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2021年教育改革、人の心を育むエンタメ×教育=エデュテインメントの可能性とは?

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
キラチャレ2016 決勝大会

2021年、30年ぶりの教育改革が実施される

大学入試が大きく変わろうとしているのをご存知だろうか? 2021年1月、大学入試センター試験が廃止となり「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が導入され30年ぶりの教育改革が実施される。中高の学びのスタイルに変化が訪れるのだ。

従来通りの「知識・技能」に加えて、「思考力・判断力・表現力」、そして「主体性」が問われるという。共通テストだけなく、面接やグループ・ディスカッション、高校時代にどんな活動を行っていたかが重視されるようだ。これまでの詰め込み型学習では、社会の変化に対応できる人材が育たないという危機感からなのだろう。具体的には、2015年の中学1年生が大学受験に臨む2021年から大学入試が大きく変わっていく。

これまで以上に10代での過ごし方が、中高、そして大学入試へと影響を与える時代がやってくるのだ。

部活動に励むべきか? 勉学に励むべきか? 海外留学するべきか? プログラミングを覚えるべきか? 得意分野を極めるべきか? 自由に遊ぶべきか? 「思考力・判断力・表現力・主体性」を得て、自分のモノとして自己表現できるようになるためにはどうすべきなのだろうか?

“エンタメ×教育(エデュケーション)=エデュテインメント”

そんなことを考えていた最中、11月19日(土)に品川ステラボールにて決勝大会が開催された“3歳~中学生までの男女を対象”とした全国総合エンタメ・コンテスト『キラチャレ2016』を観覧して刺激を受けた。ふと、エンタテインメントが教育分野に大きな影響を与えるのでは? これこそ聴衆をも魅了する“エンタメ×教育(エデュケーション)=エデュテインメント”なのでは?と思ったのだ。好きこそ物の上手なれ、子ども自身の好きに勝るエネルギーはないだろう。

カタカナ造語で“エデュテインメント”と言っても難しい話ではない。そもそも『キラチャレ2016』は、「モデル」、「歌」、「エンタメなんでも(楽器演奏、お笑い、大道芸など)」、「ダンス」という4部門に別れ、全国8つのAEON MALL(東北、関東3カ所、中部、関西、中国、九州)で開催された予選大会を勝ち抜いた127組219名のファイナリストからグランプリおよび各賞受賞を決めるお祭り的なコンテストだ。部活動などのスポーツや芸能オーディションとは少々違う、子どもたちによる緊張と感動と悔しさによる涙、一生懸命に表現する“人を楽しませようとする”姿に心を動かされたのだ。

参加する側と作る側の双方で作り上げるエンターテインメント・ショー

オーディションではなく、コンテスト方式で開催されていたことが興味深かった。なぜコンテストなのか? 今年で10年目を迎えた全国総合エンタメ・コンテスト『キラチャレ』発起人である、エイベックス・マネジメントの菅原剣太氏に話を聞いてみた。

「『キラチャレ』は、単なるコンテストではなく、一つのエンターテインメント・ショーみたいなものなんです。子ども達が目標に向かって本気で頑張っている姿は大人が観ても感動するんですね。出場者同士、仲間のパフォーマンスにも刺激を受けますし、時には喜び、時には涙することもあるでしょう。『キラチャレ』を通して家族と先生と絆を深める場、思い出作りの場にもなっています。そんな挑戦できる環境をAEON MALLさんを始めとした関係企業の皆さんといっしょに作っています。そんな想いに共感し続けていただいた結果が、10年続いている理由だと思っています。参加する側と作る側の双方で作り上げるエンターテインメント・ショーなんですね。」(菅原剣太/エイベックス・マネジメント)

CDが売れない時代、規模が縮小していると囁かれる音楽業界だが、学校では学べない経験をエンタメなコンテストを通じて体験できるオープンな事業展開がおもしろいと思ったのだ。人を育てるには切磋琢磨できるコミュニティとなる場が必要だ。

「合い言葉は“チャレンジすること。それが大事。”で、最初から大事にしていたメッセージなんです。これって、『キラチャレ』はもちろん、大人な自分としても大事にしているメッセージなんです。でも、10年やってみて思ったのは“チャレンジし続けることがもっと大事”だと思おました。なので、10年目からは頑張り続けることの大切さも伝えていきたいと思っています。」(菅原剣太/エイベックス・マネジメント)

10周年の今年、ファイナルの会場である品川ステラボールにはステージにランウェイが設けられ、各部門のファイナリストが、キッズ(3歳〜小学6年生までの男女)、ジュニア(中学生の男女)とは思えないハイレベルなパフォーマンスを見せてくれた。なお、『キラチャレ』ではこれまで、派生オーディションを含めて、モデルとして活躍している飯豊まりえをはじめ、東京女子流のメンバー(山邊未夢、中江友梨、GEMの南口奈々、i☆Risの若井友希など、多数のエンターテイナーを輩出している。

子どもたちにとって“夢や社会との接点”となる貴重な経験

10年続いていることもあり、年々参加者が増えているなど自己表現へ興味を持つティーンエイジャーの目標の地として認知されているのが『キラチャレ』だ。当日のスペシャル・ゲストには世界的なダンス・コンテスト『Battle Of The Year(BOTY)』で世界一となった実力派The Floorriorzや、日本最高峰のKRUMP アーティスト集団Twiggz Famを迎え、まこみなによるトーク(まこのみ参加)、アイドルグループGEMによるミニライブがおこなわれた。関係企業には、AEON MALL、タカラトミー、ニコ☆プチ〈新潮社〉、NARUMIYA ONLINE、などが名を連ねていたことは、子どもたちにとって“夢や社会との接点”となる貴重な経験となったことだろう。

イベント当日、授賞式後には『キラチャレ2017』の開催も発表された。エンタメ界の甲子園的存在として、来年も子どもたちの夢の実現の場として、全国各地のAEON MALLで予選大会が繰り広げられていく。日常生活に密着しながらも夢へとつながる、“エンターテインメント×エデュケイション(教育)=人の心を育むエデュテインメントな試み”に引き続き注目していきたい。

『キラチャレ2016』オフィシャルサイト

http://avex.jp/kiratto/

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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