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柳美稀、金髪から学んだコト

中西正男芸能記者
役作りで金髪に初挑戦した柳美稀

 昨年、テレピ朝日系「動物戦隊ジュウオウジャー」のヒロイン・セラを演じ、女優として本格デピューを果たした柳美稀さん(20)。10月9日からはAbemaTV Specialで配信される連続ドラマ「ふたりモノローグ」で、福原遥さんとW主演を務めます。同作役作りで初の金髪も経験しましたが、それが思わぬ変化をもたらしたといいます。

人前に出るのがとにかく苦手

 ドラマの関係で、6月末に金髪にして、夏の間、ずっとこの色でした。人生で初の金髪。周りの人からは「どうしたの?反抗期なの?」って言われたりもしましたけど(笑)、自分の中ではすごく大きな体験になりました。

 言っても、髪色を変えたというだけなのかもしれませんけど、自分としては、変化したことがいろいろあったと言いますか、思わぬ効果をもたらしてくれました。というのは、こんな仕事をしてはいるんですけど、実は、人前に出るのが苦手。人から見られたりするのも苦手ということが、ずっと、ずっとあったんです…。

 でも、金髪にしたら、街を歩いていても、みんながこっちを見てくる。「うわ、今、あの人に見られている…」といった程度じゃなく、常に、誰かが見ているというか。特に、おばあちゃんとかだったら、ここまでの金髪には免疫がないでしようから、ジーツと見てらっしゃるという場面もよくありました(笑)。それが続くと、人から見られるということに、すっかり慣れまして。

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行き着くところは…

 となると、生活の一つ一つもガラッと変わってくるんです。これまでは、ホントの話、一人で買い物にも行けなかった。人の見る目が気になって。ま、思い込みすきなんでしようけど、自分が例えば「これ、いい感じ」と思ってTシャツを手に取ったとする。でも、そこを他のお客さんが見ていたら、その視線に「うわ、あの子、あんなTシャッ買うんだ。ダサい…」という思いがこもっているような気がして(笑)。唯か友達と一緒だったら、話して友達から同意を得られたりもするけど、なかなか自分だけで服を決める勇気が持てないというか…。それで買い物がイヤになっちゃったりもしてたんです。結局は、行き着くところ、自分に自信がなかったんですよね…。

 でも、金髪って、こんなにも人を強気にさせるんだと(笑)。ここって、なかなか説明しにくい部分ですし、分かってもらいにくいかもしれないですけど、そこの気持ちの持ち方一つで、こんなに人って変わるんだなと今回思いました。そして、その変化や幅みたいなところを、女優さんというのは、そのまま仕事に活かせる。改めて、この仕事の深みや面白味を感じました。

何が分からないのかも分からない

 そもそも、芸能界に入ったきっかけは「全日本国民的美少女コンテスト」でした。3年ほど前なんですけど、当時、お母さんいわく、私がヒマそうにしていたみたいで「これ、受けてみたらどう?」と。ま、受かるとは思ってなかったので(笑)、とにかくやってみようと。

結局、書類審査二次、三次と進んだものの、次の審査で落ちてしまいました。ただ、そこで運よく、事務所に入るお話をいただいたんです。

 その後上京し、初めてのドラマのオーディションで「動物戦隊ジュウオウジャー」に選ばれました。撮影が始まったのは2015年の12月からだったんですけど、お芝居のことは何一つ分からない。表情の作り方も分からない。何が分からないのかも分からない。困っている顔をしなさいと言われてもできない。何回もやる。でも、できない。スタッフさんが何十人もいる中、できない。みんなが自分一人のために待っている。山の中で、極寒の天候。もう泣きそうになる。こっちが「…うーん」となったら「その顔だよ」と言われるけど、それが再現できない…。そうなると、元来の自信のない自分が強く出てくる。悪い循環に陥ったこともありました。

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スッと染みこんできた

 そんな中、スッと導いてくださったのが、共演させていただいた寺島進さんでした。待ち時間とかに「こういうお芝居ができなくて…」「表情が作れなくて…」とか、ぶしつけながら、相談をさせてもらっていたら、 「自然にやったらいいんだよ」と。続けて「普段、自分がそんなことを言われたら、どんな感覚になるか。それをやればいいだけだから」と言われまして。言葉としてはシンプルな言葉なんでしようけど、袋小路に入ってしまっている私からしたら、その言葉でもつれた糸がほどけた気がしました。また、その言葉を寺島さんという、「これぞ役者!」という方から言っていただいているので、スッと染みこむというか。素直に感情のままにやる。そこから、詰まる回数がぐっと減りました。

 もちろん、大変なこともあるけど、いいこともある。だからこそ、今もできてるんだろうなと。そして、金髪もそうですけど、この仕事は全てが経験で、全部が身になっていく。だから、面白いし、大変だし、でも、面白いんだなって思っています。

 憧れている人がムロツヨシさんです。あと、佐藤二朗さん。どちらも、オンリーワンですよね。その人にしかできないことをやってらっしやる。「他の誰かでもいい」じゃなく「その人しか成立しない」を追い求める。この役と言えば、柳美稀しかいないと思わせる女優になりたいなと思っています。…私、相当工ラそうなこと言っちゃってますよね!?なんだか、スミマセン。でも、いつか、いつか、そうなれたらなと思っています。頑張ります!

■柳美稀(やなぎ・みき)

1997年8月24日生まれ。小学2年まで大阪で過ごし、その後、愛知へ移り住む。2012年、全日本国民的美少女コンテストをきっかけにオスカープロモーション入り。2014年に「ミスセプンティーン」のファイナリストとなり、モデルデピューする。翌年上京し、2016年には「動物戦隊ジュウオウジャー」のヒロイン・セラに選ばれ、女優として本格デピューを果たす。AbemaTV Special で配信される主演ドラマ「ふたりモノローグ」は10月9日からスタート。

また、東海テレピ・フジテレピ系で放送される連続ドラ「さくらの親子丼」(10月7日スタート、土曜午後11時40分)にも出演する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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