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越境台風3号は発生なしか、ハリケーン『ダグラス』は衰弱へ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
トロピカルストーム『ダグラス』の雲(ウェザーマップ)

すでに台風の勢力ギリギリの『ダグラス』

実況天気図と予想天気図(気象庁発表に加工)
実況天気図と予想天気図(気象庁発表に加工)

ハリケーン『ダグラス』から越境台風3号は発生するのか?注目されていますが、その可能性はかなり小さくなってきました。

タイトル画像にある雲の様子をみてみると、まだしっかりと渦を巻いているようにみえますが、すでに活発な背の高い雨雲(積乱雲)は少なくなり、背の低い下層の雲が主体で渦を巻いている姿に変わってきているようです。

気象庁の実況天気図をみると、きのう28日(火)午前9時では、ハリケーン『ダグラス』と解析されていたものが、その後衰弱し、上図の通り、きょう29日(水)午前9時にはトロピカルストーム(TS)『ダグラス』という解析となっています。

トロピカルストームとはまだ台風の勢力ではありますが、ハリケーンほど強くはなく、しかもこのあとは更に衰弱し、あす30日(木)午前9時の予想では、経度180度を超える手前の西経域で低気圧に変わる予想となっています。

どうやら越境台風3号が発生する可能性はかなり小さくなったと思われます。(下欄JTWCの予想も参照)

さらに現在、日本の南東海上に弱いながら熱帯低気圧(TD)が発生していますが、こちらも今後は発達することなく、あすまでには消滅する見通しです。

一方、フィリピン付近には低圧部(L)があり、これは発達すれば熱帯低気圧に変わる可能性もありますが、あさって31日(金)までには台風へ変わる可能性はほとんど考えられない為、どうやら1951年の統計開始以来、初めて7月の台風発生がゼロということが現実味を帯びてきました。

と同時に台風3号の発生が8月までずれ込むのは22年ぶり2回目のこととなります。

JTWC(米軍合同台風警報センター)の予想では?

JTWC(米軍合同台風警報センター)の予想、筆者加工あり
JTWC(米軍合同台風警報センター)の予想、筆者加工あり

このハリケーン『ダグラス』に関する進路を発表しているJTWC(米軍合同台風警報センター)の最新予想によると、きょう29日(水)午前9時現在、最大風速約20メートル、最大瞬間風速約25メートルのギリギリ台風の強さで西進しています。

今後の予想をみると、さらに衰弱しながら西進を続け、日本時間の今夜21時には最大風速約15メートル、最大瞬間風速約20メートルの勢力に弱まる見通しで、この時点で、もう台風の勢力ではなくなっている予想です。

その後、経度180度を横切る時点でもさらに衰弱している予想で、仮に東経域に入ってきたとしても、勢力が復活する可能性はほとんどないため、JTWCの予想でも、越境台風は発生しない予想となっています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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