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うちの子、家ではやるべきこともやらずダラダラしてます

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

私が先生になりたてのころ、ある親に「お子さんは学校で勉強も係の仕事もがんばってます」と伝えました。

すると、「それは驚きです。家ではやるべきこともやらずダラダラしてます」という反応が返ってきて、今度は私が驚きました。

その後、そういう子はけっこう多いことを知りました。そもそも家でダラダラするのはとても健全なことです。

なぜなら、人は誰でも四六時中がんばることなどできないからです。

大人も外でがんばったら家ではダラダラしたいですよね。家でダラダラして初めて外でがんばるエネルギーがチャージできるというものです。

ですから、家は癒やしと安らぎの場である必要があります。

子どもたちも外でけっこう大変な思いをしている

大人から見ると、子どもはみんな気楽に見えます。でも、決してそんなことはありません。ああ見えてもけっこう大変で、特に外ではいろいろ気をつかいながらがんばっているのです。

授業は毎日何時間もあり、高学年では5,6時間目まであるのが普通です。そして、授業では次から次へと新しいことが出てきます。

ちょっとぼんやりしていると、わからなくなったり先生に叱られたりします。これほど毎日新しいことを詰め込まれる生活をしている人は、大人ではまずいないと思います。

休み時間も友達との関係で気をつかいます。中には授業中より緊張するという子もいます。係活動、給食当番、日直当番、掃除などの仕事もあります。

高学年なら委員会活動や児童会などもあります。放課後も児童クラブ、スポ少、塾、習い事、さらに中学生なら部活動など天こ盛りです。

このように、いまの子どもたちは外でけっこう大変な思いをしているのです。帰宅して電池切れになるのも当然です。

ですから、家ではリラックスして過ごせるようにしてあげてほしいと思います。そのためのキーワードが居心地のよい家です。

居心地のよい家とは?

居心地がよい家とは、例えば次のような家だと思います。

1,親の言葉が否定的・攻撃的でなく肯定的・共感的
2,親がしつけ主義・勉強主義でない
3,親が子どもの話を聞く耳を持ち、民主的な対話が成立する
4,親がやらせたいことではなく子ども自身が好きなことをやれる

この反対に、親が強圧的なしつけ主義・勉強主義でガミガミ叱ってばかりだとどうでしょう?

子どもはリラックスして充電するどころか、家でも緊張して過ごさなければなりません。

すると、その反動が外で出ることになります。授業やさまざまな活動に対する集中力が保てなくなります。

ストレスを抱え込んだままなので、周囲に対して自己中心的、衝動的、攻撃的な振る舞いをする可能性も高まります。

ということで、ぜひ、家を居心地よくして癒やしと安らぎの場にしてほしいと思います。

最後に、ある6年生の愚痴を聞いてあげてください。これは、以前私のXで紹介したものです。

「今日も学校の授業を頑張って委員会活動もやって、帰宅して塾に行って勉強して、また帰宅して学校と塾の宿題やって、疲れてちょっと寝転がってたら、お母さんに『何サボってる?だから成績が上がらないんだ』と言われた。『頑張ってるよ』と言ったら『みんなはもっと頑張ってる』と言われて、やる気なくなった」

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Instagram、Threads、Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、オンライン講演、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどについては「親力」で検索してHPから。

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