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滋賀からNBA選手輩出を目指す! レイクスターズがユース2選手をNBA育成キャンプ派遣へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
NBAキャンプ派遣が決まった南口選手(7番)と石原選手(12番・筆者撮影)

【U15ユース2選手をNBA育成キャンプに派遣】

 Bリーグの滋賀レイクスターズ(以下レイクス)は、同チーム傘下のU15ユースチーム所属2選手をNBAマーベリックスが主催する若手育成キャンプに派遣することを発表し、参加2選手が出席する中で壮行会を兼ねた記者会見を開いた。

 会見にはU15チームのヘッドコーチ兼育成ディレクターを務める根間洋一氏と、今回の選手派遣に同行し彼らのコーディネート役を任せられた伊藤大司選手も出席。チーム初の試みについて説明を行った。

 今回選ばれた2選手は、中学3年生の南口直樹(みなみぐち・なおき)選手と同2年生の石原海翔(いしはら・かいと)選手。両選手ともU12、U13 の滋賀県選抜に選ばれるなど、県内の有望選手たちだ。

 2人は7月28日から8月4日の日程で、マーベリックスが主催する「サマーフープキャンプ」と「ディベロップメントキャンプ」の2つの育成キャンプに参加することになる。

【キャンプ5日間はバスケ三昧の生活】

 レイクスの説明によると、2人が参加するキャンプは基本的には参加自由らしいが、「ディベロップメントキャンプ」の方は技術の高い14~18歳の選手が集まるもので、ある程度の実力を必要とするようだ。

 最初の3日間は2つのキャンプを掛け持ちすることになり、朝9時から夜7時半までバスケ漬けの生活を送ることになる。

 もちろん2人にとって初の米国行きになるが、早くも気合いは十分だ。

 「本場の人たちと一緒にプレーして十分にパワーアップして帰ってきたいと思ってます」(南口選手)

 「本場の選手たちと一緒にプレーして自分がどこまで通用するかを学んで、それを修正して日本で活躍したいです」(石原選手)

【若い時期から本場米国でプレーする重要性】

 今回の選手派遣に当たり、伊藤選手の存在が大きかったようだ。高校、大学と米国で選手生活を過ごし、今もケビン・デュラント選手らNBA選手とも親交があるほど米国のバスケ事情に精通する伊藤選手。

 チームから今回の話を聞き、現在NBA傘下のマイナーリーグ『NBAGリーグ』で、マーベリックス傘下の『テキサス・レジェンズ』でコーチ研修をしている兄拓摩氏にも相談した結果、マーベリックスの育成キャンプに辿り着いた。

 伊藤選手も自らの経験から、若手選手の米国派遣を全面的に支持し、その重要性を以下のように説明している。

 「僕も中学3年生の時に夏休みを利用して1ヵ月間、米国でサマーキャンプや高校の体験入学を経験しました。

 その時に思ったのが、バスケットに関して技術やレベルの違いっていうのをものすごく感じることがありましたが、それとは別に一緒にプレーしている選手たちの絶対周りの選手に負けないという気持ちだとか、この場所でナンバーワンになってやるんだという気持ちというものを、今まで日本で味わえなかった独特な空気感を米国に行って感じることができました。

 今回2人は1週間という短い期間かもしれないですけど、その米国ならではのハングリーさだとか独特の空気感というのを肌で味わってほしいと思います」

 レイクスは選手選考に際し、米国でも物怖じせず意欲的に取り組んでいける選手を選んだという。

【費用の大半はチームが負担】

 今回レイクスのユース選手派遣の最大の特徴は、あくまでチーム主導で選手個人の育成を目指しているということだ。これまでBリーグの中には、ユースチームの海外遠征を実施しているようなチームは存在したが、選抜した選手を海外の育成キャンプに派遣するというのは例がない。

 これは今年からレイクスが若手選手育成に本腰を入れ始めたからだ。それを物語るように、今回の選手派遣についても協賛企業を募り、費用の大半をチームが負担している。また昨シーズンまでトップチームのアシスタントコーチを兼任していた根間氏も、このオフからユース事業に専念するとともに、新設された育成ディレクターに就任している。

 「Bリーグでは、トップチームを頂点としたピラミッド型の一貫性の育成組織の充実が加速化してきています。加えて我々は10年以上、滋賀県内でバスケットボールスクールを開校し、子供たちを指導してきました。

 その中でもう一度(若手育成を)俯瞰する人間を置いて、選手のレベルアップだったり練習メニューの見直しなど、選手の育成、バスケットの普及という面を整理していこうということで、育成ディレクターとしてU15専任というかたちで新しいシーズンをスタートします。

 なのでトップチームだけではなく育成の部分でも、レイクスターズがリーグの中でもリーダーシップをとっていって、トップチームの分母を押し上げて、将来的にトップチームでプレーできるような選手を育てていければなと思っています」(根間氏)

【滋賀からNBA選手輩出を目指す】

 根間氏の説明通り、レイクスとしては今回の選手派遣を含め、今後も若手有望選手の育成に積極的に取り組んでいく構えで、来年以降も選手派遣を継続していきたい方針だ。

 会見に出席した西村大介代表取締役社長兼GMも以下のように話し、補足説明している。

 「我々は本気でNBA選手を輩出しようとしていますので、そう意味では(チーム強化ではなく)彼らに投資しているというか、彼ら個人が伸びてほしいというものです」

 ここ数年すっかり盛り上がりを見せている日本バスケ界。更なる成長に向け、また新たな画期的な取り組みがスタートしようとしている。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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