アルゼンチン人コーチが語る「コパ・アメリカに挑む日本代表は、このメンバーでいいのか?」
実兄のピチはディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は現在、京都サンガ所属のエスクデロ競飛王。自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。今、エスクデロは、埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執っている。
その彼に、コパ・アメリカに挑む日本代表について訊いた。
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せっかくコパ・アメリカが日本代表を招待してくれたというのに、若手中心、しかも東京五輪代表を鍛えることに重きをおいたメンバーです。僕はガッカリしました。23人のうち、初招集が14名ですか。これをA代表と呼んでいいんですかね?
日本と同じように“招待”で出場するカタールは、アジア大会優勝メンバーを中心にベストメンバーで乗り込みます。ここに大きな差があるように僕は思います。
ベストメンバーで戦ったって、コパ・アメリカは厳しいものなんです。それなのに、五輪を狙う若手に経験を積ませることが目的になってしまった。僕の故郷の仲間の多くは、「日本はコパ・アメリカを舐めている!」って怒りを込めて語っていますよ。南米人にしてみれば、それが当たり前の感情です。
日本のサッカー界は東京五輪で勝つことを最大の目標にしているのですか? 次のワールドカップで、前回を超えるベスト8以上を目指すんじゃないんですか? それで何故、名前ばかりのA代表なんですか? 実際はB代表みたいなメンバーじゃないですか。
フル代表で挑むなら1勝1敗1分けで予選リーグ突破も夢ではないと思いましたが、こんな気持ちでコパ・アメリカのピッチに立つのであれば全敗の危険性も大いにあり得ますよ。
久しぶりに代表に選ばれた岡崎慎司が、ベテランの意地をどんな風に見せるか? 6月1日のJリーグで2得点し、成長ぶりが著しい久保建英がどんなパフォーマンスを見せるか? そういった期待もあります。とはいえ、コパ・アメリカはコパ・アメリカです。Jリーグとは激しさも闘志もまるで違うんです。
五輪候補に経験を積ませたい気持ちも分からない訳ではありませんし、ヨーロッパの数チームが選手を出さないと言っていることも聞きました。が、僕はこのメンバーで乗り込むことを決めたことを、非常に残念に思います。
日本で生活している僕としては、日本代表の勝利をいつも願っています。でも、繰り返しになりますがコパ・アメリカは本当に戦争です。生半可な気持ちでプレーしたら、怪我をしますよ。