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ライブチケットが売れまくるお笑いコンビ「マユリカ」を支える“ラジオの力”

中西正男芸能記者
「マユリカ」の阪本さん(左)と中谷さん(写真は所属事務所提供)

今ライブのチケットが売れるお笑いコンビ言えば必ず名前が挙がるのが「マユリカ」です。昨春、拠点を大阪から東京に移し「М-1グランプリ2023」で決勝に進出。初の単独冠番組「マユリカの東京友錠生活」(12月28日午後11時から、映画・チャンネルNECO)も放送されます。勢いは増すばかりですが、中谷さん(35)、阪本さん(34)ともにその根底にあるのは“ラジオの力”だといいます。

先輩からの言葉

中谷:僕らだけが出る冠番組を作っていただける。しかも90分もやっていただける。それだけ期待をしていただいているのかと思うと本当にありがたいことですし、普通のことになっていますけど感謝しかないなと思います。

阪本:僕ら史上、一番の“使い”の長さですからね(笑)。いつもは8時間ほどロケをさせてもらって、VTRは10分ほど。それが今回は90分いただいているわけですから。その数字が信頼の証だとすると、本当にうれしいばかりです。

中谷:東京に出てきて1年8カ月ほど。お仕事の幅が本当に広がりました。大阪時代はお仕事のほとんどが劇場。もちろんこれもありがたいんですけど、東京ではweb番組とかネットCМとか、大阪にはそもそもなかった仕事がたくさんある。新鮮な気持ちでまたお仕事をさせてもらっています。

阪本:普段一緒にいる人も、大阪の時はほぼ全員が劇場のメンバー。「こんな人と会うなんて!」という刺激はない状況でした。それが一転、東京では毎日びっくりするような人ともお会いする。その刺激は完全に新しいものだなと感じています。

…ただ、一つ恐ろしいのが遅刻した時のダメージがケタ違いになるなと。大前提として、もちろんのこと遅刻したらダメなんですけど(笑)、大阪の時は仕事場にいるのが慣れたメンバーばかりだったので、ありがたいことにうまくカバーしてくれたりもしたんですけど、今はどの現場でもご一緒するタレントさんのランクがすごすぎて。もし、遅刻してお待たせしたり、予定を変えてもらったりせなアカンとなったら、いったいどうなるんやろ。その身の引き締まり方も、刺激と言えば刺激になっています(笑)。

中谷:それだけいろいろな方とお仕事をさせてもらえていること自体、本当に良かったなと思いますし、東京に出てきて間違いじゃななかったのかなと今のところは思っています。リアルな話、家賃も3倍になりましたし、大丈夫なのかと思うことも多々ありましたけど、周りの皆さんに感謝するばかりです。

あと、本当にありがたかったのは「見取り図」の盛山さんからいただいていた言葉でした。ご自身が東京で忙しくなった時、これでもかというくらいネットやSNSで罵詈雑言が来たと。「面白くない」とか「お前らなんか売れない」とか好き放題言われてきた。でも、それが世の中の総意ではないし、そう言ってくる人が世の中を動かしているわけでもないし、そこは極力気にしないほうがいい。

この心構えを事前に教わっていたことも、いろいろとこちらのダメージを減らすことつながっていたんだろうなと思っています。要らないダメージを受けることなく、その分、好きに動けるというか。

ラジオの力

阪本:それと、本当にありがたかったなと思うのがラジオをさせてもらっていたことです。今いただくお仕事の根っこにあるものというか、オファーをくださるスタッフさんの多くが「ラジオ、聴いてます」とおっしゃるんです。

もともと数年前にラジオ関西さんで番組のお話をいただき、2021年からはラジオ関西さん制作のPodcastオリジナル番組「マユリカのうなげろりん!!」をやらせてもらっています。ラジオは僕ら二人だけの世界ですし、僕らが何を面白いと思って、どんなノリで話していて、何がやりたいのかという“取扱説明書”になっているんです。

それを聴いた上でお仕事をくださる方がほとんどなので、僕らの味がよく分かってくださっているし、編集にもおのずと愛を感じます。

最初、ラジオのお話をいただいた時は「どうせ、誰も聞いてくれへんやろ」と思って(笑)、肩の力を抜いてやっていたのが逆に良かったのか。今となったら、ラジオが僕らの強みになっているのは間違いないですし、ただただ感謝するのみです。

中谷:番組の打ち合わせでも「ラジオみたいな感じで」とディレクターさんから言ってもらったりすると、ありがたいですし、話も早いですし(笑)、本当にラジオに助けられています。

阪本:大阪の頃は仕事以外の場でも結構顔を合わせることも多かったんですけど、今はバタバタの中でなかなか二人でしっかり会うことも少なくなりました。その意味でも、ラジオでしっかり話をするのはより一層意味のあることにもなっているのかなと思います。

中谷:環境は劇的に変わりましたけど、二人の関係性というところでは学生時代から何も変わっていないのかなと。僕はそう思っています。

阪本:昔から、二人でいると居心地は悪くないんですけどね。だからこそ、今に至るまでコンビが続いているんでしょうし。居心地はいいけど、頼りにはならん。それがリアルな現状です。

中谷:確かに、僕は物事を決めることから逃げがちなので、頼りにはならないかもしれないですね(笑)。

阪本:それもこれも全てをひっくるめて、僕らですからね。その僕らを喜んでくださる方がいてくれて、ラジオとか今回の冠番組みたいに、自分らを出す場がもっと発展していく。それが理想だと思いますし、そこに近づけるようやっていければなと思っています。

■マユリカ

1989年10月23日生まれの中谷(本名・中谷祐太)と90年1月7日生まれの阪本(本名・阪本匠伍)が2011年にコンビ結成。二人とも兵庫県出身で幼馴染として出会う。昨春、拠点を大阪から東京に移す。「М-1グランプリ2023」で決勝進出(4位)。12月28日午後11時からは初の単独冠番組「マユリカの東京友錠生活」(映画・チャンネルNECO)が放送される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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