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MLB永久欠番あれこれ!最も多い番号は「20」番で反対にゼロは「38」番と「48」番だけ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ヤンキースで使用していた21番が永久欠番になるポール・オニール氏(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ヤンキース史上23人目の永久欠番】

 すでに日本でも報じられているように、ヤンキースは1990年代後半の黄金期を支えた主力選手の1人だったポール・オニール氏の功績を称え、彼が使用していた21番を永久欠番とし、そのセレモニーを今年8月に開催することを発表した。

 ヤンキースで永久欠番になるのはチーム史上23人目だが、8番にヨギ・ベラ氏とビル・ディッキー氏が重複しているため、番号的には22個目となる。もちろん22個の番号が永久欠番になっているのはMLBで最多。21番までで使用できる番号は、11番、12番、13番、14番、17番、18番、19番──の7つしか残っていない。

 オニール氏はヤンキースに在籍した9年間ずっと21番を使用していたが、ヤンキースの歴史を紐解くと、21番を使用していた選手が計41人いる中で、9年間同じ21番をつけていた選手はオニール氏しか存在していない。

 オニール氏引退後は、2008年だけラトロイ・ホーキンス投手が使用しただけでずっと空き番号になっており、ヤンキースとしても前々から永久欠番にする考えがあったのかもしれない。

【MLBで2番目に永久欠番が多いのはカージナルス】

 先ほど説明したように、22個の番号が永久欠番になっているチームは、ヤンキースしかない。

 となると、他チームの永久欠番状況が気になるところだろう。そこでMLBの記録関連を専門に扱っている『Baseball-Reference.com』で全30チームの永久欠番状況を調べてみた。

 ちなみに42番はジャッキー・ロビンソン氏を称え、1997年にMLB全体の永久欠番になっているが、これについてはドジャース、ヤンキース、カージナルス以外のチームを対象外にしている。ドジャースは元々ロビンソン氏の42番を永久欠番にしていたし、カージナルスとヤンキースはロビンソン氏以外で永久欠番にしているためだ。

 またヤンキースの8番のように複数選手が重複している場合も、1つの番号として計算している。

 とりあえず永久欠番が多いチームを表にまとめた。10個以上を永久欠番にしているのは8チームあり、すべて伝統あるチームばかりだ。2位は13個のカージナルスで、3位に11個でホワイトソックスが入っている。そして10個には5チームが4位タイで並んでいる。

(筆者作成)
(筆者作成)

 反対に永久欠番が最も少なかったのは、マーリンズの0個だ。1993年創設の新加入チームとはいえ、ワールドシリーズを2度制するなど輝かしい歴史を刻んでいる。にもかかわらず永久欠番はロビンソン氏の42番しかない。もちろんそんなチームはマーリンズだけだ。

【最多10チームで永久欠番になっている番号は「20」】

 次に番号別の永久欠番を調べたところ、一番多かったのは10チームで永久欠番になっていた20番だった。そして2位は9チームだった10番と14番、3位が8チームで1番と4番だった。

 これらの番号を永久欠番にしているチームについては下記の表を参照してほしい。もちろんヤンキースは14番以外、残り4個すべてを永久欠番にしている。

(筆者作成)
(筆者作成)

 ちなみに20番がMLB最多になっているのは、それなりに理由がある。実はフランク・ロビンソン氏がオリオールス、レッズ、ガーディアンズの3チームで永久欠番になるという“荒稼ぎ”をしているためだ。

 同様のケースにノーラン・ライアン氏が挙げられる。彼も所属したレンジャーズ、アストロズ、エンジェルスで使用していた34番と30番が永久欠番になっている。1人の選手が複数チームで永久欠番になっているのは、NPBでは考えられないことだ。

【イチロー氏の51番は確実だが大谷選手の17番は?】

 現時点で日本人選手が使用していた番号が永久欠番になった例はないが、今年マリナーズの殿堂入りを果たし、将来的に本家本元の殿堂入りも確実視されているイチロー氏は、マリナーズで永久欠番になるのはほぼ確実だろう。

 ただ51番は、イチロー氏の前にランディ・ジョンソン氏が使用していた番号であり、ジョンソン氏はすでにダイヤモンドバックスで永久欠番になっていることを考えると、場合によっては2人の連名で永久欠番になる可能性もありそうだ。

 ちなみにマリナーズで永久欠番になっているのはエドガー・マルティネス氏の11番とケン・グリフィーJr.氏の24番のみだ。また51番を永久欠番にしているチームは、ヤンキース(バーニー・ウィリアムス氏)、パドレス(トレバー・ホフマン氏)、ダイヤモンドバックス(ジョンソン氏)の3チームしかない。

 また大谷翔平選手が現在のような活躍を続けるなら、17番も永久欠番になる可能性が出てくるが、エンジェルスで選手として永久欠番になっているのは4人しかおらず、また17番を永久欠番にしているのは、カージナルス(ディジー・ディーン氏)とロッキーズ(トッド・ヘルトン氏)の2チームしか存在していない。

【歴史的快挙を狙うなら38番と48番】

 改めて各チームの永久欠番状況を調べてみると、幅広い番号が永久欠番になっていることが分かった。

 前述した通り番号別でチェックしたところ、1番から50番までで永久欠番になっていないのは、たった2個しかなかった。それは38番と48番だ。

 今後この番号を背負い、永久欠番にするような活躍をする選手が現れれば、“MLB初”という肩書きを得られることになるわけだ。

 誰か歴史的快挙を狙い、自らの意思でこの番号を選んでくれる選手が出てこないだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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