見落としがちな台風対策 日本のエレベーターは上から脱出できない。かごは上層階に避難を
台風など、水害対策のお話しをしていて、そこは盲点だったと言われる事の多いのがエレベーター対策です。
日本のエレベーターは上から脱出できない
エレベーターで停電すると、自動的に最寄りの階で止まるものも増えてきています。未対応のエレベーターの場合、最寄りの階をおすと、非常用バッテリーで対応できるケースが増えています。
停電時、エレベーターが止まっても非常用の電灯が点灯するので、暗くなりませんし、窒息の危険もありません。慌ててドアをこじ開けようとすると、落下の危険があります。
もっとも、風が強い台風では、電柱の倒壊により、停電が発生する可能性が高まります。あらかじめエレベーターを止めておくことも検討してください。
映画やマンガでエレベーターの上蓋をあけて脱出するシーンがよくがあります。でも、日本のエレベーターは、安全上の理由から、上が開くものはほとんどありません。残念ながら日本では、できないと覚えておいてください。これは知らない人が多いです。「どうやって脱出します?」と聞くと、大人もこどもも、上を指差してくれるのですが、脱出できません。こどものマンガやアニメでもよく上から脱出しているシーンがありますが、これからは脱出できないシーンを描いてほしいと思っています。
エレベーターに冠水や浸水が発生したら
乗り場ドアの隙間などからエレベーターの昇降路に雨水が入り込むなど、冠水や浸水が発生した場合は、エレベーターが故障して動かなくなる恐れがあります。利用できません。感電などの二次災害を防ぐためにもエレベーターを停止させます。詳しい方法は、あらかじめ、エレベーター設置会社やメンテナンス会社に確認しておいてください。
その時、エレベーターに乗っていたら、エレベーター内のすべての階のボタンを押して最初に開いた階で降ります。
閉じ込められた時のために、エレベータ内に非常用のセットを設置している場合があります。まだ設置していないエレベーターも少なくないので、万が一の場合に備え、飲み物、食べ物、災害用の携帯トイレはカバンに入れておきます。
もちろん他の人と一緒だとトイレを使うのは難しいので、災害が予想される時には、エレベーターを極力使わないことも考えておいてください。
停電や地震対策は取られることが増えたエレベーターですが、想定外の揺れが起こるケースなど、災害後の閉じ込めケースは発生しています。万が一の時のために、エレベーターからの脱出訓練を実施しているマンションや病院、商業施設も増えてきています。夏場は閉じ込められてしまうと、停電でエアコンもきかず熱中症も心配です。エレベーター対策は忘れがちですが、事前に検討しておいてほしい事項です。
エレベーターのかごは上層階に
エレベーター施設が浸水すると損害額が大きくなります。ただ、エレベーターかごについては、上層階に避難させておくことができます。 事前に話し合いをしておけば、対策をとりやすいのですが、マンションの住民やオフィスビルでそれを意識した防災訓練が実施されていないと、1階や地下で「かご」ごと浸水してしまう場合があります。機種にもよるので一概にいえませんが、「かご」だけで100万円前後かかる場合があります。見落としがちですが、被災後の損害額を減らすためにも、浸水の危険がある建物のエレベーター「かご」は、台風前に上層階に停止させておくことを覚えておいてください。