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【長崎市】夏休みに親子で考え体験しよう!7/28(日)いのちをつなぐお話とジビエレザーワークショップ

misahanaライター(長崎市)
取材協力・写真提供:ジビエレザーHUMMINGBIRD 小畑真裕子様

みなさん、ジビエレザーってご存知ですか?イノシシシカなどのを使って作られたジビエの革のことです。私は先日初めて、ジビエレザーというものがあることを知りました。

そんなジビエレザーを使って、素敵な革製品の製作・販売をされている方が、諫早市にいらっしゃいます。ジビエレザーHUMMINGBIRD(ハミングバード)の小畑真裕子さんです。

ジビエレザーHUMMINGBIRDの革製品
ジビエレザーHUMMINGBIRDの革製品

小畑さんは、有害鳥獣駆除されたイノシシの皮を、ジビエレザーの革製品に生まれ変わらせています。

私、はじめは、「イノシシ=田畑を荒らす・人に危害を加える困った存在」という認識から、素敵な製品になるので良い活動だと簡単に考えていました。しかし、小畑さんにお話を伺いし、その考えが正しいのか、深く考えさせられました。

ジビエレザーHUMMINGBIRDの革製品
ジビエレザーHUMMINGBIRDの革製品

今日は、みなさんにも、そんなジビエレザーの奥深い世界を、少しご紹介できたらと思います。

小畑さんとジビエレザーとの出会い

小畑さんは、北海道出身。20歳より絵を描き始め、中高の英語教員をする傍ら、絵だけでなく刺繍やアクセサリー、流木の作品作りなど、製作活動を続けてきました。

ジビエレザーHUMMINGBIRD 小畑真裕子さん
ジビエレザーHUMMINGBIRD 小畑真裕子さん

5年前から革製品のショップの製作スタッフとして、革製作に携わるようになり、革産業の世界へ。しかし、革産業がもたらす地球環境の汚染や、革なめし工場で働く人々の薬品による健康被害の事など、学べば学ぶほど胸が痛み、革は向いてないかもしれないと思うようになったそうです。

アトリエでの様子
アトリエでの様子

そんな時、牛の床革(とこがわ)というほとんどが活用されずに廃棄されている素材に出会い、製作を開始。その後、有害鳥獣駆除の話を知り、「捨てられている動物の皮を活かすことができるなら、革にまだ携わっていられるかもしれない」とジビエレザーHUMMINGBIRDの活動をスタートさせました。

イノシシの毛皮
イノシシの毛皮

現在は、諫早市で廃棄されていたイノシシの皮を譲り受け、築100年越え古民家のアトリエで活動しています。

小畑さんは、いのちをいただいて、つなぐ仕事だからこそ、「その皮は、地球に優しい方法で革にしてもらいたい。そこで働く人も健康であること」が絶対に必要だと考えました。

そこで、ハミングバードでは、MATAGI PROJECTという全国で駆除された獣皮を受け入れ、環境働く人にとってやさしい方法でレザーに変える取り組みを行っている工場に、なめし作業を依頼することにしました。

ミモザやアカシアなどの植物タンニンでなめされた革は、赤ちゃんからお年寄りまで安心して触ることができます。

いのちに関わる者としての葛藤

こうして始まった活動ですが、ジビエレザーの小物製作に行きつくまでには、長い道のりがあります。

にするため、なめす作業を行いますが、その前に下準備を行います。皮の腐敗を防ぐため、塩を揉みこんで塩漬けする必要があるのです。こちらはすべて手作業で、皮だけでも大きいもので8kgあるそう。女性にとっては、かなりの重労働です。

