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44歳でレースクイーンデビュー。大原かおりの今

中西正男芸能記者
44歳でレースクイーンデビューした大原がおり

 テレビ東京「出動!ミニスカポリス」「ギルガメッシュないと」などで注目を集めた大原がおりさん。2017年に大原かおりから大原がおりへと改名し、様々なチャレンジもしてきましたが、先月44歳でレースクイーンとしてデビューしました。今なぜ新たな一歩を踏み出したのか。決意の裏にあったもの。そして、今の思いをストレートに語りました。

どこに戻れるのか

 1996年に私はデビューしたんですけど、当時、巨乳アイドルというものがはやっていて、ちょうど巨乳だったもので(笑)、グラビアにハマッたんです。

 ありがたいことに、そこからすぐテレビ東京の「ギルガメッシュないと」や「出動!ミニスカポリス」に出してもらうようになりまして、グラビア、そしてバラエティー。この2つの世界で認知していただいたという流れだったんです。

 そういう道のりだったもので、レースクイーンはやったことがなかったんです。だけど、イメージ的に「え、やってたんじゃないの?」と言われたりもするんですけど、当時は、グラビアとレースクイーンというのは全く違う世界だったんです。

 今は両方やっている方も普通にいらっしゃるんですけど、昔はそこが交わることがまれでして。だから、有名なレースクイーンの方が写真集を出したりすると、意外性もあって、ボーンと売れたりもしていた時代だったんです。

 そんな中、なぜ44歳でレースクイーンになろうと思ったか。本当に正直な話、ベースには、もう一回バラエティーとグラビアの世界に戻りたいという気持ちがあったんです。

 仕事を辞めたわけでもないし、何か粗相をしたわけでもないんですけど、10年前くらいからそんなにテレビには出なくなっていて。

 じゃ、私が戻れるのはグラビアなのかなとも思って。グラビアの打診を雑誌社さんにしたりもしたんですけど、今は私がグラビアをやっていた時よりも、求められる露出度が高いと。

 それこそ、キャピキャピした若い女の子だったら、そんなに露出しなくても売れるかもしれないけど、年齢を重ねた、昔出ていた人がもう一回やるとなると、さらに激しい露出を求められますよと言われまして。そこで今一度再考することにもなったんです。

 そして、もちろん、バラエティーの世界も本当に進化しているし、もともと私はしゃべるのが好きなのでバラエティーが大好きでもあるんですけど、今は昔より若くて面白い人もたくさん出てきてますし。

 難しいけど、なんとか前に進みたい。そういったことを考えて、いろいろな分野に思いを巡らせていたんです。

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「レースクイーンって、何歳まで?」

 そんな中で、6年ほど前、友人の関係でレース場に行ったんです。

 そこで目にしたレースクイーンの皆さんが、すごくカッコよくて。グラビアと一見似ている部分がありそうだけど、グラビアとは違う魅力を感じたんです。きれいだし、輝いているんだけど、やっぱり、一番の魅力はカッコいいんですよね。

 当時はまだ30代だったんですけど、それでも十分いい歳ではありますし(笑)、反射的に「レースクイーンって、何歳までできるんだろう」と思って。ただ、ネットで調べても、何歳までとは出てこない。

 なので、知り合いのレーサー・脇阪寿一さんに「レースクイーンって、何歳までできるんですかね?」とストレートに聞いてみたんです。

 そこで「レースクイーンに年齢は関係ないよ。本気度と、モータースポーツを愛する気持ち。そして、ファンの方への対応、スポンサーさんへの感謝の気持ちが大切やねん」という言葉をもらいまして。

 じゃ、夢としては持っていてもいいのかな。そう思えたんです。そこから、少しずつ気持ちが大きくなっていった感じでした。

 ただ、漠然とレースクイーンになりたいという思いがあっても、どうやったらなれるのか。その道筋が全く見えない。だから、また脇阪さんに「どうやったらなれるんですかね?」とストレートにお尋ねしたんです(笑)。

 オーディションもあるし、やるとなったら体もしっかりと作らないといけないし、決して簡単なことではない。ただ、本気でやる気があるなら一回聞いておくと言っていただいて。

 その結果、脇阪さんのお力添えと、スポンサーのオウルテックさんの寛大なお心遣いで11月21日、22日とレースクイーンをやらせてもらうことになったんです。

 いろいろとお話をさせてもらって、最終的にやらせてもらうことが決定したのが10月下旬。やる以上はカッコつけたいし、44歳のレースクイーンなんて痛々しいとは思われたくなかったし、実は話を聞いてもらっていた9月頃から密かにトレーニングは始めてたんです。

