シュタイナー教育の先に見える、理想の親とは?
あなたらしく過ごしてますか?
そう聞かれて、「はい!」と答えられる人はどれだけいるだろう? 3度のご飯に、掃除に洗濯・・・。「自分らしさって、何だっけ?」なんて、考える時間も気力もないママはきっと多い。
先月のコラムでお伝えしたNYで浸透しているシュタイナー教育。在米日本人向けに親子クラス「アップルビレッジチルドレンズセンター」http://nysteiner.exblog.jp/で教える松尾タカエさん(2002年 School of Eurythmyで指導資格を取得)がシュタイナー教育を知ったのは、友人の勧めだった。
シングルマザーとしての葛藤
在米21年の松尾さんは渡米前、日本でシングルマザーとして日々奮闘していた。
自分が一家の大黒柱。子供と一緒に過ごしたいが、働かなくては愛する我が子を養ってはいけない。
かんかん照りの日も、横殴りの雨の日も、毎朝子供を園まで送り、後ろ髪を引かれながら職場に向かった。
「保育園にお世話になりながら、幼児教育の大切さを実感したんです。子供と関わる大人の子供への関心、興味というか・・・。自分の子供に関心を示してくれるのが嬉しかったし、自然体で接してくれて、とってもありがたかった」
自分が子供と接することができない時間を、愛情たっぷりに埋めてくれた保育園の先生たち。今でも「しっかり育ったのはあの時のおかげ」。感謝の気持ちで一杯だ。
ちょうどそのころ、友人の勧めで知ったのがシュタイナー教育。シュタイナー教育では、子供は大人の真似を通じて様々な事を覚えて行くため、「子供にとっては、親が最初の先生になる」という考えがある。
日本でのシングルマザー経験から、幼児教育の重要性を痛感していた松尾さんが、シュタイナー教育に惹かれたのも自然の流れだった。
子供に興味を
その後、再婚し渡米すると、2002年にSchool of Euryhthmyで4年に渡るプログラムを終え指導資格を習得。「子供との向かい方のヒントになれば」と在米日本人向けにシュタイナー教育の親子クラスで教えている。
「シュタイナーとかを気にせず、日本の長屋のような感覚なんです。たまに皆で集まって、ワイワイ話してストレス発散の場になってもいいし。海外で子育てをしていると、無理をしなきゃいけない時もあるけど、ふっと力を抜いて素になれる部分が、大人にも子供にも必要なんです」
自分が子供と接する時に気をつけるのは、「その子に興味を持つ事」。
日本で愛情たっぷりに我が子に接してくれた、先生たちのように。
「それぞれの子供には個性がある。批判や比較をするんじゃなく、なんて面白い子なんだろうと、興味を持つ事から始まる」と言う。
「約100年前の教育法なので、時代に応じて変化しても良い」と柔軟なスタンスのため、時たま「私の方法はシュタイナー理論から外れてる?大丈夫?」なんて悩む事もある。
そういう時、一緒に親子教室を教える友人からはこう言われる。
あなたは、あなたらしくいればいいじゃない!
子供は大人の真似を通じて、いろんな事を覚えて行く。
どんな教育法だって、子供にとって最初の“先生”は母親であり父親なのだ。
「大人がどれだけ自然にその人にあった生き方をしているか、それを子供に見せる事だと思う。シュタイナー教育にとらわれるよりは、私が私らしくいればいい。シュタイナーの哲学もきっと、そこに通じるものだと思う」
師も走るほど忙しい年末だからこそ、今一度ゆっくり立ち止まり、澄み渡る冬空を見上げてみるのもいいかもしれない。
私の子供も、あなたの子供も、必ず見ている。私たちの背中を・・・。