清原和博氏から考えるスポーツ選手の心の諸問題、薬物問題、そして社会復帰
スポーツは、言うまでもなく素晴らしいものですが、能力の高い選手たちも問題を抱えることがあります。大選手も失敗しますが、清原氏の明るいニュースも流れてきました。
スポーツ選手の引退後:プロ選手も少年も青年も
どんな名選手もいずれは引退します。清原氏だけではなく、大金を稼いだはずなのに引退後に経済的に破綻する人は内外にたくさんいます。競技をやめた後の心の健康は、スポーツ心理学の新しくて大切なテーマです。
選手時代からお金の教育をしておくこと、積み立て貯金や年金制度を充実させる方法もあるでしょう。
高校にスポーツ推薦で入学したのに、怪我をしてスポーツが続けられなくなる生徒もいます。すっかり学習意欲を失ったり、退学する生徒もいます。高校側としては、スポーツができなくなった場合のことも、事前に考えておくべきでしょう。
スポーツで海外留学するレベルの少年でも、海外のスポーツ学校で活躍できず、失意のうちに帰国してスポーツから離れてしまう子もいます。挫折したスポーツ少年のケアは、大切な課題です。
一方、新潟市の「走る大工集団・重川材木店」(株式会社重川材木店陸上競技部)は、選手のサポートをしてニューイヤー駅伝に出場などしていますが、モットーは仕事と競技の両立です。選手の中には、建築士を目指す人もいます。
そのスポーツ競技だけが人生ではなく、引退後の長い人生を支えることも必要です。
薬物問題とスポーツ選手の心の問題
違法薬物を使いやすい人には、二つのタイプの人がいます。一つは、刺激を求めるタイプです。スポーツ選手の中には、刺激や興奮を求める人たちがいます(特に男性選手)。この性格のおかげで競技では成功もするわけですが、間違った方向に行く人もいます。
刺激と興奮を求めて、乱暴な言動、ギャンブル、大量飲酒に走る人もいます。さらに違法薬物に行ってしまうこともあるのでしょう。
違法薬物をを使いやすいもう一つのタイプは、不安の強い人です。精神的に追い詰められた結果、薬を使ってしまいます。
引退後に思うようにいかず、不安の高い生活を送ることは、違法薬物に近づく危険性を高めるでしょう。
薬物使用から社会復帰へ
薬物依存は、刑罰だけで解決する問題ではありません。出所後の充実した生活こそが、対策につながります。
薬物で初めて逮捕される。仕事を失いはしますが、家族や親友はまだ見捨てません。ところが再度逮捕されると、家族や仲間たちも去っていきます。
こうして全てを失って、また違法薬物の世界に戻る人々がいます。
ネズミを使った動物実験ですが、ネズミも豊かで楽しい環境下では麻薬を摂取しませんでした。麻薬に溺れることなく、走り回ったり、メスと交尾するなど、生活を楽しんだのです。ところが孤独で劣悪な環境下では、ネズミは麻薬づけになっていきました。
そしていったん劣悪な環境で麻薬づけになったネズミも、豊かで充実した環境に移したところ、ネズミは次第に麻薬から離れていったのです。
違法行為には制裁も必要でしょう。しかし再犯防止のためには、社会のあり方が問われます。
今日11月30日のニュースで、「清原氏が懐かし背番号『3』で監督デビュー! 神宮でのワールドトライアウトに元巨人・高木勇ら参加」「清原和博氏、NPB復帰に意欲『そういう目標を持ってやっていきたい』」という、明るい前向きの報道がなされています。
最近の清原氏は、以前と比べてとても健康的に見えます。ぜひ、薬物問題からの社会復帰の成功事例となって欲しいものです。清原氏には、それだけの力と魅力があるはずなのですから。