本当は怖い『不安症』の頻出症状とは?セルフチェックの方法と発症しやすい「性格」傾向について
こんにちは、精神科医しょうです。
私は普段、精神科での外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーさんに対しHSP気質に関する発信、書籍の出版を行っています。インスタにも遊びにきてね(外部リンク)
人前で発表や発言をするとき、不安や緊張状態になることはありませんか?
不安や緊張は誰にでも起こる正常な反応ですが、不安の状態が日常的に続いたり、極度の緊張状態に見舞われて生活に支障が出ている場合は、『不安症』を発症している可能性があります。
不安症の症状はさまざまで、人によっては公共の場所や電車の中で苦痛を感じることがあります。
今回は、不安症の詳しい特徴と種類、不安症のセルフチェック方法などについて紹介します。
不安症のセルフチェック方法
不安症は不安や恐怖を感じる信号が過剰になり、生活や仕事に影響が出てしまう病気です。
以下は、不安症の簡単なセルフチェックリストです。
項目が多く当てはまる場合、不安症を発症している可能性があります。
ご自身の症状に当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
・人前で電話するのが苦手
・人前でご飯を食べたり、会食をすると緊張する
・パーティや飲み会が苦手
・知らない人や初対面の人と会うのが苦痛
・会議で意見を言ったり、発表することが苦手
・注目を浴びるような出来事に不安を感じる
・人前で文字を書くと緊張して手が震える
・誰かを誘うのが苦手
・歯医者や美容院に行くと不安や緊張で苦しくなる
・エレベーターで知らない人と乗り合わせると不安になる
不安症かどうかを判断する基準のひとつに、上記の行動をとる際に「他の人よりも強い不安や緊張状態になっているかどうか」がポイントになります。
上記に挙げたチェックポイントは不安症の代表的なものなので、もしもほかの症状が発症していて「これは不安症なの?」と気になる方は、心療内科やメンタルクリニックなどで相談してみてください。
不安症になってしまう原因は?
不安症を発症する原因は明確になっていません。
睡眠不足や不規則な生活、生命を脅かすような災害との遭遇、環境の変化のほかにも、ストレスや疲労、薬の副作用、セロトニンなど神経伝達物質の分泌不足、遺伝などさまざまな要因が複雑に絡みあって発症するのではないかといわれています。
セロトニンは、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンをコントロールして、精神を安定させる役割を持っています。
このセロトニンの分泌が不足してしまうと心の安定が保てなくなり、イライラしやすくなったり、不安や恐怖という感情を感じやすくなるのです。
また、もとから神経質な性格をもっている、ストレスを抱えやすいなどといった本人の性格も関係している可能性があります。
不安症を発症しやすい性格傾向
真面目で自己内省的な性格
真面目で自己内省的な性格を持っている人は、自分のことを振り返って弱点などを分析し、他人から見てわずかな欠点だとしても過大に受け止めてしまう傾向があります。
そのため、自分のことを責めて過小評価したり他人と比べて劣等感を抱きやすいところがあります。
自己内省的な性格自体はとてもいいことなのですが、その傾向が強すぎるとネガティブな部分ばかりを見てしまい、悪い方向へと想像を膨らませてしまうことがあるので注意が必要でしょう。
執着やこだわりが強い
執着やこだわりが強い人は、忍耐強いという良い面もありますが、物事にこだわりやすく融通が利かないところもあります。
こだわりが極端に強いと、自分の決めた手順通りに物事が進まないだけで不安やイライラを感じたり、予定の変更や見通しの立たない出来事に柔軟に対応できないなど生活に影響がでてしまう場合があります。
新しいことや環境の変化に対応するまで時間がかかって混乱したり、自分のやりかたを貫こうとして周りには「頑固な人」に映ることもあるのではないでしょうか。
強引にこだわりや執着を変えさせようとすると、強い不安を感じてパニックやイライラ状態になり、悪化してしまう恐れがあります。
心配性で感受性が強い
心配性で感受性が高い人は、身の回りの細かいことによく気が付いて、他人のことを考えながら動くことができます。
しかし、他の人よりもよく気が付くことによって、心配しなくてもいいことに対しても過剰に心配したり、取り越し苦労になって本人自身も精神的に疲れてしまうことがあります。
心配や不安によって動くタイミングを見失ったり、何か悪いことが起きるのではないかと行動が消極的になることもあるのではないでしょうか。
