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川崎麻世さんが離婚届を提出~離婚の2つの方法と離婚後に後悔しないために大切なこと

竹内豊行政書士
川崎麻世さんが離婚届を提出したと報じられました。(写真:イメージマート)

川崎麻世(60)さんがタレントのカイヤ(61)さんと判決に基づいて離婚届を提出し離婚が成立したと報じられました。

川崎は「長きに渡り、私事で皆様をお騒がせしてしまい誠に申し訳ございません」とつづり「還暦を迎え、これから新たに始まる人生をより丁寧に正直に感謝の気持ちを忘れず、生きていきたいと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます」とした。引用:川崎麻世、離婚届提出を報告 長きにわたる“争い”に終止符「ようやく新しい一歩を」

そこで、今回は離婚制度と離婚後に後悔しないために大切なことについてお話ししたいと思います。

離婚の2つの方法

民法は、夫婦の間に離婚の合意がまとまり、それを戸籍法の定めるところに従い届け出ることによって成立する協議離婚(民法763条)と民法の定める一定の離婚原因がある場合に離婚の訴えが認められ、判決によって成立する裁判離婚(同法770条)の二つの離婚を定めています。

民法763条(協議上の離婚)

夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

民法770条(裁判上の離婚)

1夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

川崎麻世さんは、ご自身のブログで「先日、判決に基づき離婚届を提出し、ようやく新しい一歩を踏み出すスタートラインに立つことが出来ました」と報告しているので裁判離婚で離婚をしたようです。

9割が「協議離婚」で離婚する

日本では、離婚の内、協議離婚は約90%を占めます。協議離婚は、離婚問題を当事者の自主的解決にゆだねます。離婚に対する国の介入を許さない点で、家族のプライバシーを守ることができる制度であるといえます。

協議離婚の前提条件

協議離婚は当事者同士の話し合いで解決を模索するため、当事者の対等性や離婚後のことに関して話し合えるだけの理性が双方にあることが前提条件となります。

協議離婚の問題点

夫婦や親子関係の調整を十分につけず、特に財産分与、子の養育費や離婚後の親子の交流についての協議が不十分なまま、離婚届を届け出てしまうケースが多く見受けられます。そのため、離婚後の特に妻の生活と子の福祉が十分に守れない結果を多く生み出しています。

一方的に離婚届が出される危険を防止する対策~不受理申出制度

お互いに十分な話し合いがなされない内に、相手側から一方的に離婚届がなされないともないとは限りません。そこで、自分が承知しないうちに離婚届が役所に出されてしまうおそれがある場合は、対抗手段として不受理申出制度(戸籍法27条の2第3項~5項)が用意されています。

不受理申出後、申出をした本人が窓口に来たことが確認できなかったときは離婚届等の届出は受理されません。不受理申出制度の概要は次のとおりです。

対象となる届出

対象となる届出は、離婚届を含めて5つあります。

・協議離婚届

・婚姻届

・認知届

・養子縁組届

・協議離縁届

届出(申請)する人・できる人

届出する人とできる人は届出によって次のとおりです。

・婚姻届・協議離婚届の場合:夫および妻

・認知届の場合:認知者(父)

・養子縁組届・協議離縁届の場合:養親および養子(養子が15歳未満のときは法定代理人)

届出窓口

申出人の本籍地または所在地(住所地)

申出の対象となる期間

期間の定めはなく、不受理申出は取下げられるまで継続されます。

もし、不受理届を届ける場合は、事前に届出窓口に問い合わせて必要書類等を確認してから伺えば、スムーズに届出が済むでしょう。

離婚後に後悔しないために大切なこと~十分な協議

結婚生活に不仲は起こりうるし、円満な夫婦生活を回復するように努力をすることが不可能なことも当然あります。

破綻した、形式だけの婚姻は、婚姻外の性的関係(いわゆる「不倫」)を生むこともありうるなど婚姻の価値を否定することにもなりかねません。

破綻した婚姻から当事者を解放し、再婚や自立の自由を保障することが、民法が掲げる離婚の第一の目的です。

もし、二人にとって別れた方がよい場合は離婚の選択ももちろんありだと思います。ただし、協議離婚を選択する場合は、感情にかられて届け出てしまうのではなく、離婚後に「離婚の選択は正しかった」と双方が思えるように、離婚届を出す前に、十分二人で協議することが大切ではないでしょうか。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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