Yahoo!ニュース

主な音楽を聴く機会はYouTubeがトップ

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 音楽を聴く機会はどこにでもあるものだが……(写真:アフロ)

さまざまな音が紡がれてできあがる「音楽」を耳にする機会はどこででも、いつでも存在する。それでは音楽を能動的に聴く手段はどのような認識をされているのだろうか。どの手段がもっともよく使われているのだろうか。日本レコード協会が2017年4月に発表した最新調査の結果「音楽メディアユーザー実態調査 2016年版(公表版)」(※)をもとに、その実状を確認する。

次に示すのは調査対象母集団において主な音楽の聴取手段とされるルート。日々の生活の中では音楽と接触する場面、機会は多々あるが、今件は回答者が能動的に「音楽を聴きたい」との意志の下で利用する手段であり、無意識のうちに耳に入ってくる機会とは少々意を異にする。例えばテーマソングを聴くために商店街に足を運ぶ人は居ないが、音楽が聴きたいがためにカーラジオのスイッチを入れる人は居る。

なお今件の設問は「主な」であり、回答者がその手段のみを音楽聴取に用いているわけではないことに注意が必要。良く使う手段を問われて想起できるものを複数回答で答えている。

↑ 主な音楽聴取手段(2016年、複数回答)
↑ 主な音楽聴取手段(2016年、複数回答)

最上位はYouTube。4割強の人が「音楽を聴きたい時には主にYouTubeを使う」と答えている。本来は動画共有のサービスサイトではあるが、今や音楽の取得場としても幅広い認識を集めている。実際、新曲のプロモーションの場としてもYouTubeは大いにその効用を発揮している。

次いで多いのは物理メディアでは最上位となる音楽CD。これは直接購入したもの以外にレンタルCD、他人から借り受けたものも含む。似たような回答に音楽CDからコピーした楽曲ファイルが次点として入っているが、これは聴きたい対象の曲は同じで、聴くメディアが異なるだけの話。実質的に機動性に高いスマートフォンや携帯音楽再生プレイヤーで聴くためだけに、音楽CDを購入し、データ化したらCDそのものはお蔵入りとの使い方をする人も少なくあるまい。

第4位はテレビ。大よそ1/4の人が主な音楽聴取ルートとしてテレビを想起している。同じ4マスとしてのAM・FMラジオはその直後で約2割。テレビを観ている人、ラジオを聴いている人は自然に音楽も耳に入るが、あくまでも今件は「音楽を聴く目的でスイッチを入れていると自認している人」に限られる。単純なテレビの視聴率・ラジオの聴取率を思い返すと、テレビよりもラジオの方が音楽目的で使う人の割合は高いことがうかがえる。

YouTubeと比較されることが多いニコニコ動画は12.1%、ダウンロード型の有料音楽配信サービスは9.7%、そしてYouTubeやニコ動以外の無料動画配信サイトは9.5%。インターネットラジオは8.7%でしかない。

今件調査がインターネット経由であるのも一因だが、「音楽を聴く」との認識で使っている手段として、すでに物理メディアがデジタルサービスに抜かれている現状は、興味深い話に違いない。また、体験型音楽聴取手段とも表現できるコンサートやライブなどの生演奏が、少なからぬ人にとって「主な音楽の聴取手段」と認識されている点にも、大いに注目すべきだろう。

■関連記事:

主要国の携帯・スマホでの音楽を聴くスタイルをグラフ化してみる

年齢階層別の「音楽との付き合い方」をグラフ化してみる

※音楽メディアユーザー実態調査

直近分は2016年8月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2216人。性別・年齢階層・地域別(都市部とそれ以外でさらに等分)でほぼ均等割り当ての上、2010年度の国勢調査結果をもとにウェイトバックを実施している。また設問の多くは過去半年間を対象に答えてもらっているため、2016年3月から8月時の動向が反映されている。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事