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コムドット、Creepy Nuts『BBBB』カバーMVで「Official」を名乗って炎上。謝罪へ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
問題の動画。YouTubeより筆者キャプチャ

 人気YouTuberグループのコムドットがCreepy Nutsの人気楽曲『Bling-Bang-Bang-Born』のカバーMVを4月27日に公開しましたが、タイトルに「Official」と入っていたことから「公式じゃないだろ」と批判が殺到。謝罪して訂正する事態となりました。

非公式のカバーMVに「Official」と名付け批判

 この問題は4月27日、コムドットが公式チャンネルにCreepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』のカバーMVを予約投稿したことから始まります。

 予約のため公開前でしたが、タイトルが「Creepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』Official Music Video コムドット Ver.」となっていたことから「公式なのか?」との疑問が広まりました。

 しかし、Creepy Nuts側からとくに発表がないこと。コラボでもなさそうなことから「非公式なのにOfficialを名乗るな」との批判が増えてきて、炎上状態となりました。

「勘違いさせてしまった皆さん申し訳ないです」と謝罪

 こうした騒ぎを受けてコムドットのリーダー、やまとさんは自身のXアカウントで「勘違いさせてしまった皆さん申し訳ないです」と同日、謝罪しました。

 あわせて「MVはOfficialではなく、あくまでコムドットがCreepy Nutsさんと楽曲にリスペクトを込めて作ったもの」と説明。

 タイトルからOfficalの表記を取り除く対応を取ったとのことです。

Official Music Videoがない状態で公式を名乗ったことが原因?

 炎上の原因はいろいろと考えられます。

 コムドットは過去にも何度か炎上しており、アンチを抱えています。そのため、何か落ち度があればすぐに批判されてしまう状況にあります。

 ただ、それよりも『Bling-Bang-Bang-Born』のOfficial Music Videoが公開されていないにもかかわらず、Officialを名乗ってしまったことが一番の理由ではないかと考えられます。

 『Bling-Bang-Bang-Born』のOfficial Music Videoと言えば、下記のTVアニメ『マッシュル-MASHLE-』のMVのことを思われる人が多いでしょう。

 しかし、タイトル通りこちらは「Collaboration Music Video」であり、「Official Music Video」ではありません。

 もちろん『Bling-Bang-Bang-Born』のMVと言えば基本的には上記の動画のことです。しかし、やはりこれはCreepy Nuts単体のOfficial Music Videoではないのです。

 なんだか言葉遊びのようですが、そのような状況で「勝手にOfficialを名乗った」ことが批判の背景にあるように見えます。

HIKAKINさんの「Official」名乗るカバーMVは絶賛

 というのも、これも炎上のなかで指摘されていることですが、HIKAKINさんが「Official」とタイトルに付けたYOASOBIの『アイドル』カバーMVは炎上どころか絶賛されているからです。

 こちらは単純にコメント欄で高評価というだけではなく、YOASOBIの公式Xアカウントから「見ました?びっくりを通り越して感動的な再現度です。ありがとうございます」とお礼を言われるほどの事態となっています。

 ほかにもHIKAKINさんのカバーMVを調べてみたところ、「公式のタイトル+HIKAKIN Ver.」とすることで、「この動画のHIKAKINバージョンです」と分かるようにされています。

HIKAKINさんのカバーと本家のタイトルを比較。画像は筆者作成
HIKAKINさんのカバーと本家のタイトルを比較。画像は筆者作成

 そのため、コムドットも「Creepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』Official Music Video コムドット Ver.」ではなく、「Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」 × TV Anime「マッシュル-MASHLE-」 Collaboration Music Video コムドット Ver.」としていれば、今回のような炎上にはいたらなかった可能性があります。

「リスペクトが感じられない」は炎上の恐れ

 今回の件に限らず、カバーMVを出すときは「公式へのリスペクト」がかなり重要です。見た人に「リスペクトが感じられない」と受け取られると、炎上しかねないからです。

 というのもコムドットには同様の事例があり、2022年にもラッパーのOHAYOの曲『GAL (feat. Shake Pepper & Yvngboi P』のカバーをTikTokに投稿した際に、「オリジナルの曲」と登録したためYvngboi P氏から「勝手に上げんなお前、勝手に人の歌使うな」と怒られています。

 このとき、作曲者のLIL G氏からは「リスペクトが欠けてると思います」と指摘されています。

 何をもってリスペクトとするのかは個人によって差があり、一律に正解を決めるのは難しいと思いますが、やはり本家となる相手に敬意を持ち、礼儀を持って接することが重要になってくるのではないでしょうか。

 今後、カバーMVを作ろうと考えているYouTuberの方々には気をつけて欲しいところです。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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