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三宮図書館に仕掛けられた穴にハマる大人続出!斬新な読書スタイルのキーワードは「ニッチ」?【神戸市】

Hinata J.Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

KIITOに仮設オープンした「三宮図書館」。ここでは、普通の図書館とちょっと違った空間づくりがされています。いわゆる「ニッチ(隙間、窪み、避難所、マニアック)」な感じを存分に楽しめる場所なんです。

本が好きな人にとってはもちろんのこと、本にそこまで興味がない人にとっても、なんだか「居場所」を感じられるような図書館…それってどういうことなのか、ちょっと中をのぞいてみましょう。

広々としたエントランスに、高い天井で開放感がある
広々としたエントランスに、高い天井で開放感がある

館内はスッキリとした雰囲気で、奥に向かって本棚がバランス良く配置されています。奥行きがかなりあり、実はここから見ただけでは分からない「迷路感」も楽しめたりします。

エントランス左手にある「Nest Booth (ネストブース)」
エントランス左手にある「Nest Booth (ネストブース)」

この本棚は立体のキューブ型で、中をのぞくと人が座っている姿が見えます。あえて小さな空間の中に隠れ込んで本を読みたいという欲求ってありますよね。どこか秘密基地のような。

その横手には、大きな黄色い球体が。低い本棚で円形に囲ってあるカーペット敷の空間には、こども用の本や絵本などもたくさんあります。子連れのお母さんにとっては嬉しいスペースですね。

ぺたんと地面に座って本を読める、リラックス空間
ぺたんと地面に座って本を読める、リラックス空間

受付カウンターの後ろ側にまわり込んでみます。本棚が並ぶ細い道を進んでいくと、狭い隙間の奥に人のいる気配がしてハッとしました。

本棚と一体化できるようなスペースが、所々にあったりします
本棚と一体化できるようなスペースが、所々にあったりします

どうやら本棚の一部に小さな机の台があって、そこにキュッとはまって本を読んでいる様子。こんな狭い隙間に…?と思いながらも、落ち着く場所って人によってそれぞれ違うんだなぁと感心です。

低めでどっしり座れる、心地の良いソファー椅子
低めでどっしり座れる、心地の良いソファー椅子

狭い通路を歩くうちに隠れ部屋を発見。どこかお洒落カフェのような雰囲気もあり、ゆったりとリラックスして過ごしたい人向けの座席です。それにしても、バラエティーに富んだ座席の数々…なにが出てくるのか楽しみですね。

そこから更に奥へ進むと、まさかの光景を目撃しました。壁に開けられた丸っこい穴のようなスペースに人がスッポリと入り込んでいます。

靴を脱いで上がるというのもいい、この狭さがなぜか安心感を生む
靴を脱いで上がるというのもいい、この狭さがなぜか安心感を生む

とっても不思議な空間です。「人が座って本を読む」という形に沿って、壁に穴を作ったとでも言えばいいでしょうか。逆転の発想というか、そう来たか!という感じです。

最初は遠目に見ているだけだったのですが、これがなかなかの吸引力。ここにすっぽりハマってみたいという欲求がふつふつと湧いてくるのです。

座り型の隣にある、キノコ型の空間もかなりヤバめの吸引力
座り型の隣にある、キノコ型の空間もかなりヤバめの吸引力

これらの穴はとても人気のようで、さっきから空くのを待っているのですが、空くとすぐに埋まっちゃうんですよね。どうやら皆、ひそかに穴を狙っている様子。

こどもが好きそうな空間だと思っていたけど、見ていると穴を出入りしているのは大人ばかり。もう、遊び心がくすぐられて我慢ができない大人続出です。もちろん私もその内のひとりなのですが。

靴を脱いで穴に入ってみると、思ったより柔らかな座り心地
靴を脱いで穴に入ってみると、思ったより柔らかな座り心地

それにしても、空間ごとにいろんなテーマが感じられるこの図書館。あらゆる席に座っている様子を見ていると、まるでその人の心理をのぞき込んでいるかのような気もしてきました。

「どんな本を読むか」に付け加えて、「どんな環境で本を読むか」という選択肢も同時に楽しめると、読書という行為のおもしろさが更に深まっていくようです。

天井も高く、開放感がありながらも自分の空間をキープできる席
天井も高く、開放感がありながらも自分の空間をキープできる席

そうそう、普通に座って本を読める場所もあります。大きな窓のある席は柔らかな自然光が感じられるスッキリ空間ですし、席がどれも離れているので広々とした使い心地です。

この部屋も人気があるようで、人がいっぱいだった
この部屋も人気があるようで、人がいっぱいだった

コ・リーディングという部屋もあります。ここにはひと席づつしっかりと仕切られたカウンター席や、本棚のうしろの小さな隙間に入り込んだ個室のような座席もあります。どれも小さい席なのですが、プライベート感が高いですね。

大きめのテーブルがいくつも並ぶ「グループ学習室」や、通路横には新聞をバサリとひらいて読めそうな広い席もあり、ありとあらゆる読書環境を作り出しているのがこの図書館のおもしろいところ。

どこかに自分が落ち着ける空間がひとつでもあると安心ですよね。また、図書館だからといって必ずしもたくさんの文字を追いかける必要はありません。雑誌や写真集もあります。

そこに本という物質があることで、さまざまな世界観が頭の中に広がり、座ってその世界に没頭できるのが図書館の良さ。本棚を眺めて歩いたり、気になる本を手に取り座っているだけでも、新たな世界がじんわり広がっていくような気がします。

本棚に並ぶタイトルや表紙のデザインからもいろんなイメージが湧く
本棚に並ぶタイトルや表紙のデザインからもいろんなイメージが湧く

夕方6時を過ぎると、徐々に人も入れ替わってきました。会社帰りの人たちでしょうか。おウチに帰る前に一息つけるような、気軽に通える場所があるとなんだか嬉しいですよね。

三宮駅まで少し距離はありますが、もうそろそろ秋の気配で夕方から涼しい風が吹き始めています。秋の虫の鳴き声に包まれながら歩く帰り道がとても気持ち良かったですよ。

皆さんもぜひ、ニッチな穴場空間「三宮図書館」に、散歩がてら行ってみてはいかがでしょうか。

神戸市立三宮図書館

神戸市立三宮図書館 案内ページ (外部リンク)
令和4年7月26日(火曜)より下記へ移転
住所:中央区小野浜町1-4 デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)2階
Tel:078-321-5015 
開館時間:平日(土曜含む) 10時~21時
日曜・祝休日 10時~18時
休館日:毎週月曜、年末年始、蔵書点検期間(年1回)
(月曜が祝休日の場合は開館し、直後の祝休日でない日を休館)
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旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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