佐野慈紀氏が侍ジャパンに“リリーフ”藤浪晋太郎を推す理由とは?
【佐野慈紀氏が考える侍ジャパン24選手】
今も世の中は東京五輪開催かどうかで意見が分かれている状態だが、競技ごとに五輪出場選手が決まっていき、また強化試合を実施するなど、着実に準備が進んでいる。
野球の侍ジャパンも、いよいよ明日6月16日に出場内定者が発表される予定だ。ここ最近は多くのOBたちがYouTubeなどを利用して、侍ジャパンに選出される選手を予想する機会が増えており、やはり野球ファンの間で注目されてきたのは間違いない。
かくいう自分も、毎週月曜日夜にClubhouse上で野球評論家の佐野慈紀氏と実施している『ゆる~い野球談義』で、それぞれが考える侍ジャパンについて語り合っている。
そんな2人の話し合いの中で、佐野氏が考える侍ジャパンにすごく説得力を感じたので、正式発表を前にこの場で披露してみたいと思う。
【チーム構成は投手11人と野手13人】
とりあえず佐野氏が考える侍ジャパンの陣容は、以下の通りだ。
●投手(11人)
山本由伸投手/柳裕也投手/田中将大投手/宮城大弥投手/早川隆久投手/平良海馬投手/栗林良吏投手/松井裕樹投手/高梨雄平投手/藤浪晋太郎投手/河野竜生投手
●捕手(2人)
甲斐拓也選手/森友哉選手
●内野手(6人)
源田壮亮選手/浅村栄斗選手/菊池涼介選手/坂本勇人選手/村上宗隆選手/岡本和真選手
●外野手(5人)
柳田悠岐選手/吉田正尚選手/鈴木誠也選手/近本光司選手/佐藤輝明選手(いずれも順不同)
如何だろう。実は野手に関しては、佐野氏と自分の間に大きな差異はなく、3人程度が違っている程度だった。
ところが投手に関しては、かなり違いが明確に生じた。そこで佐野氏から解説を求めたところ、非常に独創的であり、なおかつ説得力がある回答を得ることができた。改めて投手出身である佐野氏の造詣の深さに感嘆させられた。
【選考の根底にある2つの条件】
佐野氏が投手を選ぶにあたり考慮したのが、2つの条件だった。1つは、現在勢いに乗っていること。そしてもう1つが、外国人選手に通用する投球ができるかどうかだった。その条件をクリアできた投手が上記の11人というわけだ。
佐野氏の考えでは、先発の核になるのが山本投手と柳投手で、それに田中投手と早川投手が続く。そして宮城投手は、スポット先発やロングリリーフの役目を担うことになる。
クローザー候補は栗林投手か平良投手で、その前を藤浪投手や高梨投手、河野投手が務めることになる。ここまでパ・リーグ最多の18セーブを記録している松井投手はクローザーというよりも、対左打者対策としての意味合いが強く、勝利の方程式に組み込まれていない。
佐野氏の選考で特に印象的だったのが、中継ぎ陣に藤浪投手、高梨投手、河野投手を選んだ点だった。自分の頭の中には浮かばなかった3人だった。
「外国チームと戦う上でやはりパワーが重要です。リリーフで投げる藤浪くんは間違いなく球界でも屈指のパワー派です。また高梨くんもサイドスローから左右ではなく上下で勝負できるタイプなので、外国人相手に有効だと思います。
それと河野投手はコントールが良いだけでなく、緩急の使い方がすごく上手い投手なので、やはり外国人選手が苦手とするタイプだと思います。
確かに又吉(克樹)くんや山﨑(康晃)くんも今シーズン調子が良いですが、球速がない分彼らの変化球は外国人選手に見極められてしまい、勝負球に手を出してくれないように思います」
【田中投手はエースというよりも投手陣の精神的支柱に】
さらにエースとして期待しているのが、世間で言われているような田中投手ではなく、山本投手と柳投手だという点も興味深い。
「山本くんは現時点で最も安定感がある先発投手ですし、その球種も外国人選手向きです。また柳くんをエースとして期待するのは、彼が単純に調子が良いだけでなく、彼のカーブは独特で、外国人選手は間違いなく手を焼くだろうと考えたからです。
田中くんはエースというよりも3番手で投げてもらいます。ただ投手陣が若い選手ばかりなので、投手陣の精神的支柱になってもらいたいと考えました。野手にはそうした存在がいなくても何とかなると思いますが、投手陣は絶対に必要です」
稲葉篤紀監督は今回の選考にあたり、2019年にプレミア12を戦った選手たちがベースになってくると公言している。だが投手陣に関しては、その多くが今シーズン目覚ましい活躍を見せられておらず、やはりある程度の入れ替えが必要になってくるだろう。
さらに東京五輪が短期決戦だということを考えれば、現在好調を維持している選手の方が期待できるし、さらに佐野氏が指摘する、外国人向きの投球ができるかどうかも重要になってくるはずだ。
佐野氏は「稲葉監督は結構保守的なので、自分のような選考はしないでしょうね」と笑うが、果たして最終的にどんな選手が選ばれることになるのだろうか。