塩漬け作業の様子
塩漬け作業の様子

小畑さんは、こちらの作業については未経験。なめし工場の方におおまかな方法を教えてもらい、あとは独学で、失敗に失敗を重ねながら、今の方法に辿り着いたそう。

小畑さんにとって、塩漬け作業は、体力的にも気分的も楽ではありません。なにより、直接毛皮と対峙し、触れることは「何度作業していても慣れることはない」と話します。

「亡くなってしまったいのちのカケラに対する衝撃悲しみがある。さっきまで山の中を走っていたイノシシの息遣いが聞こえてくるような気持ちになります」と胸の内を語ってくださいました。イノシシを駆除をする猟師さんの中にも、複雑な思いを抱えながら活動している人がたくさんいることも知りました。

エサを求めて歩き回るからか、罠にかかるのは妊婦のイノシシが多いそう。お腹の中にいる赤ちゃんと一緒に亡くなっています。人間側からすると、たくさんのイノシシを駆除できたということになるかもしれません。しかし、小畑さんも同じ母親として、知れば知るほど複雑な感情が湧いてくるそう。いのちと対峙することは、そんな単純簡単なものではないと考えられています。

だからこそ、小畑さんは、送った毛皮がきれいなレザーになって戻ってきた時の喜びは大きいそうです。「製作を通し、みんなにつなぎたい」という意気込みや、やる気にも繋がっています。「ものづくりという大好きなことで、いのちをつなぐという役割を担えることは、私にとって幸せなこと」とほほえみます。

小畑さんは、少しでもジビエレザーの概念有害鳥獣駆除の状況を知ってもらうことができればと、ワークショップや市民講座などの活動にも力を入れています。

親子で一緒に考え、体験しよう!『小畑さんのお話とワークショップ』(予約制)

このような小畑さんのお話を直接聞けるイベントが、7月28日(日)11:30より、カフェつむぎや(麴屋町)にて開催されます。当日は、ワークショップで実際にジビエレザーに触れることもできます。

イノシシ革でミニイノシシ作りの様子
イノシシ革でミニイノシシ作りの様子

ワークショップは、下記3種類の中から、お好きなものを選ぶことができます。

  1. イノシシ革でミニイノシシ作り
  2. 三つ編みキーホルダー
  3. ハギレキーホルダーに刻印体験

残席残りわずかのため、参加希望の方は、お早めにお申し込みください。大人の方のみでの参加も可能です。詳細は、公式Instagramにてご確認ください。

今地球では、生態系のバランスが崩れ、イノシシやシカなどの動物が増えることで、人間世界野生動物との境界線が曖昧になってしまいました。そのため、駆除せざるを得ない状態が起こっていることを「みんなで一緒に考えるきっかけになれば」と小畑さんは話します。

ワークショップ(ハギレキーホルダーに刻印体験)
ワークショップ(ハギレキーホルダーに刻印体験)

「そして、人間側の都合で駆除されるいのちがあるのであれば、人間として最後まで相手のいのちを大切にすること。(=お肉としていただいたり、ジビエレザーとして活用していくこと)そんなことを考えながら、革に触れていただけたら」と小畑さん。

遠い場所の話ではなく、私たちの身近な自然で起こっている話です。ぜひ、みなさんも親子で地球環境のことを考え、話し合ってみるのはいかがでしょうか?

ジビエレザー作家まゆこさんの【いのちをつなぐ】お話とワークショップ
日時:7月28日(日)11:30~
会場:カフェつむぎや(麹屋町4-4)
申込み:公式Instagram@lomyuthai
駐車場:なし ※隣に有料駐車場あり
料金:一人2,000円(内訳:参加費500円、ワークショップ材料費1,500円)
※ランチ希望の方:ランチ代+980円
※親子で参加され、お子さまだけワークショップを行う場合:保護者+500円
公式SNS:Instagram
取材協力・写真提供:ジビエレザーHUMMINGBIRD 小畑真裕子様

ライター(長崎市)

生まれも育ちも長崎市。長崎くんちが待ち遠しい「じげもん」です。初めての育児に奮闘中!古民家カフェとローカルな史跡巡りが好き。長崎での暮らしが、今よりもっと楽しくなるような情報をお届けします。

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