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台風7号が抜け、次の熱帯低気圧が発生し北上へ?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

台風7号は日本の東へ遠ざかる

台風7号の予報円(ウェザーマップ)
台風7号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁発表)

非常に強い台風7号は、きょう17日(土)午前9時現在、関東の東海上を東北東へ進んでいます。今後は速度を速めながら日本の東へ遠ざかりますが、少なくとも、きょういっぱいは関東から北海道にかけての太平洋側では、高い波やうねりが出ますので、引き続き、海のレジャーは十分にご注意ください。

台風7号は、関東に接近する台風としては、史上最強クラスの非常に強い台風として厳重に警戒されましたが、結果として、予報円の東側を通り、千葉県からも100キロ以上離れたコースを北上したため、暴風域が関東の陸地にかかることはありませんでした。

このため、気象庁発表の情報では、最大瞬間風速が伊豆諸島で60メートル、関東の陸上で45メートルと予想されていましたが、伊豆諸島の最大瞬間風速は、八丈島空港と三宅島空港の30.3メートルにとどまり、また関東の最大瞬間風速も、銚子の26.7メートルにとどまりました。

さらに24時間雨量は、関東で最大300ミリと予想されましたが、これもかなり少なく、最大は千葉県大多喜の171.5ミリとなりました。関東1都6県や山梨県、伊豆諸島、福島県、宮城県には、線状降水帯の予測情報も発表されましたが、指標に近づくような大雨となった所もありませんでした。

次の熱帯低気圧が発生へ

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像をみると、台風7号とは別に、赤い丸の中に低圧部が発生しています。低圧部とは、周囲より気圧が低く、雲の循環はみられるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が解析されるようになると熱帯低気圧に名前が変わります。気象庁の予想では、上図のように、あす18日(日)午後9時までには、沖縄付近で熱帯低気圧が発生する予想です。

東シナ海を北上か

MSMモデルの雨と風の予想(ウェザーマップ)
MSMモデルの雨と風の予想(ウェザーマップ)

日本のMSMモデルの予想をみると、沖縄付近の熱帯低気圧は勢力を強めて東シナ海を北上する計算となっています。諸外国を含めた種々の計算をみると、このMSMモデルが最も熱帯低気圧を発達させるような計算なのですが、多くのモデルで熱帯擾乱が発生し、東シナ海を北上するような計算となっています。

なお東シナ海を北上してからの行く先にはまだかなりのばらつきがみられ、とても不確実性が大きな状態となっていますが、比較的、多くのモデルが九州北部から朝鮮半島付近を東寄りに進み、日本海や本州付近に進むようなコースとなっています。ただ熱帯擾乱としてではなく、湿った暖かな空気(暖湿流)として、本州付近に流れ込む計算も多く存在します。

来週半ば頃、本州付近に影響も?

予報と予想最高気温(ウェザーマップ)
予報と予想最高気温(ウェザーマップ)

どのような熱帯擾乱として北上し、どのようなコースをとるかなどはまだ予想がバラバラの状態ですが、少なくとも暖湿流が流れ込んで、来週の中頃は西日本から東日本で雨が降りやすくなり、しかも強い雨や激しい雨が降りやすくなるような心配があります。

時間が経つごとに熱帯擾乱がどのような振る舞いをするのか徐々に計算がそろってくると思われますので、今後も最新の情報にご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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