Yahoo!ニュース

【プレイバックシブヤ2021】コロナ禍の複雑な渋谷のけしき

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

世界的パンデミックのコロナ禍で
国際大会が開催されるという
異様な事態に見舞われた東京。
スタジアムのお膝元である
渋谷区民はいろんな意味で
その渦に巻き込まれた。

ぎりぎりまで調整が続いた新国立競技場
ぎりぎりまで調整が続いた新国立競技場

ザハ・ハディドのデザインに決まった時も、白紙撤回になった時もざわついた新国立競技場の建築計画。私は個人的に隈研吾案になってほっとした(以前、隈研吾氏のインタビューをした際に伺った彼の“負ける建築”思想に共鳴していので、最初のコンペの時から隈氏が参加したらいいのにと思っていた)。

20201年春にはまだTOKYO五輪が開催されるか否かが不透明なまま 粛々と準備が進められていた。。
20201年春にはまだTOKYO五輪が開催されるか否かが不透明なまま 粛々と準備が進められていた。。

2021年春先にはコロナ禍真っ盛りの中、代々木公園の花見を禁止するため、立ち入り禁止のオレンジシートがガーッと張り巡らされた。いつもの春と違う寒々しい代々木公園…。

現代アーティスト クリストの作品みたいなオレンジシート。代々木公園が散歩ルートな住人としては、複雑な感情…。
現代アーティスト クリストの作品みたいなオレンジシート。代々木公園が散歩ルートな住人としては、複雑な感情…。

園内の目立つ箇所に無粋な看板も立った。
園内の目立つ箇所に無粋な看板も立った。

人が立ち入らなくなったら、代々木公園の芝生に背高のヒメジョオンが咲き乱れ、カラスさんたちの楽園に(2021年4月)

ぽかぽか陽気が心地よい日の午後、都心の広大な緑を我がもの顔で満喫するカラスさんたち
ぽかぽか陽気が心地よい日の午後、都心の広大な緑を我がもの顔で満喫するカラスさんたち

2021年GW。人々は密を避けて代々木公園でのんびり。
そんなことを知ってか知らずか、いつものように咲き誇る美しい薔薇さんたち。

そうこうしている内に夏になり
渋谷上空にブルーインパルスが
ぶいーんと飛んだ(7月)。

恵比寿方面から渋谷上空を旋回し、新国立競技場方向に飛び去っていったブルーインパルス
恵比寿方面から渋谷上空を旋回し、新国立競技場方向に飛び去っていったブルーインパルス

ブルーインパルスを撮影しようと富ヶ谷交差点の陸橋に集まってきた人たち
ブルーインパルスを撮影しようと富ヶ谷交差点の陸橋に集まってきた人たち

7月、気が付けば、ドカーンと開会式。
開会式直前には、渋谷上空にドローンをたくさん見かけた。
開会式前夜、NHKの側の会場に
新型コロナウイルスワクチン接種を受けに行った時
至るところに警察官や警備員がわさわさいて
まるで戒厳令下のような雰囲気だった。


大会開催中も 東京のコロナ感染者は激増し、
反対デモも連日あり どうなることかとはらはら。
でも、私が住む奥渋をはじめ,,
渋谷区の繁華街は夜8時以降は人通りも減り
みんな粛々と過ごしているように見えた。
センター街で路上飲みしている人たちに
フォーカスした報道もあったけれど
それが大多数であったわけでは決してない。

そうこうするうちに、真夏の大冒険!な大会も
蝉時雨が鈴虫の輪唱に変わる頃にはあっけなく終了。

パンデミック&国際大会という
世界史なできごとが起こった1年。
新国立競技場のある渋谷は
ある意味その台風の目の中にあったようなもの。

でも、聖火ランナーが走ることもなく、
世界中の観客でにぎわうこともなく、
繁華街も閑散とし、2020年から2年越しで
街のあちこちに下がっている垂れ幕も
空疎に翻っていた。

今は何ごともなかったかのように
いつもの渋谷に戻りつつある。
「密」のわかりやすいバロメータに
使われがちな渋谷スクランブル交差点も
今は以前と同じような混雑ぶり。

でも、単にコロナ禍前に戻ってちゃんちゃん!
というわけにはいかないと思う。

呼吸をととのえ、あたらしい時代に向けて
全集中しよう。

writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

Luna Subitoの最近の記事