インテル、開幕黒星で批判浴びるも「大騒ぎ不要」? ユーヴェの対抗馬でいられるか
先は長いと見るべきか、先行き不安と見るべきなのか。
今季のセリエAでユヴェントスの対抗馬として期待されているインテルが、8月19日の開幕戦でサッスオーロに敵地で0-1と敗れた。まさかの黒星発進に、インテルは批判にさらされている。
正確には、「まさかの黒星」ではないだろう。データサイト『Opta』によれば、直近11試合で今回が7敗目。クラブの格は違うが、近年のインテルにとってサッスオーロはまさに天敵なのだ。
だが、今季のインテルは補強に成功し、開幕前の評判がすこぶる良かった。それだけに、出だしの躓きで風当たりが強くなるのは避けられない。ユーヴェ、ナポリ、ローマとライバルたちがそろって白星スタートを切ったのだから、なおさらだ。
◆苦境をはね返せない?
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のファビオ・ビアンキ記者は、試合レポートで「スクデットを争いたいなら、サッスオーロには勝たなければ」とコメント。一時はビハインドを背負いながら逆転勝利した王者と比較し、「インテルに一つ足りないものがあるのは確か。ユヴェントスの闘争心」と指摘した。
「とても長い冒険における小さな失敗でしかない。だが、喜ぶためにはもっと飢えが必要だ」
元ユヴェントスのマッシモ・マウロも、『レプッブリカ』で「いつものインテル」と断じている。
「先制されてから挽回する時間は十分あったのに、何もつくれなかった。毎年多くの新選手が加われば簡単じゃないのは当然だ。だが、それは他チームも同じ。インテルの問題は、ほかのビッグクラブたちと違い、困難の中で勝てないことだ」
◆内容にも厳しい声
マウロは「まだ開幕節だが、精神面での変化は急を要する」「たとえ得点できなくても、ゴールチャンスを8回つくっていたら、評価は違うものになっていた」と、内容面の改善も必須と述べた。
マリオ・スコンチェルティ記者も、『コッリエレ・デッラ・セーラ』で「的確さ、秩序、結果を残す意欲を見つけたかに思われたが、そうではなかった」とコメント。「PKで負けることはある。だが、あまりに軽々に、技術的な堅さなしに、相手に試合を譲ることはあり得ない」と批判している。
「インテルはまったく存在しなかった。決定的な枠内シュートはなかった。新戦力も以前からのチームを救えるだけの顔を見せなかった。これがユーヴェ、ナポリ、ローマに対する答えなら、岩礁沖で軽く難破しているようなものだ」
実際、インテルはマウロ・イカルディ頼みからの脱却を求められている。その意味で、新星ラウタロ・マルティネスとのコンビが結果を出せなかったことへの落胆も小さくない。彼だけではない。クワドゥオ・アサモアがまずまずだったが、先発した新戦力は大きなインパクトを残せなかった。
◆期待懸かる伸びしろ
ただ、出場しなかった新戦力もいる。例えば、合流が遅れたシメ・ヴルサリコだ。また、イバン・ペリシッチが途中出場し、アサモアが左サイドバックにポジションを変えてから、インテルのプレーが良くなったことからも、クロアチア勢のコンディション向上に懸かる期待は大きい。
何より待たれるのが、負傷離脱中のラジャ・ナインゴランの復帰だ。
『コッリエレ・デッラ・セーラ』のグイド・デ・カロリス記者は、ナインゴランだけで中盤の問題がすべて解決できるわけではないとしつつも、「新生インテルに欠かせないキーマン」「彼抜きのインテルが対抗馬の役割を確立させることはできない」と、その重要性に触れている。
デ・カロリス記者は「再出発というより、インテルは出発しなければいけない」とも記した。インテルはまだスタートできていないということだ。
ファブリツィオ・ボッカ記者も、『レプッブリカ』で「美しいチームであることは確かだ。だが、単純に今のところは話題になっていたインテルが存在していない。新戦力は部分的にしか起用できず、クロアチアの選手たちはまだワールドカップ後の酔いから覚めていない」と書いている。
マッテオ・マラーニ記者は、『スカイ・スポーツ』で「大騒ぎする必要はない」とコメント。優勝を争いたいなら、こういう試合も2、3試合あるものだ。その1つがすでに過ぎ去った」と、ここから挽回し、“再試験”をクリアできるかどうかが肝との見解を示した。
◆対抗馬としての試金石
開幕戦のインテルは、対抗馬としての期待に応えられなかった。課題もある。だが、同時に伸びしろもあり、ここで立ち上がれるかが重要ということではないだろうか。
求められるのは、ホーム開幕戦での白星だ。26日の次節トリノ戦は、インテルが対抗馬でいられるかどうか、一つの試金石となるかもしれない。