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YouTubeの利用目的「未体験の行為を上手く行う方法を知る」アメリカ合衆国では過半数が強く同意

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 買い物時にもスマートフォンで購入者の動画をチェックして決定。(写真:アフロ)

動画を共有するウェブサービスとしては世界最大のポジションを確保するYouTube。どのような目的で利用しているのか、アメリカ合衆国の人達の実情を同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月に発表した調査「Many Turn to YouTube for Children's Content, News, How-To Lessons」(※)の報告書から確認する。

まず最初に示すのは調査対象母集団のうちYouTubeを現在利用している人(68%)に対し、次のような状況の時にYouTubeが「とても必要」だと思っている人の割合。ここの状況に対して選択肢として「とても必要」「それなりに必要」「さほど必要では無い」「まったく必要では無い」を提示して、そのうち「とても必要」を選択した人の割合である。例えば「暇つぶし」は28%とあるので、YouTubeを使っている人の3割近くは、暇つぶしをする時にYouTubeはとても必要だと感じている。

↑ 次のような時にYouTubeがとても必要だと思う(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定、複数回答)(2018年5~6月)
↑ 次のような時にYouTubeがとても必要だと思う(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定、複数回答)(2018年5~6月)

もっとも多い回答を示した選択肢は「未体験の行為を上手く行う方法を知る」で51%。例えばカップケーキを作る時に料理番組の公開動画や、料理の初心者向けのガイダンスを動画で配信している人の動画を参照するといった具合である。百科事典や検索エンジンのようにYouTubeを使う感じだろうか。

次いで多いのは「暇つぶし」で28%。特段の目的意識は無く、何となく気になる、面白そうな動画を観賞したり、「おすすめ動画」を確認したりなど、時間を消費するのにはYouTubeは最強の道具に違いない。無限のライブラリを持つプレイヤーとも表現できるのだから。

次に多いのは「特定製品を購入するか否かを決める」で19%。商品の感想や使い方を紹介する動画は山ほど存在する。その動画で実情や評判、使い心地を確認できる。テレビショッピングの番組よりも数は多く、多彩な意見が語られているのだから、参考にならないはずは無い。そしてワールドワイドなニュースを観るかのような感覚で「世界で何が起きているのかを知る」は11%。

この回答をもう少し詳しく、個々の選択肢すべての実情を示したのが次のグラフ。

↑ 次のような時にYouTubeがどれほど必要だと思うか(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定)(2018年5~6月)
↑ 次のような時にYouTubeがどれほど必要だと思うか(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定)(2018年5~6月)

「とても必要」「それなりに必要」の合算となる必要派は「未体験の行為を上手く行う方法を知る」では8割を超えている。需要があるから供給が生じることを考えると、いわゆるHowTo動画が人気を集め、数多く投稿されるのも理解はできる。何しろ「暇つぶし」の必要派の7割近くを大きく上回っているのだから。

「特定製品を購入するか否かを決める」の必要派は5割強。やや少ない、「まったく必要では無い」との意見も20%いるが、見方を変えればYouTube利用者の半数強は商品購入の是非にYouTubeの動画を参考にすることになる。YouTube非利用者も合わせた全体比では37%程度。無視できない値であり、ユーチューバーが注目を集めるのも当然だと思えてくる。

報告書では詳細属性についていくつかの情報を開示している。「『未体験の行為を上手く行う方法を知る』では18~29歳の『とても必要』の回答率は53%、65歳以上では41%」「1日に複数回YouTubeにアクセスしている人は『世界で何が起きているのかを知る』の『とても必要』の回答率は32%、1日に1回アクセスしている人は19%」「1日に複数回YouTubeにアクセスしている人は『未体験の行為を上手く行う方法を知る』では『とても必要』の回答率は56%、1日1回未満の人は46%」とのこと。利用者の思惑と利用頻度、各利用スタイルの観点での必要性が密接に関連しているようで、興味深い結果には違いない。

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※Many Turn to YouTube for Children's Content, News, How-To Lessons

Pew Research Centerの調査パネルATP(American Trends Panel)によって行われたもので、調査実施期間は2018年5月29日から6月11日。有効回答数は4594人。ATPはRDDで抽出された固定電話と携帯電話番号への通話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して応募が行われたもので、国勢調査の結果でウェイトバックが実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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