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史上3人目!杉田祐一が、28歳でプロテニスプレーヤーとしてつかんだ大きな勲章 インタビューPart1

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
アンタルヤ大会の優勝トロフィーを手にして、笑顔の杉田祐一(写真/神 仁司)
アンタルヤ大会の優勝トロフィーを手にして、笑顔の杉田祐一(写真/神 仁司)

 プロテニスプレーヤーの杉田祐一(ATPランキング46位、8月14日付け)は、6月に男子ワールドテニスツアーのATPアンタルヤ大会で、ツアー初優勝を果たし、テニスファンだけでなく、多くの人に名前を知ってもらえるようになった。

 プロ11年目、28歳でつかみとったビッグタイトルだったが、その時の心境を杉田が振り返ってくれた。

――ATP250レベルのアンタルヤ大会(6/25~7/1、トルコ)の決勝で、アドリアン・マナリノ(62位、大会時、以下同、フランス)を6-1、7-6(4)で破って、ツアー初優勝を決めた時の気持ちはどうでしたか?

杉田:正直、決勝前の方が実感していたというか……。準決勝終わって翌日朝起きて、決勝は午後5時30分からだったんですけど、俺、今日ATPの決勝なのかと思った時に、すごい嬉しかったですね。本当にその時が嬉しくて、決勝を戦う前にすごい時間があったので、その時にここまで来たのかと――。(決勝では、気温44度の酷暑の中で)試合は暑すぎて、試合が終わった~という解放感の方が大きくて、喜びももちろんあったんですけどね。

――今年から新設されたアンタルヤ大会の初代チャンピオンとなり、表彰式で優勝トロフィーを手にした時どう思いましたか。

杉田:いやぁ~、嬉しいっすよね~(そばに置かれたトロフィーを触りながら)。初代チャンピオンですからね。大会側もセレモニーの時に盛り上がって、初めてという感じがあって、

もらう時はワクワクでしたね。(優勝スピーチは)感謝だけはちゃんとしたいなと思っていて、初めての大会ですし、この大会が続いてくれることを願っていますし、関係者の方にはお礼を言いました。

――杉田さんは2006年10月にプロ転向して、プロ11年目の28歳で勝ち取った優勝の実感は?

杉田:本当にいい時期だなと思っています。ここからツアーで定着させて、ランキングを上げたいといった時に、やっぱり何か一つ大きなものを持っているのと持っていないとでは、全く違います。(自分の)レベルが上がりつつある中での優勝だったので、本当にいい形で

インパクトを与えられたかなと思っています。

――アンタルヤ大会を振り返って、ターニングポイントとなった試合はありますか?

杉田:いやぁ、フェレールでしょうね(2回戦 6-3、3-6、7-6(2) ダビド・フェレール(39位、スペイン))。ファイナルセットのタイブレークで勝負がつきましたし、どっちが勝ってもおかしくない状態の中で、かなり途中まで僕が主導権を握った形だった。もし、しっかり自分のプレーができるのであれば、この大会優勝できるチャンスはあるのかなと、あの勝利から思った。

――フェレールは身長175cmで小柄ですけど(杉田の身長は173cm)、ツアーでも屈指のフットワーク力とストローク力があって、粘り強い選手です。その選手に勝つ自信は、試合前からあったのですか。

(35歳のフェレールは、長年ツアーのトップレベルで活躍するトップ選手。ATPランキング自己最高3位。2013年ローランギャロス準優勝。2007年マスターズカップ準優勝)

杉田:僕のモデル(お手本)のような選手でした。身長が高くなくて、走り回って、ポイントを取るというような形で、自分が小さい時から彼の試合はよく見ていました。トップで戦うビジョンとして、彼のテニスというのは、非常に参考になる部分が多い。その選手にもし勝つことができたら、という思いはありました。そして接戦の末勝てました。

――杉田さんのATPツアー優勝は、日本男子プロテニス選手として、松岡修造さん、錦織

圭選手に次ぐ3人目の快挙となりました。この偉業についてはどう思いますか。しかもラ

ンキングも66位から一気に44位まで上がりました。

杉田:いやぁ、なんて言うんだろう、本当に長い間抜かされてなかった記録というか、もちろん圭がガッと行きましたけど、その後に続いてなかなか出なかったところで、ツアーでタイトルを取れたというのは、本当に大きな意味があると思います。特に、(錦織のように海外テニス留学をせずに)僕は日本で育ったので、そういった中、ツアーでチャンピオンになれたということは、非常に僕自身伝えられることが、たぶんあるんじゃないかなと思っています。もちろんここで終わってしまっては絶対いけないと思っていますし、これからもっとツアーで定着するようになったら、非常に大きな意味があるのではないかと思ってます。

――ちなみにグラスコートでのATPツアー優勝は、杉田さんが日本男子史上初となりまし

たが、日本男子テニスの歴史に、グラスコートでは杉田さんが初めてだと名前が残ると思い

ますが。

杉田:いやぁ、残ったらいいですね(笑)。

――普段トロフィーはどこに飾っているのですか?

杉田:(所属先の)三菱電機の会社に置いてもらっています。(自分の部屋には)いや~、邪魔ですね。でかいから(笑)。三菱さんに使ってもらえれば、僕は嬉しいです。

――優勝の自分へのごほうびは?

杉田:いや~、買ってないですね。(これから買う予定も)全くないですね。物欲ないですね~。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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