 パーソナルトレーニングをしてくれるジムを探して、主にウエートトレーニングをやっていました。

 以前から歩くのは好きでウォーキングはしていたので、そんなに太ってはなかったんですけど、この歳ならではというか、全身がプヨプヨしてたんですよね。手を振ったら、二の腕がこれでもかとプラプラしてましたし(笑)。

 だから、ウエートトレーニングで筋肉をつけて、プヨプヨをギュッと引き締めるといいますか。ジムでも、自宅でもトレーニングをして、どっさり鶏のささみを買い込んで、毎日どこかが強烈な筋肉痛になっている生活を続けてました。

 あと、レースクイーンのポージングも分からないし、レース場でどんな動きをしたらいいのかという基本的なことも分からないので、レースクイーンの経験がある女の子に頼んで、個人的に“講座”を受けさせてもらったりもしていました。

 まずそこで聞いて納得したのが、グラビアとレースクイーンの違いでした。グラビアアイドルは自分を売るのが仕事。胸が大きい子だったら胸を強調するし、顔に色気がある子だったらセクシーポーズをとる。自分をどうアピールするかを考えるお仕事だと。

 かたや、レースクイーンは、自分ではなくスポンサーさんの名前を売るのが仕事。だから、胸を寄せたりとか、セクシーポーズは全く不要だと。そのかわり、衣装についているロゴを指さしたり、スポンサーさんをアピールするのが需要なんですと。

 そう考えると、何をやるべきなのかも分かってきた気がしたんですけど、意外なことにというか、近づけば近づくほど心配になってきまして。

 「なんで、私なんかが申し込んじゃったんだろう」とか「チームの邪魔をしないだろうか」とか不安とか否定的な気持ちが湧き上がってきたんです。前日はその思いがピークになって、今からでも誰かと交代できないかと本気で思うくらいでした。

 ただ、当日現場に入ったら、スタッフさんが拍手で迎えてくださいまして。この歳で私が来たということで、いたわりの心があったのかもしれませんけど(笑)、本当に、本当に優しかったんです。立ち方とか、その場でいろいろなことも教えてくださったりして。

 さらに、多くのファンの方が「こっちに目線ください」と写真を撮ってくださいました。そこでも、グラビアをやっていた時の思いが出てきたというか。それもまたありがたくて。

 さらにうれしかったのがツイッターなどでその様子がアップされたら、コメントもたくさんいただいたんです。

 「夢なんてことを忘れていたけど、もう一度夢を持って頑張ってみよう。大原さんの姿を見て、そう思いました」

 「年齢を理由に、何かを諦める。それが普通だと思っていたけど、そうじゃないこともあるんだと力をもらいました」

 こういうコメントをいただけるのは、自分のことながら、44歳でやったからこそだと思いますし、20歳の時にやっていたら、この喜びはなかった。そう思うと、今、レースクイーンをやって、その意味はあったんだなとも思えたんです。

三橋仁明/ N-RAK PHOTO AGENCY
三橋仁明/ N-RAK PHOTO AGENCY

新たな自分

 本当にやりたかったことにチャレンジして、自分自身の変化も感じています。

 今まで、私は自分の気持ちをあまり伝えられない人間だったんです。ただ単に、今日どこかに行って楽しかった!みたいなことはSNSとかにも書くんですけど「私はこうなんです」という部分を全くアピールできないというか。

 実は、事務所にも「自分はこう思っていて、こうなりたい」という話はあまりしてこなかったですし、そういう部分は本当に出さない人間だったんです。妙なおくゆかしさというか。

 でも、やりたいこととしっかりと向き合って、そこに進んでいって、それが実現した時に、こんなに気持ちがいいんだということを身をもって学びました。

 だから、来年もまたレースクイーンとして現場に立てる機会があるならば、もっとウエストも引き締めて(笑)、立ちたいと思っています。

 ただ、ま、ここだけの話というか(笑)、今回2日間、レースクイーンとして立ち続けただけで、腰がバキバキになっちゃいまして…。何とかレース場では気を入れて立たせてもらっていたんですけど、帰りの車には、腰をかがめてよちよち歩きで乗り込んでました(笑)。

 やっぱり、44歳という年齢は正直だなとも思いましたけど、だからこその意味もある。そう思って、また頑張りたいと思います。

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(撮影・中西正男)

■大原がおり(おおはら・がおり)

1976年2月17日生まれ。東京都出身。本名・大原香織。テレビ朝日「邦子がタッチ」の番組企画をきっかけに、96年にデビュー。テレビ東京「出動!ミニスカポリス」「ギルガメッシュナイト」などで注目を集める。2005年には犬のファッションブランド「Otty」を立ち上げる。17年には、日本テレビ「有吉大反省会 カミングアウト・バトルロイヤル」に出演し、姓名判断を受け、事務所に内緒で「大原がおり」に改名していたことを発表した。今年11月、44歳でレースクイーンデビューを果たした。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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