と野菜ジュースなどを摂るようにするのも良いでしょう。最近は手軽にたんぱく質を摂取できるプロテインバーなども販売されていますので、そうした商品を利用するのもおすすめです。

朝食をしっかり食べて、毎日を元気に過ごしたいですね。

写真:アフロ

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家

博士(栄養学)、料理家。専門は栄養疫学。栄養学を学ぶ栄養検定を実施・運営。美味しく健康的なレシピ作りも得意。日本栄養・食糧学会会員。慶應義塾大学卒業。オートファジーコンソーシアムアカデミア会員、栄養士養成校にて「統計学」の非常勤講師。LE CORDON BLEU(代官山校)料理を首席で卒業しグランディプロム取得。Paris Ecole Ritz Escoffier 短期クラス修了。問い合わせは、https://eiyokentei.or.jp/message/ から。毎週月曜朝、日本栄養検定協会無料メルマガ配信中!https://system.faymermail.com/forms/7515

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