竜王戦第4局、羽生九段タイトル獲得通算100期に暗雲。横歩取り戦法を選択したその理由は?
27日に2日目が指し継がれた第33期竜王戦七番勝負第4局は、豊島将之竜王(30)が挑戦者の羽生善治九段(50)に113手で勝利し、シリーズ通算3勝1敗とした。
羽生九段が後手番で横歩取り戦法へ誘導し、前週の両者の対戦(11月20日、第70期王将戦挑戦者決定リーグ第7戦)と似た格好に。
序盤でわずかにリードした豊島竜王が、その差を守って中盤の戦いを進め、飛車交換になってからは羽生陣を一気に攻略して快勝した。
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スキのない指しまわし
豊島竜王、強し。そう感じさせられた一局だった。
将棋AIを用いて精査したところ、一局通じて豊島竜王が不利になった場面は一度もなく、小さなリードを少しずつ広げていったようだ。
羽生九段に目立った悪手があったわけではないのだが、ジリジリとリードを広げられて、大決戦になってからは全くチャンスがなく力の出せない展開だった。
大熱戦となった第3局と違って本局は互いに持ち時間を余しての終局で、差のついた終盤戦だったことを物語る。
竜王戦第3局、羽生九段ファンの悲鳴あがった逆転劇。盤上では何が起きていたのか?
最近の豊島竜王は苦しくなってからの粘り強い戦いに目をひかれる。
前週の羽生九段との一戦も、不利な場面でも崩れない指し方で逆転勝利をおさめた。
10月に行われた藤井聡太二冠(18)との一戦では、勝率1%と中継画面に表示されてから逆転で勝利したのも記憶に新しい。
しかし本来の持ち味は本局のような指しまわしである。
綿密な研究を武器に序盤でリードを奪い、スキなくリードを広げて勝ち切るのが豊島竜王のスタイルだ。
本来の強さを取り戻し、防衛に向けてあと1勝。視界良好といえよう。
横歩取りという選択
豊島竜王の先手番となれば角換わり戦法がエースだ。本局は羽生九段がどういう対策を見せるかに注目が集まっていた。
しかしふたを開ければ横歩取りに進んだ。
羽生九段が横歩取りに信用を置いているのか、角換わりを避けたのか、見解が別れるところだ。
前週の両者の対戦も横歩取りだった。
羽生九段はオールラウンダーとして知られ、どんな戦法でも指しこなす。
今回の竜王戦も、第4局までに相居飛車の主要戦法が一局ずつ指されている。
前週の対局で横歩取りにまずまずの手応えを得たこと。
そして戦法のローテーションも加味した上での横歩取りの採用だったと筆者はみる。
ただ、結果的にその選択はうまくいかなかった。
序盤戦で豊島竜王にリードを奪われて、不本意な戦いを強いられてしまった。
前週の対局から互いに1局ずつ対局をこなしているが、体調面に不安を抱える羽生九段には準備の時間をとる余裕はなかったであろう。
一方、豊島竜王には2日程度余裕があり、横歩取りに対する対策を修正する時間があった。
本局の序盤の差は、準備の時間における差で生まれた可能性が高い。
驚異の回復をみせて対局をこなしている羽生九段だが、体調不良の影響はこうしたところにも出てくるのだ。
巻き返しは
タイトル獲得通算100期のかかる羽生九段は1勝3敗と苦しい星になった。
第3局のあとに体調不良で対局延期を余儀なくされ、傍目には復調したように見えても対局が続いて体力的にはかなり厳しい戦いであろう。
第5局は12月5・6日に神奈川県箱根町で行われる。
移動日も含めると、間隔が短い中で行われる対局といえよう。
第5局を羽生九段が勝つと、第6局は12月16・17日に行われる。
ここで少し間が空くので、羽生九段としては準備と体調を整える時間が取れそうだ。
そうなると、第5局を羽生九段が勝てば、まだシリーズの行方はわからない。
豊島竜王としても、ここで一気に決めてしまいたいところであろう。
30日(月)には第70期王将戦プレーオフが行われる。
渡辺明王将(36)への挑戦権をかけて戦うのは、今年度14度目の顔合わせとなる永瀬拓矢王座(28)だ。
ここを勝って挑戦権を獲得し、さらに勢いをつけられるか。
竜王戦七番勝負の行方を占う意味でも注目の一戦となる。