WBCフェザー級新チャンピオン誕生
現地時間10日にテキサス州サンアントニオで行われたWBCフェザー級タイトルマッチは、挑戦者のレイ・バルガスが2-1の判定勝ちで新チャンピオンとなった。バルガスはスーパーバンタム級に続いて、2階級を制すると共に、36戦全勝22KOと、デビュー以来の連勝を伸ばした。
チャンピオン、マーク・マグサヨとバルガスの身長差は11センチ。試合開始から王者はアグレッシブに前に出る。クリーンヒットはほとんど見られないものの、リングジャネラルシップでポイントを稼いだ。
序盤を凌いだバルガスは、リーチを生かしたリードパンチで、マグサヨを中に入らせない。負け知らずの両者だったが、ラウンドが進むに連れ、挑戦者が体型的な特徴を生かしてペースを握る。
中盤、バルガスは徹底して自らの距離を保った。だが、やや疲れを見せた第9ラウンド、右ストレートを放った際に、マグサヨのカウンターを浴び、ダウン。
試合を決めたい王者だが、試合巧者であるバルガスは、絶妙なポジション取りで、ピンチを脱する。
試合前、マグサヨは同じフィリピン人であるマニー・パッキャオと比較されることについて「私はパッキャオ2世ではありません。彼こそ唯一無二の存在です」と述べたが、言葉通りだった。
チャンスと見るや、一気に畳みかけるパックマンのような鋭いステップインも、TSUNAMIと恐れられた超高速連打もマグサヨは持ち合わせていなかった。
115-112で挑戦者の勝利を唱えたジャッジが2名、残る一人は114-113でマグサヨを支持した。9ラウンドの局面にフィニッシュ出来なかった詰めの甘さが明暗を分けた。
勝利者コールを受けた後、バルガスは感極まりながら「言葉が無い……本当にハードに練習した。神に、家族に、トレーナーである"ナッチョ"・べリスタインに感謝する。最初のタイトル獲得時は心から楽しめた。でも、今回は特別だ。個人的な勝利だね」とコメントした。
また、新チャンピオンは「WBA王者、レオ・サンタ・クルスとの統一戦を希望する。我々のチームは、既にその話をしているよ。準備OKだ」と付け加えた。
バンタムから4階級を制しているクルスとの統一戦となれば、メキシカンvs.メキシカンのメガ・ファイトとなるだろう。
初黒星を喫し、24勝(16KO)1敗となったマグサヨも言った。
「言い訳はしません。今夜は彼の日でした。自分に失望したけれど、ベストは尽くしました。強くなって戻ってきます。少し休み、試合の映像を見て、ミスを修正します。次戦に向けてまたトレーニングしますよ。フィリピンのファンの皆さん、ありがとう」
今回の試合内容を鑑みれば、リターンマッチとなってもおかしくない。WBA/WBC統一フェザー級タイトルマッチの後、マグサヨにも再浮上の機会が与えられることを願う。