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オリンピアン参戦の「第11回全農 日本ミックスダブルスカーリング選手権大会」開幕。ガチ予想リベンジ!

竹田聡一郎スポーツライター
13日の前日会見にはオリンピアンペア3組がイチゴなどの果物と共に登場(著者撮影)

 3月14日からみちぎんドリームスタジアム(青森市)で「第11回全農日本ミックスダブルスカーリング選手権大会」が開幕する。

 平昌五輪から正式種目として採用されたこのミックスダブルス。ガードストーンをセンター、あるいはコーナーに置いた状態から始まる8エンドゲームで、石は5投。片方の選手が1投目と5投目を担当すると、もう一方の選手は2-4投目を受け持つ。詳しいルールはJCA(日本カーリング協会)のHPに掲載されている。

 そのJCAは4年後の北京五輪出場などを視野に入れ、普及と強化を強めたい意向だ。

 昨大会に続いて推薦指定枠を設け4人制のオリンピアンから、吉田・清水(吉田知那美/清水徹郎)、藤澤・山口(藤澤五月/山口剛史)、チーム吉田・両角(吉田夕梨花/両角友佑)の3ペアを選出した。さらに前年度優勝枠、準優勝枠が出場辞退のため追加推薦されたチーム平田(北澤育恵/平田洸介)、松村・清水(松村千秋/清水芳郎)ら2ペアの出場も追って決まった。

 MDほぼ未経験の彼ら5ペアを迎え撃つのは地区予選を勝ち抜いた16ペアだ。MDを中心に地道に強化を続けて来た夫婦のペア、北海道ブロックの竹田・竹田(竹田智子/竹田直将)、同ブロックのTeam DOI(土居綾希子/土居誉享)、中部ブロックのチーム柏木(柏木由美子/柏木寛昭)あたりが、まずは7チームごとに分かれた一次リーグでの星取り合戦に顔を出してきそうだ。

 優勝の行方だが、ハウスに石が貯まりやすいエンドが多く、複数得点やスチールも珍しくないタフなゲームが続くため、予想は困難だ。ただ、平昌五輪でガチ予想を外しまくった識者陣にリベンジしてもらう意味でも、もう一度、語ってもらった。

■カーリング特番の制作経験がある男性テレビディレクター

優勝→藤澤・山口(藤澤五月/山口剛史)

準優勝→チーム吉田・両角(吉田夕梨花/両角友佑)

履く人、運ぶ人、というショットやスイープの役割分担が明確なペアの方がいい意味で選択肢がないぶん、迷わずに決めてくるのではないか。やはり最後に投げるのが藤澤の藤澤・山口が最有力か。チーム吉田・両角は、両角友が吉田夕にタフなショットを残さずにセットアップできるかどうかが鍵になってくる。竹田・竹田やチーム柏木ら、MDを地道に強化してきたペアはMD特有のハウスマネジメントができれば、推薦ペアに一矢報いることができるかもしれない。

■全国紙冬季競技担当女性記者

優勝→吉田・清水(吉田知那美/清水徹郎)

準優勝→松村・清水(松村千秋/清水芳郎)

平昌五輪では4人制の元金メダリスト同士の急造カナダペアが優勝し、技術がMD戦歴を超えうることを証明した。日本選手権でも、4人制からの推薦組が優勝争いの軸になりそうだ。中でも「初挑戦のMD」「そだねブームによる大観衆」という特殊な舞台で爆発的な力を出すのは吉田知だろう。吉田知、清水徹ともサードとしての戦術眼、セカンド経験で鍛えたスイープ力に長ける。激戦ブロックに組み込まれたが、そこでの接戦も決勝Tへの糧になりそうだ。ダークホースは松村・清水芳組。推薦枠5組の中でも付き合いの濃さと長さは随一で、姉弟のようなコンビネーションで上位に食い込みそう。

■カーリング取材歴9年のフリーライター

優勝チーム→吉田・両角(吉田夕梨花、両角友佑)

準優勝チーム→チーム平田(平田洸介、北澤育恵)

4人制の日本選手権ほどの大荒れ、とはいかないが今季は波乱含みになりそう。何かが起こるとしたらBブロック。チーム平田が、真面目に考えすぎてしまうきらいのある「藤澤・山口」の北海道コンビが崩れたスキに一気に星を稼ぐ、という展開に。吉田・清水の総合力の高さも捨てがたいが、昨年同様、優勝は投げ勝ったペアになりそう。かつてサードをやっていた吉田夕のキャリアがここで活きるのもプラス材料か。シンプルなショットは間違いなく沈める彼女に、‘日本の至宝’の異名をとる両角がいい形で繋ぎたい。

■MD日本選手権出場経験を持つ男子選手

優勝チーム→藤澤・山口(藤澤五月/山口剛史)

準優勝チーム→吉田・清水(吉田知那美/清水徹郎)

やはりラストを投げる藤澤選手の、カーラーとしての勝負強さ、技術、あとは‘持ってる感’が決め手になって、一番、勝ちそうな雰囲気があります。山口選手が高いレベルでスイープを持続できるのも大きい。逆に吉田・清水のサードコンビは、戦術、デリバリー、スイープなど、かなり高いレベルでまとまっているので一番、負けにくいペアなのでは。決勝では最高の矛と盾のような、ハイレベルなミックスのカーリングが観たいですね。 

 各チームは公式練習を終え、14日午後から7チーム×3ブロックの一次リーグを戦う。

 プレーオフ以降は、AbemaTVで、18日日曜、準決勝以降を生中継の予定だ。

「いいプレーを観せてカーリングをメジャーにしたい」と山口剛史が力強く宣言したように、新たなカーリングの魅力を、彼ら自身のパフォーマンスで発信してくれるはずだ。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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