『ドラクエモンスターズ スーパーライト』のガチャは何がいけなかったのか?
スクウェア・エニックスが1月23日にリリースしたスマホゲーム、『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト(以下:DQMSL)』で返金騒ぎが起き、運営のCygamesがガチャの一時停止と課金アイテムの返還を発表する事態となりました。
「まほうの地図ふくびき」に関するお知らせ|スクウェア・エニックス BRIDGE
はたしてDQMSLで何が起きたのか? 発売直後からプレイしている“いちユーザー”として、DQMSLのガチャの問題点を分析してみます。
レアガチャなのにレアが出ない
何がいけなかったもクソも、最大の理由はコレです。レアガチャからレアが出れば何も問題は起きませんでした。
DQMSLではモンスターのレア度がS>A>B>C>D>E>Fと7段階に分けられているのですが、DQMSLのレアガチャでは下から3番目であるDランクのモンスターがよく出ました。お金払ってDランクです。
Dランクのモンスターは普通にプレイしていても手に入るザコキャラばかりで、お金を払ってまで欲しいモンスターはごく一部しかいません。レアガチャなのにレアが出ない。この理由が、後述する全ての理由を引き起こす原因となりました。
ほかのスマホゲームに比べて高いガチャ
DQMSLのレアガチャの料金は、1回約500円となっています。これは、ほかのスマホゲームのガチャと比べるとかなり割高な料金です。例として、スマホゲーの王者『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』のガチャと比べてみましょう。
どちらのゲームもガチャをするには課金アイテムが5個必要です。パズドラでは魔法石が5個、DQMSLではジェムが500個(販売は100個単位)必要です。販売額はどちらも100円なので、一見すると同額に見えますが……。
じつは、セット販売価格が大きく違います。例えば2,000円を支払った場合、パズドラでは魔法石が30個買えますが、DQMSLではジェムが2,150個。魔法石換算で21.5個しか買えません。
そして5,000円だとパズドラではガチャが1回あたり約294円になるのに対し、DQMSLでは約439円です。この価格の割にはレアが出ないドラクエ税に、ユーザーの不満は募っていきます。
見た目ではレアが出る確率が80%のグラフィック
DQMSLのレアガチャは、一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)の“ゲーム内表示等に関するガイドライン”に反してガチャの確率表示を行っていません。そのうえ、ガチャのグラフィックに問題がありました。
※上記段落にて、日本オンラインゲーム協会と一般社団法人ソーシャルゲーム協会を混同しておりました。申し訳ありません。お詫びして訂正します。
左の画像はDQMSLのレアガチャ“金の地図ふくびき”の画像です。見ての通り金の地図が8枚に対して銀の地図が2枚と、ユーザーからしてみればまるで金の地図が80%の確率で出るような印象を受けます。
もちろん引いても引いても銀の地図が出ることから、個人的には「縁日のクジみたいだな」と思っていたのですが、そのうちユーザーから「有利誤認ではないか」と指摘が出るようになりました。
縁日であれば1回かぎりなので、『ニンテンドー3DS』や『WiiU』のような豪華賞品が並べられている屋台の後ろからゴミのようなおもちゃが出てきても許されるかもしれませんが、さすがに何度も引くとユーザーの怒りも溜まってきます。
そんななかで、運営はとんでもないことをしでかしました。
ふくびきの画像をこっそり修正。確率50%に
なんと、ユーザーへの告知もなしに金の地図ふくびきの画像をこっそりと修正したのです。金の地図が5枚、銀の地図が5枚に。
これがユーザーが「景品表示法違反だ!」と騒いだ結果なのかどうかは分かりませんが、とにかく有利誤認っぽい画像は修正されました。それでも出てくるのは銀の地図ばかりですが。
この「これなら文句ないだろう」と開き直ったような修正に一部のユーザーがブチ切れ、Android版の胴元であるGoogle Playに対して返金を申し込んだところそれが通ったとの報告を行い始めました。
iPhone版のユーザーもそれを真似してiTunes Storeに対して返金を申し込む者が現れ、真実は分かりませんがGoogleもAppleも次々と返金を認めたとして騒ぎになりました。
この騒ぎを受けてDQMSLの運営は上記の「「まほうの地図ふくびき」に関するお知らせ」という発表を行い、課金ユーザーに対してこれまでレアガチャで使ったジェムを返還すると告知しました。
今後の方針や返還の期限は本日2月6日中にお知らせするとのことですが、今のところまだ何の発表もされてません。
搾り取りすぎにご用心
ボクは返金を申し込んでおらず、DQMSLをそれなりに楽しんでプレイしていますが、さすがに運営側はやり過ぎたなと思っています。
ガチャはゲーム業界にとって金のなる木です。しかし、いくらでも実をつけるわけではありません。ユーザーの懐には限界があります。
そこをうまくコントロールして、ユーザーにそれなりの喜びを与えながら四公六民ぐらいで搾り取る。そういった運営がガチャというシステムが存在できるギリギリのラインじゃないでしょうか。今回は喜びがなさすぎた。完全にただの年貢でした。