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「メルカリ」オークションの「匿名配送」のメリット・デメリット

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

配送ラベルに宛名のない「匿名配送サービス」伝票
配送ラベルに宛名のない「匿名配送サービス」伝票

フリマアプリの「メルカリ(東京都港区:代表 山田進太郎)」は、2016年1月18日、「匿名配送サービス」をすべてのお客様に提供開始した。

匿名配送サービスとは、出品者・購入者ともに互いの住所や氏名などの個人情報を伝えることなく配送ができる安心・安全な配送サービスです。「らくらくメルカリ便」の利用時には、配送ラべルに互いの個人情報が記載されることなく荷物が配送されます。現在「らくらくメルカリ便」の受付はヤマト運輸直営店のみ

出典:フリマアプリ「メルカリ」、匿名配送サービスをすべてのお客様に提供開始 -業界初、住所・名前を相手に伝えず直接配送可能に-

一部で試験運用していた「匿名配送サービス」を全国で利用可能になったという。若年層のスマホによるオークションである「メルカリ」で出品物による個人属性が特定され、住所が落札先に伝わる、また、落札先の住所氏名を知るというのは、オークションにおける個人売買においては必須な配送情報であったが、この個人情報が明らかになることによっての抵抗感がある人は少なくない。

Googleの匿名配送サービス GoogleCheckOut(サービス終了)

かつてGoogleも、2006年に「Google Check Out」というサービスを展開していた。米国で実際に利用していたが、ECサイトで商品を購入する時には、「Checkout」というボタンを押して、GoogleのIDとパスワードを打ち込むだけだ。何もECサイトに個人情報を打ち込む必要がない。Googleに知らせているクレジットカードで決済され、自動的に自分の住所あてに商品が送られてくる。毎度、クレジットカードを入力しないでよかったので、お気に入りのサービスだった。そして、GoogleCheckoutは手数料をEC側に請求するというビジネスモデルだった。もしくは、AdWordsに出稿すると手数料が無料になるという微妙なビジネスモデルだった。しかし、サービスはすぐに撤退。エンドユーザーにとっては秀逸なサービスでもECサイト側にはメリットがあまりなかった。CheckOut経由の客は、すべてGoogle1人なのだ。結果として顧客のマーケティング属性が何もわからず、常に手数料を取られるばかりだからだった。双方にメリットがないとこの匿名配送サービスはGoogleでも、なりたたなかったのである。

楽天オークションとLINE MALLの「匿名配送」

実は、すでに日本でも「匿名配送」は利用できる。

楽天オークションでも「匿名配送」が利用できる。

http://auction.rakuten.co.jp/event/examine/anonymity/sell/index.html#contents_top

LINEでも LINE MALLで「匿名配送」が利用できる

http://appllio.com/20140730-5509-line-delivery-in-line-mall

残るは、ヤフオクの「匿名配送」に期待したいところだ。

ヤマト運輸が「匿名配送」サービスを行っていることを考えればコンビニでも対応できるようにするためには、メジャーなオークションサイトがすべて対応してくれることが理想なのだろう。ヤフオクが対応しないのは何かオトナの事情があるのか、「匿名ニーズ」を過小評価しているのだろうか?

発送住所がわかるメリット・デメリット

「オークション」というサービスは、個人売買に関する、素人、玄人、せどりも含めての一大プラットフォームである。ショップにはある程度ブランド化は意味があるが個人の素人にとってはどうでも良いことだ。相手が信用できるかどうかだけの問題であり、それは評価の数である程度理解できる。しかし、「オークション」初心者にとっては、分が悪い。数をこなさないと落札されにくい。常に初心者にとって敷居が高くなるサービスである。リピーターにとって便利なサービスも初心者にとってはチンプンカンプンで落ちこぼれるケースも多々ある。メルカリはそんな初心者ユーザーを取り込んできて成長してきたサービスだ。しかもスマホだけですべてが完結する。さらに匿名が担保されるとメリットが多い。しかし匿名になることへのデメリットは意外に少ない。

ボクの場合は落札者が近ければ、直接手渡しとかはまったく平気である。今や、それがご縁となって、六本木のBARで毎月第一月曜日には、ボクのApple TVを落札していただいた方のお店で店長をさせていただいている。実際に落札する人と会うと、趣味志向が似ている人が多いので、そんな出会いのメリットはボクはあると感じているが、99.9%の人は、落札者とリアルに交流したいとは思わないだろう。特に女性は自宅の住所が相手に知られるメリットはゼロに近い。今や、落札者の実名がわかれば、ネットで検索したりすると、SNSにぶち当たったりするからとてもやっかいな時代なのだ。個人的には匿名サービスになればなるほど、属人的なご縁は希薄になるかもしれなくて残念でもあるが、俗物的な売買サービスなので、個人情報は全くなくて困るものではないと考えている。

「ヤフオク」の「匿名配送サービス」の後追いにも期待したいものである。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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