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いよいよ年間勝率8割が見えてきた藤井聡太七段(17)デビュー以来3年連続で勝率1位を記録できるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 将棋界の若き天才、藤井聡太七段(17歳)が相変わらず勝ちまくっています。最近負けたのはさていつだったかとさかのぼってみれば、11月19日、挑戦者決定戦となった、王将戦リーグ最終局でした。

 藤井七段にとっては大逆転負けでタイトル初挑戦を逃した、とてつもなく痛い敗戦でした。しかし藤井七段はそこから崩れることなく、また勝ち続けてきました。

 3年連続優勝を目指す朝日杯では、ベスト4に進出しました。

 先日は竜王戦3組1回戦の勝利。デビュー以来の竜王ランキング戦連勝記録を17に伸ばしています。

 また同時に、今期2度目の8連勝もマークしました。今期連勝記録1位は永瀬拓矢二冠の15連勝で、それにどこまで迫れるかも注目です。

 今期の勝率ランキングは最近まで、渡辺明三冠がトップを走ってきました。しかし渡辺三冠のポジションともなると、相手は強敵続き。1月には竜王戦1組、王位戦予選決勝、朝日杯1回戦、王将戦第2局で敗れ、勝率は8割を切って、やや落ち着いてきました。

 渡辺三冠に変わって1位に浮上したのが、藤井七段です。

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 現在は38勝10敗(0.792)。あと2連勝で8割というところまで来ました。

 勝率部門は例年、勢いさかんな若手棋士がおおむね上位を占めます。そうした中でデビュー後、フルシーズンで戦うようになってから4年連続で勝率1位という、図抜けた成績を残した新鋭棋士がいました。それが羽生善治現九段です。

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 藤井七段が羽生九段の4年連続勝率1位という記録に追いつけるかどうかも、今後の見どころかもしれません。

 

 羽生九段の長いキャリアの中で、フルシーズンを戦って勝率8割を超えた年度は、上記の表にある1987年度と88年度、そして七冠同時制覇を達成した1995年度の3回です。

 もし藤井七段が今年度8割を超えれば3年連続3回目。これまた途方もない記録と言えそうです。

 藤井七段は今週、1月28日(火)に棋聖戦二次予選で澤田真吾六段、31日(金)に棋王戦予選で今泉健司四段と対戦します。ここで連勝すれば、勝率はちょうど8割となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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