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部下から「報連相」がない本当の理由

太田章代新人育成トレーナー

「部下からの報連相がない」、これは私がリーダー研修に登壇した時によく伺う、上司のお悩みです。

「ミスがあったのに報告がないまま、直接クレームが入って発覚」「予定していたスケジュールが変わったのに、連絡なし」「相談せずに、黙ってひとりで業務を進行している」など、報連相をめぐるトラブルは数多くあります。

部下からの報連相が改善すると、仕事もスムーズに進み、生産性もアップします。何より一番のメリットは、「報連相についてのイライラ」が消えることです。

以下では、部下からの報連相がない「本当の理由」と、「どうすれば改善するか」についてご紹介します。

報連相がない原因「部下の問題」と「上司の問題」

なぜ部下からの報連相がないのでしょうか?

原因には、「部下の問題」と「上司の問題」の2つがあります。

まず「部下の問題」から見ていきましょう。

「現代の若者はコミュニケーション能力が低下している」とは、40代・50代の管理職からよく聞く言葉です。そもそも部下が「コミュニケーションを取りたくない」「報連相の必要性がわからない」と考えていることもあるのです。若年層すべてに当てはまるわけではないのですが、「自分から報連相をすることは少ない」という声を聞きます。

しかし、社会人として「報連相」は必要不可欠です。社内の情報共有は、意思決定をスムーズにしますし、もし困った事態が起きたとしても、すぐに適切な対応ができます。そして、社内への報連相だけでなく、お客様に対する報連相も重要です。報連相ができることは、信頼を得ることにつながるのです。「コミュニケーション能力が低いから」「報連相は面倒くさいから」など各個人の事情に捉われず、報連相は進んで行わなければなりません。

続いては、部下から報連相がない原因「上司の問題」についてです。

部下から報連相がないのは、上司の問題も大きく関わっています。上司の意識と行動を見直せば、部下は自然と報連相をするようになるのです。

さて、以下の点は「部下が報連相をしない本当の理由とその対策」です。当てはまる点がないか、ぜひ確認してみてください。

上司に報連相がない3つの理由

(1)上司に話しかけにくい

さて、なぜ上司に話しかけにくいのでしょうか。大きく分けると、「見た目」「対応」の2種類の原因があります。

まずは「上司の見た目」が原因の場合です。

毎日忙しく眉間にシワが寄っており、「話しかけてくるなオーラ」が全開になっている上司には報連相もしづらいものです。

「上司に報告をしたくて、機会を伺っている間に『なぜ報告がないのか』と叱られた」という話を聞きました。その部下は「忙しそうに見えたので、声を掛けづらくて・・・」と言うこともできず、ただ謝るしかなかったそうです。

上司も、本当に忙しい時に部下に声をかけられても、対応できない場合はあるでしょう。しかし、「作業の手を止めず、『今は忙しいから後にしてくれないか』と断って、その後に何も言わない」では、報連相もしづらくて当然です。

そのような場合は、仕事の手を止めて向き合った上で、「今は忙しいから、30分経ったら話を聞くよ」と断り、30分後には自分から声をかけましょう。一旦報告を保留にする場合にも、このような配慮をすれば、「話しかけにくい」とは思われないはずです。

では、もう一つの原因である「上司の対応」について見ていきましょう。

部下は以前された上司の態度がトラウマになって報連相ができない可能性があります。たとえば

・ミスを報告したところ、『何でそんなことをしたんだ』と叱責された

・連絡をしたのに、『そんな連絡はしなくてよい』と注意された

・業務の進め方を相談したら、『自分で考えてやれ』と返された

などの経験があると、上司に話しかけにくくなります。

部下に報連相を期待するなら、「話しかけやすい上司」になることが大切です。

(2)上司から部下へ報連相ができていない

報連相は、部下から上司へのみ行うものではありません。重要なコミュニケーションの一環として、「上司から部下への報連相」はできているでしょうか?

たとえば、「本日は大事な来客があるので、応対をお願いします」や「今年度の目標まで残り300万円です」など、部下へのコミュニケーションとして折に触れて情報共有をしましょう。

「部下から報連相が少ない上司」は、往々にして「部下へのコミュニケーションが少ない上司」であることが多いものです。頻繁な部下へのコミュニケーションを忘れなければ、部下からも声をかけやすくなります。

それに加えて、上司からの報連相を日頃から受けていれば、「情報共有はこうするのが、チームの仕事の仕方なんだな」と部下も肌で理解することができます。そして、自分自身も当たり前のように報連相をできるようになるのです。

毎日仕事をしていれば、良いことも悪いことも起こるものです。悪いことは伝えられていても、良いことは共有できているでしょうか。積極的に、良いことも情報共有をしましょう。

(3)「管理のための報連相」になっている

報連相の目的は何でしょうか。「仕事や部下の管理のため」だと思っていませんか?

「報連相」は、「報告・連絡・相談が気兼ねなくできるような、風通しの良い職場づくり」を意図して生み出された言葉です。

それなのに、「報連相は部下の管理のため」と思い込んで推進していては、職場が窮屈なものになってしまいます。人間関係が良く、コミュニケーションがうまくいっていれば、仕事に報連相という言葉は必要ありません。

報連相を要求するのではなく、「待つ」ことも人材育成の一環です。「今、あの件はどんな感じ?」と何度も報告を求めすぎると、部下は「自分を信用してくれていない」と思います。「何度も答えることが煩わしい」とすら感じてしまうでしょう。

一度仕事を任せたのなら、期限を区切り、その期限までは部下の裁量で進めさせてみましょう。

報連相をスムーズに進めるために

ここまでは、報連相についての心構えをお話しましたが、実際に報連相をスムーズに行っていくためには、仕組みづくりが大切です。

報連相のやり方をそれぞれに任せてしまっては、情報共有が不十分になりがちです。次のように情報共有のできる仕組みを整え、業務を円滑に進めていきましょう。

<たとえばこんな方法があります>

・「朝礼」や「終礼」に情報共有の時間を設ける

・メールを送る際は「Cc.」で上司にも一緒に送る

・日報に毎日報告してほしい内容の記入欄を用意する

まとめ

報連相は、ミスを減らし、効率よく業務を行っていくために、大変重要なものです。報連相は人体でいうところの血液のようなもので、循環が滞ると会社も健康ではなくなってしまいます。報連相を回し、健全な職場環境を整えましょう。

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太田 章代

新人育成トレーナー

愛知県岡崎市出身。損害保険会社の事務員から広告代理店の営業職に転職。入社2年目から6年連続売上トップ。32歳で統括本部長に抜擢。50人の部下を指導する。35歳代表取締役に就任。その後、2006年人材育成事業で独立。現在まで研修&講演に2,000本以上登壇。離職率の低下や、職場のコミュニケーション改善などで成果を上げる。独自の体験型講演が好評をいただき、講師評価98.7%でリピート率も高い。研修&講演を通して【働くを楽しむ】社会創りに貢献するという使命のもと、日本全国で精力的に活動中。

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