移民に厳格な進歩党と移民大臣は、ノルウェー語が話せない在住日本人をどう思っているのか、聞いてみた
ノルウェーで国会議事堂に座っている政党の中で、移民・難民に最も厳しいのが進歩党だ。移民の完全な排斥を求めているわけではないが、欧州経済領域圏外の移民の制限を求めている。これらの領域の人々に否定的な理由は、女性を敬わない男性など、国内の文化や価値観を脅かしそうな脅威となりうるから。また、専業主婦や難民をはじめ、労働市場に出てこずに、国民からの税金で成り立つ福祉制度に依存する傾向が強いからだ。進歩党は、納税者の税金という、「甘い蜜」を吸おうとする外来者を好まない。
難民申請者は審査を通過すると難民となり、いずれ移民となる。「移民」の定義は人や政党によって定義が異なるのだが、進歩党では、移民には国籍関係なく「外国人」、つまり日本人も含む短期留学生なども含まれる。
「社会に溶け込むために、移民はノルウェー語を話せるべき」。これは進歩党出身の移民・社会統合大臣をはじめとする、進歩党が強調する社会ルールのひとつだ。記者会見や取材現場などで、何度もそのことを耳にするので、筆者は疑問に思っていたいたことがある。「ノルウェー語が話せずに暮らしている日本人や欧米人は、たくさんいるけれど、どう思っているのだろう」と。
あまり知られていないが、ノルウェーでは言語はノルウェー語だが、英語が得意な国民が多いので、英語が話せれば日常生活には問題がない。1年間ほどの留学生は、ノルウェー語ではなく、英語を勉強することが目的の人がほとんどだろう。ノルウェー語を話せずに、何年も暮らしている外国人は数多い。
進歩党が強調するのは「ノルウェー語」で、「英語」について進言している報道を見かけたことがなかったので、インタビューの際に聞いてみた。
移民・社会統合大臣シルヴィ・リスタウグ氏(進歩党)
「自分が住む国の言葉を学んだほうが利点になるでしょうね。だから私だったら、ノルウェーに住むあなた方には、ノルウェー語を学ぶことをすすめます。でも、それができなければ、他の人とコミュニケーションできるように英語でもいいでしょう。一番の問題は、多くの人ができる言語でもある英語さえも話せないことね」
進歩青年党の代表アトレ・シモンセン氏(ノルウェーでは青年部/党の影響力は大きく、未来の政治家や大臣が育成される)
「ノルウェーはみんな英語ができる国ですからね、問題はないでしょう。仕事場で英語が使用可能言語で、お互いを理解することができるのならば。ただ、やはり社会に溶け込むならノルウェー語を学んだほうが価値があると個人的に思います」。
ノルウェー語を強調する進歩党だが、周囲と交流できれば英語でも問題はないようだ。
Photo&Text:Asaki Abumi