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ノロノロ寒冷渦が襲来中、日本海の海水温が高く、長丁場のシビアウェザーが続くおそれ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
低気圧や上空の寒気予想(ウェザーマップ)

上図は今夜27日(水)午後9時の低気圧や上空の寒気の予想です。上空5500メートル付近で、平年より10度前後も低い-36度以下の寒気(寒冷渦)が大陸から日本海へ南下し、盛衰を繰り返しながら、30日(土)頃にかけて、ゆっくりと日本付近を通過する見込みです。

このような寒冷渦の南東側(南東象限)では、地上の低気圧に向かう南からの暖湿流と上空の寒気の影響で、大気の状態が非常に不安定となりやすく、特に今はまだ日本海の海水温が高いため、さらに不安定現象が助長される可能性あります。

引き続き、日本海の海水温が高い

海水温の状況(気象庁発表)
海水温の状況(気象庁発表)

上図は日本周辺の海水温の状況です。左側が実際の海水温、右側がその平年差となりますが、日本海に注目すると、大陸に近い所を中心に濃い赤色で、平年より3度前後も高く、北陸沖がおおむね18度前後となっています。このため、相対的に暖かな日本海からは盛んに海水が蒸発し、一方上空高い所には平年よりかなり冷たい空気があるため、上昇流が顕著となり、雷雲がより発達しやすい状況になっているといえます。

雷の発生する確率が長丁場で高い

発雷確率(ウェザーマップ発表)
発雷確率(ウェザーマップ発表)

上図は、週末にかけての発雷確率(雷の発生する確率)を示しています。雷雲が発生発達し、流れ込みやすい日本海側では、きょう27日(水)午後から発雷確率が高くなり、特にあす28日(木)は一段と不安定となるため、75%以上の非常に高い領域が北陸や山陰を中心に広がっています。30日(土)頃までは不安定な状態が続くでしょう。

日本海側では、広い範囲で、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょう、急な強い雨のおそれがあり、標高の高い山沿いや山間部では雪が降り、一気に積雪が増える可能性もあります。さらに九州北部や東北では、海上を中心に、暴風の吹く所もあるでしょう。きょう27日(水)からあす28日(木)にかけてを中心に、シビアウェザーに十分ご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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