また、感受性が高い人はあらゆることに対して共感してしまうため、ストレスや不安を感じて精神的に疲れやすいという特徴を持っています。
不安症の種類
パニック障害
突然激しい動悸に襲われたり、発汗や頻脈、震え、息苦しさなどによって「このまま死んでしまうのではないか」「このままどうにかなってしまうのではないか」という強い不安に駆られる病気をパニック障害といいます。
このような発作は「パニック発作」と呼ばれ、10分から1時間以内で収まることがほとんどです。
パニック障害の原因は今のところはっきりとわかっていませんが、脳内神経伝達物質のバランスの乱れやセロトニンの分泌異常が関係していると考えられています。
また発作が起きたらどうしようと不安になったり、自分が自分でないような感覚になる、一度発作を起こした場所や状況を怖がるなど、さまざまな症状が現れます。
社会不安障害
社会不安障害は、社交不安障害やあがり症とも呼ばれ、人が集まる場面や注目を浴びるような状況で強い不安や緊張を感じます。
性格の問題だとされ周囲からは「緊張しやすいだけ」だと思われるため、なかなか理解をしてもらうことが難しい病気のひとつでもあります。
社会不安障害は人前で何かをする行為に強い恐怖と苦痛を感じるので、仕事や学校で苦しい思いをしている人が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
社会不安障害は、極度の緊張、赤面、大量の発汗、動悸、腹痛や吐き気などの身体症状などがあり、次第に緊張しやすい場面を避けるようになり、社会生活に影響を及ぼすことがあります。
強迫性障害
自分にとって大したことのない出来事でもそのことが頭から離れず、わかっていても何度も確認を繰り返したり同じ行動をとるなどして日常生活に影響がでていることを強迫性障害といいます。
強迫観念とはその出来事が自分で「不合理」だとわかっていても頭からその考えを追い払うことができない状態のことで、強迫行為とは強迫観念から生まれた不安によって掻き立てられる行為のことです。
たとえば、戸締りをしたのに何度も鍵をかけたかどうか確認したり、手を洗ったのにまだ汚れていると感じて過剰に手を洗うなどの行為は強迫性障害だといえます。
「電気つけっぱなしかも」「ちゃんと鍵をかけたかな?」と不安になって、家に戻った経験がある人はたくさんいるでしょう。
しかし、何度確認しても安心できなかったり、これらの不安が度を過ぎていると感じる場合は強迫性障害の可能性があります。
ほかにも、占いやラッキーナンバーへのこだわりが強くなり、特定の数字にこだわるあまり生活が左右されてしまうようになると、それは強迫性障害の症状かもしれません。
その行為への不安やこだわりが明らかに「やりすぎ」だと感じるかどうかが、判断するポイントになるでしょう。
全般性不安障害
漠然とした不安や心配を日常的に持ち続けることを、全般性不安障害といいます。
心配や不安になることは普通の人でもありますが、全般性不安障害の人は尽きることのない不安や心配をずっと持ち続けているため、徐々に心が蝕まれて身体に症状が現れたり精神的な病気を引き起こすケースも多くあります。
起きてもいないことを想像して不安になったり、自分や家族の身に恐ろしいことが起こるのではないかと絶えず心配してしまいます。
そして、その不安や心配によって睡眠障害や心の病気を発症し、さらに症状が進むと毎日の生活が困難になるなど重大な影響が現れます。
全般性不安障害の特徴としては、不安や心配でそわそわと落ち着かない、物事に集中できない、些細なことに敏感に反応するなどがあります。
まとめ
不安症を発症する原因ははっきりとわかっていませんが、本人のもともとの性格やストレス耐性、環境の変化、脳内神経伝達物質のバランスの乱れなどが影響しているといわれています。
また、不安症を発症しやすい性格は、真面目で内向的であったり心配性で感受性が高いことが挙げられます。
セルフチェックをして「もしかして私も不安症かもしれない」「この症状は不安症なのだろうか」と思った方は、なるべく早めに医師に相談しましょう。
「不安になりやすいだけ」「もともと心配性なだけ」だと不安症を放置していると心身ともに負担がかかってしまいますので、自分でなんとかしようとせずに医療機関を頼るようにしてくださいね。
私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。
あなたはこんな悩みをお持ちではありませんか?
「他人の顔色ばかりみてクタクタ」
「自分の意思で生きられない」
「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」
そんなあなたはこちらの記事を読んでみてくださいね。
あなたが「自分軸で気楽に生きられるようになる」ことを願っています♪