ウクライナ軍、夜の監視に適した中国製小型民生品ドローン「DJI Mavic 3T」300機を最前線に
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民用品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。
2022年12月31日には調達したドローンが1577機に到達し、既に928機が戦場に投入された。2023年1月16日には83機をウクライナ東部ドネツク州バフムトに投入。さらに2023年3月30日には中国メーカーの民用品ドローンで監視・偵察を目的とした「DJI Mavic 3T」を300機調達したと、ウクライナのメディアU24とウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ氏が自身の公式SNSで報告。世界中の支援者に寄付の御礼も伝えていた。
今回調達した300機の「DJI Mavic 3T」はサーマルカメラが搭載されているため夜の監視・偵察に適している。調達した300機のうち最前線のドンバスに160機、ザポリージャに85機、ヘルソンに55機供給される。
民用品ドローンは監視・偵察としての使用だけでなく小型爆弾や手りゅう弾を搭載して標的のロシア軍に投下したり、突っ込んでいき爆破したり、攻撃ドローンにもなる。民用品ドローンと攻撃ドローンの境目がなくなったことはウクライナ戦争における戦術の特徴の1つである。そして民用品ドローンだけでなく攻撃ドローンも上空でロシア軍に探知されると機能停止させられるか破壊されてしまう。そのため戦場ではドローンは何機あっても足らない。
ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もドローンを監視・偵察、攻撃で多く使用している。「上空からの目」として戦場では欠かせない兵器の1つになっている。上空から敵の様子を探り、敵を発見したら、その場所をめがけてミサイル攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したり、神風ドローンが標的に突っ込んでいき爆発したりしている。これほど多くのドローンが戦場で活用されているのは人類の戦争の歴史上でも初めてである。
▼ウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ氏が公式SNSで寄付の御礼